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赤い革の小さな何か

 ダークナイト・トリロジーを観た。
 ダークナイト・トリロジーとは、クリストファー・ノーラン監督が作った、バットマン3部作である。
 意識しないで観ていたのだが、3作とも2時間半くらいある。フィナーレを飾るダークナイト ライジングに至っては3時間くらいある。なかなかの長尺だ。
 映画の内容はさておき。
 自分は集中力のない方だと思っていたので、観たい映画を探すときはいつも、1時間40分くらいの映画がいいなあと思っていた。飽きて途中で話がわけがわからなくなる可能性があるから、コンパクトにまとめてほしい。
 時間を気にせず観始めたときに限って、そんな長い時間集中できたことに驚いた。やればできるじゃん。集中力、あるじゃん。

 こういうとき、嬉しい。
 大体こんなもんだろうと見積もっていた自分の能力を、自分が超えていたときだ。

 もちろんノーラン監督の手腕や、俳優陣の演技の良さも忘れてはならないけれど。つまらない映画だったら、15分で飽きているけれど。

 昨日の朝、駅でぼくの10メートルくらい前を歩いている女性が、ポケットから定期入れのようなものを落とした。赤い革の小さな何か。
 ぼくは無意識に走り、それを拾い、そのまま彼女の斜め前まで駆け抜け、(これ、落としましたよ)という顔をした。女性は、何?誰?こんな明るいうちにナンパ?それともやばめの勧誘?という感情の動きを顔の上で1秒に凝縮して表現した後、にっこりと笑い、ぼくの手にある赤い小さな何かを受け取ってくれた。
 
 この出来事について、評価してみよう。

 落としたものを無意識に拾って渡してあげる:良いです。
 個人的には、「善行をしよう」という感覚なしに、無意識に動き出した点を特に良いと感じました。自分が思っていたより自分が親切であることに気付きました。
 
 (これ、落としましたよ)という顔をした:良くないです。
 イヤホンで音楽を聴いていたため、そしてそれを外している余裕がなかったため、その上当然お互いマスクを着けていたため、会話は難しい。という咄嗟の判断の末の顔というわけですが、なんならイヤホンを外す余裕はあったのです。時間というより心の問題です。頭が回りませんでした。自分が思っていたより自分が愚鈍であることに気付きました。

 結局noteに書くことで遠回しにいいことしたアピールをしている:良くないです。
 非常に浅はかです。次回はがんばりましょう。



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吉沢ハル
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