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【2023年7月ふくしま部スタディツアー】参加者レポートvol.1

皆さんこんにちは!今回から3回に渡って、2023年7月に行った福島スタディツアーの模様を参加者の皆さんよりお届けします。
トップバッターで1日目をレポートするのは「チヒロ」さんです!


この度、ふくしま部主催の福島スタディープログラム2023に参加させて頂きましたチヒロです。例年、参加した方から「学びが多い」「非常に有意義なスタディツアー」「福島の今を知ることができる」と非常に評判が高く、参加を決めました。結論から言いますと、原発ツアーを始めとする貴重な学びと、素晴らしい若手リーダーとの交流の機会があり、心から参加して良かったと思えるツアーとなりました。簡単ではありますが、体験した内容をレポートします。



参加動機について

私は普段、教育系の仕事や都市に関する企画業務に携わっています。もともと福島県出身で中学生の頃、県内で東日本大震災を経験しました。進学と同時に上京し、その後の福島との接点は、実家への帰省くらいしかありませんでした。

振り返ると、今までに何度か福島県出身者として震災の経験談や、原発に関する意見を求められることがありました。学部時代には、留学生に原発の技術的な疑問を投げかけられ、答えられずにむず痒い思いをしたこともあります。

ふくしま部の活動自体は三年ほど前から知っており、なかなか都合が合わず参加を断念していましたが、今年は仕事も調整ができたため、自分自身のルーツをより深く知るための良い機会にしたいと考えて、応募を決意しました。

様々な現場に赴いて学びを深めていく(筆者、写真右)

福島スタディープログラムとは

はじめに、今回のスタディーツアーについて簡単にご紹介します。

正式名称は「ふくしま部2023福島スタディープログラム 福島はじまりの共創ツアー〜福島で描き、考える3日間〜」で、世界経済フォーラムにより組織される20-30代の若者によるコミュニティGlobal Shapers Community 横浜ハブが運営母体となっています。

ふくしま部は「福島の今を知る」ことを目的に始まり、年2回、国内外からの参加者と共に主に福島県の浜通り地域を訪れるツアーを開催しています。今回はアーティスト枠の募集があり、多様な価値観・感性を持ったメンバーでの共創をテーマにツアーが実施されました。

詳しくは、プログラム概要をまとめたこちらのページから。
https://note.com/gscyokohama/n/n68082b6a9b6c

40人を超える多様なメンバーで実施される @ 東日本大震災・原子力災害伝承館

現場を知る、現場で知ることの意義

7月28日朝。
参加者が福島駅西口にぞろぞろと集まってきました。事前のオンライン打ち合わせは一度ありましたが、直接対面するのはここが初めてです。受付を済ませたメンバーが早速バスに乗り込んでいきます。

期待を胸に受付を済ませる参加者たち

バスに乗り込むと、早速点呼が始まります。事前に資料もPDFでもらっているので、参加者はツアーの流れは理解していますが、事務局から挨拶と念の為、簡単なスケジュールの説明があります。参加者の期待と共に、バスは最初のプログラムの会場へと走り出します。

期待を胸に膨らませた参加者を乗せ、バスが出発する

最初に到着したのは紺野果樹園さん、福島の桃農家さんです。ここでは、震災前と後とでの取り組みの変化や風評被害の影響などを農家さんの視点からお話を頂きます。

当時の状況についての貴重なお話を伺う

お話を伺った後は、みんなで桃狩りに挑戦!もぎたての新鮮な桃と、一日寝かせた完熟の美味しい桃を食べ比べました。参加者全員が美味しい桃に舌鼓を打っていました。

美味しい桃に満足している暇もなく、参加者はバスに乗り込み、次のプログラムの場所へ。道中では、メンバー全員による参加した理由や自己紹介が行われました。中には、今回が福島県初上陸のメンバーもおり、何かしら学びを持ち帰りたいという声が挙がっていました。

全員で桃狩りに挑戦!

大きなホームセンターをリノベーションした施設

そのまま続いて到着したのは図図倉庫(ズットソーコ)さん。共同代表の矢野淳さんが迎えてくれました。震災後、もともとホームセンターだったこの施設をリノベーションして、市民の自由研究拠点として地域に解放しているそう。様々なワークショップやイベントが実施されています。また、同時に地域企業の実証実験の場になっていたり、シェアオフィスとしても活用されているそうです。見渡してみると、倉庫内には小学校の用具が並んでいます。廃校となった小学校から、役目を終えた設備が再び活用されているそうです。

施設のイラスト(HP参照)

分野・地域・世代の垣根を超えていろんな人が集まり、飯舘村や世界が抱える環境問題と、これからの地域環境づくりにアプローチする秘密基地。
「図 ( はかる )」という字には「くふうして努力する」「目的のためにくふうする」といった意味合いがあります。
村の人や科学者、アーティスト、学生など、 様々な視点から実験を繰り返しながら、次の世代に自信を持って受け渡せるような、世界に誇れるような、 ずっと続く地域環境づくりを目指したい。 そんな思いを「ズット」という読み方にも込めました。

https://www.zuttosoko.com/

矢野さんによる施設案内の後、各自、施設内を見学しつつ、質疑応答する時間を頂きました。今後の展望として、今後も増える観光客に対して、この図図倉庫を起点とした県内のツアー企画に力を入れたいとお話をして頂きました。

図図倉庫共同代表の矢野さんによるレクチャー

一同は再びバスに乗り込み、次の場所に向かいます。続いて到着したのは、林に囲まれた小さな農園。ここではコミュニティ実験農場として、地域の人たちと共に珍しい作物を実験的に育てるという取り組みを行っており、商品化も実施しています。ビーツの種類であるゴルゴ、ルナ、ソーレを「ゴルゴ・ナミエ」、「月と太陽」というブランドで売り出して注目を集めています。

少しだけ農園のお手伝いもできました!

この日は、獣害対策に効果があると言われるヒトデに色を塗り、農園の周りに設置して、周りの草刈りのお手伝いを行いました。その後、近くの道の駅に移動して、なみえ星降る農園の園主でもある高橋大就さんの活動についてお話を伺いました。

地域での取り組みについてレクチャーを受けるメンバー

被災地である福島の食に関するイシューを解決したい、と熱心にかつ、それでいて冷静な口調で私たちに語りかけてくれました。質疑応答の時間には、メンバーによる質問が止まらず、会場の閉館時間まで質疑のやりとりがされていました。

長かったプログラムもようやくこれで一日目が終了です。参加者はバスに乗り込み、レクチャーで学んだこと、自然の中で感じたことを心の中に描きながらホテルへと向かいます。ホテルについてからも、地域で活躍されている方々との食事会があり、メンバー同士でも親睦を深めていました。まだまだ、夜は長そうです。

感想とこれからの展望

ふくしま部の活動を通して、実際に現地を訪れ、地域のプレイヤーにお話を伺う機会も多く、自分の中で整理する時間が必要なほど、多くの学びを得る有意義な時間となりました。特に個人的には、市民参加型の都市芸術の活動に関心があったため、図図倉庫の取り組みに共感し、地元福島にこういう場所が出現していることに、嬉しさと期待が入り混じったポジティブな気持ちでいっぱいになりました。

またDAY2以降も素晴らしい訪問先に恵まれ、自分自身の価値観を広げることのできたスタディツアーとなりました。個人的に次回以降もぜひ何らかの形で関わり続けたいと考えています。

参加前に感じていたある種の後ろめたさのような、言葉にしにくい“故郷”に対する気持ちも少しはクリアになりました。一方で、原子力発電所の廃炉計画も今後も実行され、地域の復興も進んでいく中で、一回限りの訪問で終わらせることなく今後も定期的に訪れることで自分なりの福島との付き合い方を模索していきたいと思います。

改めて、今回はこのスタディツアーに関わって頂いた関係者の皆様にこの場を借りて御礼を申し上げます。大変、貴重な機会を頂き、ありがとうございました。 

桃農家さんで撮った一枚、みんな良い顔!

ふくしま部とは

福島のために、じゃない。
「震災から10年。福島のために何かできないだろうか?」それが議論のきっかけだった。
でも、実際に訪れてみて感じたのは、福島が秘める可能性、面白さ。
仲間と話せば、自然と色々なアイディアが湧いてくる。
考えてみれば「福島のために」と考えること自体、どこかタニンゴトで、オコガマシイのかもしれない。
私たちが、私たちのために、福島を知り、楽しめる。
福島を軸に人と人がパズルのように繋がり、新しい絵が浮かんでくる。
そんなコミュニティーを目指し、「ふくしま部」を始めます。

https://fukushimabu.com/

Global Shapers Community について

Global Shapers Communityは、世界経済フォーラム(ダボス会議)により組織された、多様なバックグラウンドを有する20-30代の次世代リーダーによるコミュニティです。
地球上の人口の過半数が27歳以下の若者であることから、ダボス会議をはじめとする国際社会の舞台において若者の意見を届けることをミッションに掲げています。
現在、全世界に400以上のハブが設置され、約10,500名のシェイパーが、地域における諸課題を解決することを目的として活動しています。

About Us — GSC-Yokohama Hub
文章:安藤 智博
写真:広川 誠

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