Life Page vol.5 「"自分の決断に誇りを持つ"土居北斗さんの生き方とは」
様々なキャリアを持つ大人へのインタビューを通し、仕事や人生について考える「Life Page by RYO-ZAN-PAK」。
今回はRYO-ZAN-PAK運営の石井勇輝が担当します!
第5回である今回は「採用鍼灸師」として個人で活動されていらっしゃる土居北斗さんにインタビューをさせて頂きました!
(Vol.4の記事「”生き方の正解は、一つではない”林真澄さんの人生の選択」はこちらをクリック)
土居さんは現在、鍼灸師として日々の体の疲れを癒し体調を整える施術を行いながら、過去の経験を活かして介護業界の採用活動を行う2足の草鞋を履いた生活を過ごしていらっしゃいます。そんな土居さんに現在の働き方に至るまでの過去のストーリーを伺いました!
土居北斗
手に職をつけたいという想いと日本の少子高齢化が進んでいく状況を考えてこの先の就職に有利じゃないかと考え医療系大学に進学。整骨院グループに就職し、新卒1年目から施術を行いながら店舗経営を担い、入社3年目には最年少執行役員に就任。採用、広報、店舗統括を行いながら3店舗の経営を行う。5年目に採用鍼灸師としてフリーランスで独立。現在は福祉のイメージを変える為に-next-fukushiという団体をメンバーの方々と立ち上げ、鍼灸などの代替医療業界を変える活動を行っている。
▼ポートフォリオ
Twitter=https://twitter.com/makeflea?s=20
入社3年目で最年少執行役員に就任するほどの輝かしいキャリアを持ちながらフリーランスとして独立するという決断を行うにあたった背景には大きな覚悟があったかと思います。
何を考え、何を感じ、どんな軸で人生の選択を決断してきたのか。
詳しくお話を聞く中で福祉だけに留まらない大切な価値観があるように感じました。
目次
▼鍼灸師を目指したきっかけ
▼理想と現実のギャップ
▼ターニングポイントとなった辞める決意をしたきっかけ
▼福祉に対しての想い
▼-next-fukushiとして叶えたい世界観
▼採用鍼灸師という道を歩む中での気付き
▼最後に
▼鍼灸師を目指したきっかけ
鍼灸師になるための大学に通われていたという土居さん。最初から鍼灸師になりたかったのですか?とお聞きすると「だいぶ何となくなんですよ。」という思わぬ返事が。
当時好きだった漫画が鍼灸寄りの内容だったということに影響され、また今後の高齢化社会のことを考えると手に職をつけることが出来そうだったから、だから進学したとのこと。ただ、大学3回生になるタイミングで鍼灸師になるための国家資格を取ることになり、その際に一般的な大学に進学していれば良かったとかなり後悔をしたと言います。田舎の大学に通っていたこともあり遊ぶ場所がなかった為に、一般的なキャンパスライフに憧れがあり、就職活動自体がとても楽しそうという想いがありました。当時は同じ学年の仲間内で国家試験が嫌すぎるという想いから鍼灸師の資格は要らないとまで言っていました。国家資格の中では比較的合格率が高いという資格だったらしいのですが、そもそもの勉強をすることが嫌いすぎて、普通の大学に行って遊びまくって、いわばパリピみたいな生活を送りたいとまで思っていた時期があったそうです。
ただ、今考えれば一般的な大学に通っていなくて良かったと思う。きっと一般的な大学に通っていれば遊び惚けて何となくで仕事に就職されていた可能性が高いと思うのである意味遊ぶ機会が少ない医療系大学に進学していなかったら、、と当時を振り返っていらっしゃいました。
▼理想と現実のギャップ
そんな背景があって就職した整骨院グループでの仕事。働き始めてから3カ月間はずっと辞めたいという想いと葛藤していたと言います。施術を毎日毎日行う中でとにかく指が痛いと。今ではもう痛みはあまりないと言いますが働き始めた当時は肉体的にあまりにしんどかったために痛すぎて辞めてやりたいと思っていたそうです。いつ辞めようかなと考えながら毎日職場に向かう日々がしばらく続いたと言います。
また鍼灸師という資格を取って社会に出るということもあり「夢」を抱いて就職したと土居さんは言います。針や治療や施術を通じて、患者さんをどう喜ばせることが出来るのかを色々と考えて社会に出たと。ただ、あくまで社会人として、一人の企業に勤める営業マンとして立ち振る舞わないといけないこともあり数字管理を行うウェイトが実際の所かなり大きかったことがしんどかったと振り返ります。患者さんに向き合って一人一人丁寧に施術をするというより、いかに効率よく施術を行うかを考えなければいけないということもあり「夢」破れた瞬間だったと言います。現実と理想のギャップを感じながらも、そのギャップにも向かわなければいけないなとその当時はがむしゃらに取り組んでいました。
ただそんなしんどい想いも経験しつつ、負けてたまるかという反骨精神も強くあった為にガムシャラだったと振り返っていました。
土居さんのNoteより
https://note.com/makeflea/n/n57910e4aea4f
▼ターニングポイントとなった辞める決意をしたきっかけ
3年目で最年少執行役員になり、その後3年間は執行役員として働いていらっしゃったという土居さん。何故5年務めていらっしゃった企業を辞めるという決断を下したのか尋ねると鍼灸師の意外な現実が。
「鍼灸師は整骨院グループの中で立場が低い。整骨院を建てることが出来ない。柔道整復師は整骨院を建てることが出来るのであくまで立場が上。新規店舗展開しましょう、何か新しいことしましょう、という話になった時に鍼灸師は何も出来ない。柔道整復師の方が重宝される状況が必然的にある。」
そんな想いを抱えながら、このまま整骨院で鍼灸師を続けた時に将来道があるのかと考えた時に一抹の不安が常にあったと言います。将来的なスキルで考えた時に整骨院というくくりの中だけで働くことが本当に大丈夫なのか、外の社会を知らずにビジネスをしていくというのは良いのかと懸念していたと言います。
スキルがなかったら今後生きていくことは難しいと思っていたからこそ、将来残り続ける為に、人から求められ続ける人材であるためにどうすれば良いかを常に考えていたと言います。もちろん整骨院グループ内での転職も考えたことはあったとのことでした。しかし整骨院という業界自体の特徴として、整骨院グループそれぞれの企業色が強いために他社に転職した時に今のスキル/待遇を活かすことが難しいという状況に課題を感じていたとのこと。
その当時から鍼灸師と採用の2つのスキルを掛け算しながらやっていくしかないと決意していたそうです。ないものを補うよりも現状持っているスキルを伸ばす方が良いと判断し、さらに介護業界における採用領域の状況もリアルに知っていたこともあってイメージがついと言います。
土居さんのTwitterより
https://twitter.com/makeflea/status/1197526391597805568?s=20
▼福祉に対しての想い
筆者である私自身も福祉について詳しく知っているわけではなく漠然としたイメージがあるだけでしたので「土居さんにとっての福祉のイメージとは?」についてもお聞きしました。実際にこれまでを振り返って土居さん自身も、福祉のイメージは過去思っていたものと異なったと言います。例えば、高齢者の方々を対象にしていても、整骨院と福祉では異なる部分があるそうです。実際に整骨院で働いていた時と介護の採用活動をしていた時とで、土居さん自身の福祉へのイメージはそれぞれで異なるらしく、実際に介護業界に関わってみて今まで見えなかったものが知れて面白いなぁと感じたそうです。
また土居さんとのインタビューの中で福祉に関わっている人はスキルがとても高いというお話がありました。1人のお客さんに対してどう向き合うのか、そのお客さんが好きなタイミングで食事をしたりお風呂に入れたり、それぞれのタイミングを見計らいながら、一人で3人の方の面倒を見る。それも1日を通じて異なる作業を同時並行で組みながら突発的に生じるトラブルにも対応し日々をこなさなければいけない、かなり高いスキルの求められる職業だと感じたと言います。いかに福祉に興味を持って働いてもらうかということだけでなく、福祉で勤められていた方がその後転職を行う際に、世間的に注目を浴びている企業に入れるような、それくらいスキルが高いことが社会的に評価されるようになれれば良いなと考えているそうです。
福祉に対しての世間のイメージとしては「3K」などが挙げられるようにネガティブな側面にフォーカスしがちですが、それだけが全てではない。むしろやりがいが強くある素敵な職業だからこそ、実際に一度でも良いから、少しでも良いから実際に見てほしいと語ってくださいました。
▼-next-fukushiとして叶えたい世界観
たまたま飲みの席で福祉について語っていた時に-next-fukushiが生まれたと言います。初期の頃は福祉はもっと面白くなるよね、もっと採用変えられるよねって想いから活動を始められたとのこと。ただ現時点では少し方向性が変わり「福祉に対して触れるきっかけを何かしらで作れたら良いな」という想いで皆さん動かれているとのことでした。
福祉に関わっている人も、福祉に関わっていない人も、少しでも福祉っておもしろそうって思ってもらえたら嬉しい。そもそも「福祉」というもの自体が枠組みの大きい存在だからこそ、世間で言われるGIVEの精神って福祉の根本の考え方に近いのではないかなと。広義の意味で考えれば全ての仕事が福祉なんじゃないか、とも仰ってらっしゃいました。
もっと身近に福祉を感じ、もっと気軽に福祉について考えて良いんじゃないかなと。そんな世界観を実現しようとしていらっしゃいました。
▼採用鍼灸師という道を歩む中での気付き
去年一年間外に出るようになって、いろんな人との出会いを通じて視野が凄く広がったなと感じるそうです。ただ単純にいろんなことを出来て良かった、いろんな人と出会えてよかった、そんな風に今は感じていますとおっしゃっていました。また、採用鍼灸師として今後生きていくと決意した当時を振り返って「後悔は今のところないですね。」と話すその姿勢に勇気づけられる人は多いのではないかと感じました。
今後は代替医療業界を少しでも良くなるように動きたい。代替医療業界のイメージ自体をもっと良くしたい。内部事情も知った上で、採用の領域からもアプローチしたい。そして人々にとって、整体をもっともっと身近なものに変えてきたい。そんな想いを語ってくださいました。
▼最後に
土居さんがこれまで会社を辞めるという決断や代替医療業界の内も外も知った上で行動を起こすなど、様々な決断をしていく際に大切にしている価値観は何ですか?とお聞きした時に「自分自身がその時その瞬間にどう感じたかを大切にしている。」そう仰っていたのがとても印象的でした。
「客観視して自分がどう感じているのかを考える。いろんなバイアスがかかってしまうからこそ、自分の選択は自分が選んだものなのだと自身で決断をする。」そうすればどの人生を選んだとしても、どの選択を取ったとしても、自分の決断に誇りを持つことが出来る。何より、自分らしく生きるというより、自分が自分らしく生きる為にはどうすれば良いかを考えている。自分自身を客観視して、今自分は何を思っているのか、自分の心の声に逆らわず従うようにしている。そういったことを意識していると仰ってくださいました。
多くの経験をしているからこそ、これはダメ、あれもダメ、のように合理的に判断するのではなく自身の心の声に従うという感性を大切にすることが土居さんらしい人生の送り方なのかとお話を聞いている中で感じることが出来ました。
投稿者プロフィール
石井勇輝 (RYO-ZAN-PAK運営)
立命館大学4回生(現在休学中)「心の世界地図を広げれる人を増やす」を理念に活動中。コワーキングスペースRYO-ZAN-PAK では場作り・機会作りを行う為にボードメンバーの一員として参画している。関西在住の若者にとって挑戦しやすい環境を創るためにKANSAI U25 SUMMITという25歳以下の精力的に活動している若者を集めたピッチイベントを毎月開催し協業支援を行う。
Twitterアカウント:https://twitter.com/yuukey0716
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