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【2024年1月スタディーツアー】津南町の持続可能な未来を考える
2024年1月27日〜28日にGlobal Shapers Yokohama Hub Rising Sun Green Makers主催の新潟県津南町視察に参加してきました!初めて津南町を訪れましたが、温かい人々と美味しい日本酒、美しい雪景色に魅了されました。以下2日間のレポートです。
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1日目
東京駅を出発し僅か1時間半程で越後湯沢駅に到着。越後湯沢駅はインバウンドの影響もあり、人で溢れ返っていましたが、その理由も分かります。新潟県の地産名物や加工品がずらりと並ぶCoCoLo湯沢がんぎどおりは、歩いているだけで楽しい時間を過ごすことができました。特に興味深かったのが、以下のAI日本酒ソムリエ。自分の気分や好みによって最適な日本酒をAIがおすすめしてくれるようです。
後ほど津南醸造さんを訪問する予定があったので、ここでは日本酒を購入しませんでしたが…是非次こそは使用してみたいと思います!
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越後湯沢駅からバスに乗り、津南町に到着。今回のメインイベントである【津南町の持続可能な未来を科学するシンポジウム】に参加しました。今回のシンポジウムは津南町のローカル新聞でもアナウンスがあったとのことで、地元の方もご参加されていました。
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津南町町長の桑原さんからは、津南町の成長戦略についてお話をいただきました。津南のお水・お米や日本酒は、国内のみならず海外進出も狙える特産物である他、ジオパーク、雪といった観光資産も津南町の魅力であり、魅力を発信していくことで外からの人を誘致し、新しい産業の創出になり得ると未来を語っていただきました。お話を伺う中で、津南町の魅力を正しく理解し、外部に伝わる形で情報発信する点が重要なのだと感じました。
鬼や福ふく代表の島田さんとEco-porkブランド戦略室長の沼澤さんには、養豚業における循環型豚肉経済圏についてのお話をしていただきました。島田さんは、津南町で養豚業を経営されており、養豚にて発生した有機の堆肥を有効活用して畑に還元し、とうもろこしやアスパラガスを生産されています。とうもろこしは鬼もろこしというブランドとして販売し、地元の皆様からも愛されているようです。その養豚業をDXソリューションで効率化しているパートナーが沼澤さん。豚の体重や健康状態、出荷頭数在庫等を手作業で管理するのではなく自動化記録を実現しています。
また、世界初のユーグレナEco-porkの立ち上げも興味深い話の一つでした。製造過程で生み出される余剰のユーグレナを、飼料として豚に供給することで、ユーグレナがCO2を吸収する分養豚業全体のCO2を吸収することとなり、環境に優しい養豚業を実現しているというのは先鋭的でした。
津南醸造代表の鈴木さん、FARM8代表の樺沢さんは、津南の日本酒の可能性を、発酵×地域特産物×生成AIという視点で語っていただいたのが印象的でした。津南醸造の日本酒は雪の恩恵を受けて造られています。河岸段丘における雪解け水で栽培されたお米を使用し、雪のシーズンに酒造りをすることで、空気中の塵が雪に絡め取られて純度の高い日本酒が出来上がります。海外認知にも今後力を入れることで、新しい地域復興の可能性を模索しているとのこと。直近では、GO POCKETという100mmミニボトルサイズの日本酒が、Air Japan(ANAグループ第三ブランド)の機内用アルコールに採用されました。
シンポジウムを通じて総じて、情報発信力がキーワードだと思いました。津南町は人口減少や高齢化と言う課題に直面している中、魅力を限られた町民が理解しているだけでは意義がない。
今後は、「海外をも視野に入れた外部への情報発信が地域活性化において重要になる」と理解することができました。また、未来を作る町の子どもたちへの地域教育にも力を入れ、津南町で何かをしたいと思う人材を増やして盛り上げていきたいというビジョンを掲げて会は終了しました。
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こんなにも沢山の賞を受賞されています!雪のシーズンに酒造りが行われるということから、実際に洗米から蒸米、仕込み、発酵、上槽の過程を見学しながら日本酒製造の工程を学ばせていただきました。
酵母の種類で日本酒の風味が変わってくること、麹が味の決め手となると言う点が興味深く、実際に様々な津南醸造の日本酒をテイスティングさせていただきました!
参照:日本酒ができるまで~「日本酒の製造工程」 - オエノングループ
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最後に、今回の旅の中で印象的だったことを記します。それは、日本は昔ながらに地域内で自然に循環型で持続的な生活を築き上げてきた、ということです。
例えば、日本酒造りの工程では、酒粕が日本酒とは別に出てきますが、酒粕を副産物として使用する・リユースする考え方が昔からありました。津南醸造では酒粕を使ってジェラートにしています。
SDGs、気候変動の文脈で注目されがちな循環型・持続型社会というのは、気づいていないだけで身近に存在するのではないか、日本の様々な地域から学べることがあるのではないかと考えさせられました。
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