壊れゆく故郷を憂う
壊れゆく故郷を憂いながら、最近よく思い出すのは学生時代の記憶だ。
夏の熊本の高校生のデートスポットといえば、(筆者の周りだけかもしれないが(笑))江津湖の周りをただグルグルと散歩したり、ボートに乗ったり、嘉島の天然プールで泳いだり、阿蘇山に出かけたりすることだった。
熊本県民は豊富な水とともに育ってきた。
夏の終わりの江津湖の納涼花火大会は、一年の楽しみの一つだった。
そんな記憶の中にある美しく懐かしい場所が、一つ、また一つと壊されていく現状は見るに耐えない。
江津湖の周りの土地は、外国人に買われ、阿蘇はメガーソーラーで真っ黒に姿を変えている。
TSMCの第二工場の場所は未だ発表されないが、菊陽町の周辺という話もあれば、嘉島かもしれないという話も聞こえてくる。
熊本県は環境アセスメントも実施せず、地域住民の声を全く聞こうとしない。県民の生活が大きく変わることが、県民の知らない間にどんどん進められている。
嘉島は、豊富な地下水を生活用水として賄い、「全国で唯一水道のない町」として有名だった。嘉島の友人はよく、「嘉島は水道代無料だ」と自慢したものだ。ところが、2019年に簡易水道が整備されることになった。そして2021年には水道のない嘉島は姿を消した。
この一連の上水道の整備事業は、TSMCの地下水利用のためだったのではないかと疑わずにはいられない。
蒲島知事は、2023年1月12日放送のKKT(熊本県民テレビ)の番組の中で熊本県の蒲島知事は、涵養通じて地下水を戻す計画であるが、「将来的にもっと水の需要が増大した時に、地下水が足りなくなる可能性もある」「トイレの水くらいはダムの水で良いのではないか」と言及した。
熊本県は地下水をT S M Cに優先的に使わせ、県民が地下水を使用できなくなるのではと思わずにはいられない。