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サウスポイント - よしもとばなな
占星術の授業で吉本ばななさんのホロスコープを分析して、そこでハワイ島のサウスポイントという場所と、この本の事を知り読むことにしました。
ばななさんの本を久しぶりに読みましたが、あっという間に物語に引き込まれて読み続け、読み終わった後も余韻がしばらく残る本でした。
ベースに死のテーマがありつつも優しく甘い物語で重くなり過ぎず、人の感情に立ち会うような、この話が現実に役立つとかではないかもしれませんが、なんとも不思議な感覚で、そして自分もハワイにいるような気持ちになりました。
私もサウスポイントに立ってただ海を眺めたい。実際、本を読んでいて、気がつくと自分もサウスポイントに立っているような、風景が目の前に広がるような感覚になります。いつか実際に行けると良いなと思います。
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本の中に、私が人生で大切にしたいと思っている事が書かれています。
誰かと話をする時に気をつけていることで、とても言葉にするには難しい感覚なのですが、例えば、主人公のテトラが初めてマリコと話している時に感じていることで、それが文字になって物語に織り込まれていることにばななさんの凄さを感じました。
人は気づかずに人の心に土足で踏み込んでしまう事があります。その事がちゃんと分かっていれば踏み込むことなく、人にそっと寄り添えるようになるのではないかと思えたシーンでした。
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こうして本の感想を書いていますが、やっぱり感想は誰とも共有できないとも感じています。それは、人生を誰かと共有出来そうで出来ないのと一緒かもしれません。
毎日、一日があっという間に過ぎているようで、実はその中にたくさんの出来事が散りばめられていて、その事に気づいていても気づいていなくても、人それぞれその中に感じている人生の意味みたいなものが違うのではないかなと思います。
私は本を読んだり映画を観ると主人公になりきってしまいやすく、しばらくテトラになってしまったのか、素敵な物語なのに少し気分が重たくなり抜け出すのにしばらくかかりそうです。
ちなみに、この本には関連している本があるそうです。
小説「ハチ公の最後の恋人」の後日談にあたる本だそうで、
さらに、ハワイを描いている点で「まぼろしハワイ」と対になっているそうです。
なりきってしまった主人公から抜け出せたら読もうかなと思います。
ありがとうございました。
終わり。