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オスグッド病のリハビリテーション
こんにちは。
成田整形外科の理学療法士の近藤です。
今回は、オスグッド病の自宅で行えるリハビリテ
ーションを紹介します。
オスグッド病のリハビリでは、痛みのある部分だ
けを治療するのではなく、どうしてその部分がい
たくなってしまったのか原因をしっかり理解した
上でリハビリに取り組めると、再発予防だけでは
なく、スポーツのパフォーマンスアップにも繋が
るので、今回の内容を参考にして自宅でも取り組
んでみてください。
YouTubeでの解説はこちら↓
1.オスグッド病はなぜ起こる?
オスグッド病は小学校高学年から中学生くらいの
成長期に起こりやすいスポーツの障害です。痛み
は、太ももの前側にある大腿四頭筋(だいたいし
とうきん)の使いすぎや柔軟性の低下をきっかけ
に起こることがほとんどです。
成長期の子供に多く起こるのは、子供の骨は大人
の硬い骨と違い、柔らかい骨から硬い骨へと成長
する過程にあり、どうしても不安定な状態だから
です(強い負荷にはまだ耐えられません)。
また、骨の急激な成長(骨が縦に長くなる)に筋
肉の成長が追いつかず、アンバランスな状態にな
りやすいのも特徴です。このアンバランスな状態
でスポーツなどを行い、過剰なストレスが加わる
と痛みが出てしまうのがオスグッド病の原因です
2.オスグッド病の治療法は?
オスグッド病の基本的な治療は、「患部を休め
ること」です。痛くなった原因が過剰に負担が加
わったことにあるので、まずはその負担を軽減し
てあげること=患部を休めること、が大事です。
痛みが強い場合にはスポーツを休む、スポーツを
行う場合でも痛みの出ない範囲で行ったり、練習
量を抑えるなどの工夫が必要となります。
その上で、筋肉の柔軟性を改善するためのストレ
ッチや、膝に負担のかからないようにするための
姿勢や動作の修正が必要になります。
※どの程度の休養が必要なのか?どの程度までの運動はOKなのか?わからない場合は医師や担当の理学療法士に聞いてみてください。
3.リハビリプログラム 大腿四頭筋のストレッチ
痛みの1番の原因である大腿四頭筋の柔軟性の改善
はとても大事です。まずは、柔軟性テストで自分
の筋肉の硬さをチェックして、硬い場合はストレ
ッチを継続して柔軟性を改善しましょう。
Excellent:踵をお尻にくっつけることができる
Good:踵とお尻の間の隙間が指3本くらい
Poor:踵とお尻の隙間が指3本以上
*無理矢理行わないように注意してください。1人で行うことが難しい場合は手伝ってもらって下さい。
<大腿四頭筋の柔軟性改善ストレッチ Level 1>
ストレッチ中に腰が反らないように注意しましょう。ストレッチする側の膝が外側に開かないようにします。横から見ると肩と膝の高さが揃うようにします。痛みを感じる場合は無理はしないようにして下さい。
30秒×3セット
<大腿四頭筋の柔軟性改善ストレッチ Level 2>
Level1のストレッチよりきついので、Level1が楽に出来るようになってから実施して下さい。
ストレッチ中は腰が反らないように注意して下さい。きついのを我慢して伸ばすのではなく、楽に呼吸が行えるポジションで実施します。
30秒×3セット
4.リハビリプログラム 股関節のエクササイズ
オスグッド病になる原因として、股関節を上手く
使うことが出来ないことが挙げられます。これか
ら紹介する3つのエクササイズを行なって、自分が
上手く股関節を使えているか確認して下さい。難
しかった場合は①〜③のエクササイズを繰り返し
練習してみて下さい。
<股関節エクササイズ Level1>
背骨が丸くなったり、身体が後ろに倒れたりしないようにします。横から見て肩の位置は変わらないようにします。
10回×3セット
<股関節エクササイズ Level2>
Level1と同様に、背骨が丸くなったり、身体が後ろに倒れたりしないようにします。
10回×3セット
<股関節エクササイズ Level3>
Level1、Level2 と同様に背骨が丸くなったり、身体が後ろに倒れたりしないようにします。
脚を挙げた時に、両手が下がらないようにします
10回×3セット
5.リハビリプログラム ふくらはぎの硬さの改善
ふくらはぎが硬くなっていると、走る時や、ジャ
ンプの着地時、しゃがみ込む時などに膝への負担
が増えて痛みの原因となります。まずは柔軟性テ
ストで硬さを確認して、硬かった場合はストレッ
チをして柔らかくしていきましょう。
<ふくらはぎの柔軟テスト①と改善ストレッチ>
1.壁の前に立ちます
2.足裏のつま先側半分を壁にくっつけます
3.おへそを壁にくっつけるように身体を壁に近づけていきます。
判定:楽におへそが壁にくっつけば合格です。
きつかった場合は次のストレッチを行って下さい
ストレッチのポイントは、踵が浮かないようにしながら壁にもたれるようにして、しっかりと身体を前に倒すことです。
30秒×3セット
<ふくらはぎの柔軟テスト②と改善ストレッチ>
1.壁の近くに片膝を立てて座ります
2.つま先と壁の間隔を拳1つ分あけます
3.踵が浮かないようにして膝を前に倒します
判定:踵が浮かずに楽に膝が壁に着けば合格です
きつかった場合は次のストレッチを行って下さい
柔軟性テストと同じ姿勢になります。踵が浮かないように注意しながら膝を前に倒すようにストレッチします。膝がつま先よりも前に出るようになることが目標です。
6.リハビリプログラム 猫背を治す
オスグッド病が起こる原因には、猫背であること
も影響します。猫背になってしまうと身体の重心
が後ろにズレてしまいます。重心が後ろにズレて
しまった状態でスポーツを行うと、膝の前側にあ
る大腿四頭筋に負担がかかりやすくなってしまい
オスグッド病になってしまうという訳です。その
ため、猫背を治すことはとても大事です。その中
でも胸椎と言われる部分がキレイに伸びることが
できるかがポイントになります。まずはしっかり
と胸椎を伸ばすことが出来ているのかをテストし
て、上手く伸びていない場合は十分にストレッチ
をして猫背を治していきましょう。
<胸椎の伸展テスト>
1.壁に後頭部、肩甲骨、お尻、膝裏、踵をピッタリとくっつけて真っ直ぐ立ちます
2.壁にくっつけている身体の部分が離れないようにしながら両手をバンザイします
判定:壁にくっつけている部分が離れずに、肘をしっかり伸ばしたまま両手の親指と人差し指を壁にくっつけることが出来れば合格
動画の2回目のバンザイでは、腰が反ってしまい壁から浮いてしまっているので不合格です。肘も曲がってしまいやすいのでチェックしてみて下さい。
上手く出来なかった場合は次のストレッチを行って下さい。
ストレッチのポイントは腰を反らすのではなくて、両方の肩甲骨の間の部分を床に近づけるように意識しながら行うことです。
このストレッチが楽に行えるようになったら、レベルアップで次のストレッチを行います。
両肩を軸にして胸を床に沈み込ませるように意識して行いましょう。肘は曲がらず真っ直ぐになっているか確認しながら実施して下さい。
7.リハビリプログラム 背骨と股関節を上手く使って重心を移動するトレーニング
最後に、今まで行ってきたそれぞれのエクササイ
ズを組み合わせて、膝に負担のかからない身体の
使い方を習得するためのエクササイズです。
<背骨を真っ直ぐ伸ばしたまま股関節を曲げる>
後頭部からお尻にかけて1本の棒で繋がっているイメージで背骨を真っ直ぐにしたまま、股関節を軸に身体を「く」の字に曲げます。
曲げる時は背骨が丸まらないように、起こす時は背骨を反らせないように、背骨は常に真っ直ぐになるように意識しましょう。
次は更にレベルアップして、両手を真っ直ぐ前に伸ばしたまま行います。
このエクササイズでは前に身体を倒すときに腰が反ってしまいやすくなるので注意しながら行なって下さい。
最後に、総仕上げとしてスクワットを実施します。先程のエクササイズとは違い立った状態で行うので難易度は高くなります。
以上が、自宅で行えるオスグッド病のリハビリの
紹介です。痛みを改善するためには、柔軟性や股
関節・背骨を上手く使う事、姿勢を良くするこ
と、重心をコントロール出来るようにすること、
など必要になることが多いですが、ここで紹介し
たエクササイズを上手に行えるようになれば、痛
みの改善だけではなく、行っているスポーツのパ
フォーマンスアップにも繋げることが出来ると思
いますので頑張って取り組んでみて下さい。
*エクササイズは必ず痛みのない範囲で行って下さい。また、わからないことや聞きたいことなどあれば理学療法士までお問い合わせ下さい。