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2021GSC福島スタディープログラム【総集編】

みなさまこんにちは!GSC横浜ハブの牧野です!早くも2022年になってしまいましが、2021年の11月12日~14日に行った福島スタディープログラムの振り返りをしていきたいと思います!

2020年度のスタディープログラムよりもパワーアップした内容で非常に濃い3日間を過ごすことができたと感じています。また、私たちが立ち上げたフクシマ部というコミュニティーで長く福島の皆さんやスタディープログラムに参加してくださった皆様と繋がっていきます!

2021年度には日本、ウクライナ、インド、タイ、ノルウェーなどから38人が参加してくれました。11月12日から2泊3日で、福島県の飯館村、大熊町、富岡町、浪江町、双葉町を訪れました。

【Day 0】事前学習会 

今年から新たに事前インプットと参加者の事前交流会をオンラインで開催しました。
目的は以下の2つです
➀実際に訪れる場所の事前理解を深めておく
➁参加者同士を事前に知りコミュニケーションをスムーズにする

 事前学習会では私の方からスタディープログラムの概要を説明させていただいた後に環境省の庄司さんから環境省の取り組みである環境再生事業についてのご説明をいただきました。主に福島の除染の状況や除去土壌の現状、そして私たちが1日目、2日目に見学させていただく土壌の再生事業について30分ほど講義をいただきました。
次に経済産業省の木野さんより福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取り組みと放射性物質を含む汚染水を浄化した処理水の海洋放出についての現状を伺いました。2日目に訪れる福島第一原子力発電所についての基本情報をいろいろ学ぶことでき、非常に有意義な1時間になりました。

その後、約1時間ほど参加者同士でブレイクアウトルームに分かれ、自己紹介や福島スタディープログラムに応募した理由など共有するセッションを開催しました。現地で会えるメンバーを事前に知り、より安心かつ、ワクワクして当日に臨めたと思います!

【Day 1】福島のこれまでの10年間とこれから

11月12日、初日はJR福島駅に9時集合です。昨年度は常磐線で浜通りに向かいましたが、今年は目的地が違うので、福島駅の集合でした。そこからバスに乗り込んで最初の目的地である飯館村の環境省が管轄している除去土壌再生利用事業場に向かいました。バスの道中では木野さんのお話やメンバーの自己紹介など楽しみながら進んでいきました。

飯舘村長泥地区における再生利用実証事業

飯館村の除去土壌再生利用事業場では大きく2つのことが行われています。
1つ目は、土壌の再生資材化です。
2つ目は再生資材を使用して農地を造成し、作物などの栽培実験を行うことです。

バスを降り、事業所へ着き、まずは環境省の方からお話を受けつつ、土壌を再生している現場へ。現場では黒い袋に入った土壌を再生資材化する工程を見学しました。ここでは土のう袋から除去土壌を取り出し、土壌の分別、放射線濃度確認、品質調整などがされています。

運ばれてきた土嚢の袋を破り、分別工程の前処理を行っている様子
異物などを除去し、再生資材を取り出す工程の様子
全体の行程をモニタリングしている様子。放射線量などもしっかりと測定されています。

次に私たちは再生土壌を用いて植物を露地栽培やビニールハウス栽培している場所を見学しました。予想より多くの品種が栽培されていました。再生土壌の盛り土で育った野菜や花の放射線濃度を測定し、再生土壌の安全性に関するデータを集めています。こちらのページに放射線量の測定結果もあります。

再生土壌の計画や関わってくれる農家さんなどが掲載されているボード
再生土壌の盛り土を使ったキャベツの栽培実験
ビニールハウス内での花の栽培実験の様子

飯館村での実証実験から感じたことは、昨年度中間貯蔵施設を訪れたときにこの多くの土のうはどうなるのだろうという問いの答えだと感じました。土のうの再生利用に向けて着々と準備が進んでいました。

もっと詳しいことが知りたい方はこちらの環境省のページから詳しく見ることができます!

東日本大震災・原子力災害伝承館

次に私たちが向かったのは東日本大震災・原子力災害伝承館です。2020年9月に開館した伝承館は、福島が復興に向き合ってきた「証」を、アーカイブ(資料)として収集、保存、展示することを目的としています。

左手に見えるのが伝承館、右手に見えるのが双葉町産業交流センター

資料館ではまず、7面あるスクリーンの映像を見るところから始まります。内容は震災前の生活、自身、津波を中心とし、原発事故やその後の取り組みについて総合的な内容になっています。
映像を見たのちに、展示エリアに向かいます。展示エリアの風景を一部ご紹介いたします。とても学びが多く、まだ訪れたことのない方はぜひ行ってみてください!

スクリーンの裏の浜通りの歴史年表
原子力発電所ができた当時の小学生による作文等の展示
事故当時の状況を伝える掲示板
双葉町の津波前と津波後

双葉町役場と双葉町街歩き

伝承館を後にした私たちは次に双葉町役場を訪問しました。建物内は地震当時の風景が残っており、10年間時が停止しています。

町役場外観
原子力発電所の情報伝達板
町役場2Fの様子。奥のカレンダーは2011年3月のまま。

町役場で震災と原発事故の大きさを再び体験した後は、双葉町の街歩きへ。町役場から双葉駅の方面に向かって歩きます。
この場所は以前はバリケードがあったのですが、最近になってなくなり、居住者ではなくても入ることができるようになりました。この場所では震災により、住居が大きく損傷しており、震災の重さを体感できる非常に貴重な場所だと感じました。

震災により倒壊した建物
道の両側には倒壊した建物が多くあります

このように道の両側に損傷を受けた建物を見ながら駅に向かって歩いていきました。駅に近づくとアートの作品がいくつか見られました。ここでは「FUTABA Art District」というプロジェクトが取り組まれており、とても素敵な壁面アートが駅周辺一面にありました!

「FUTABA Art District」の取り組み詳細はこちら

倉庫の壁面や塀に描かれたアート
さりげなくこんなところにも

アートを見た私たちは初日の終着点である双葉駅に到着しました。ここでは左側の旧双葉駅舎でまちづくりをしている方のお話を聞いたり、双葉に関する書籍を読んだり思い思いの時間を過ごし、ホテルへと向かいました。

左が旧双葉駅舎、右が新双葉駅舎

ホテルでは夕食後、経済産業省木野さんへの質問コーナー。いろいろな室温や熱い議論が繰り広げられました。

【Day2】環境とエネルギー

2日目はこのスタディプログラムのメインイベントである福島第一原子力発電所を訪問します。訪問に先立ち、原子力発電所の訪問出発点である東京電力の廃炉資料館へ向かいます。廃炉資料館では、原子力発電所の現状などのご説明をいただきました。今回は残念ながら時間の関係で展示を見学することはできませんでしたが、次回はぜひもっと見学したいと思っています。

福島第一原子力発電所

そして私たちはバスに乗り込み、福島第一原子力発電所の敷地内へと向かいました。前回は発電所の建屋が見える高台以外で降りる内容であったため、ヘルメットや長靴などを装備しましたが、今回は高台のみでしたので、放射線カウンターと軽装備のみでした。敷地内でバスに乗り込み、処理水をためているタンクなどを見ながら、原子力発電所の建屋まで約100mのところの高台へ。ここでは安全なレベルですが、被ばく線量は多くなり、カウンターの音がなります。

原子力発電所まで100mの高台から見学の様子
高台付近の被ばく線量の単位。Svはシーベルトで人が受ける被ばく線量の単位

次に私たちは放射線物質が含まれている水を浄化する多核種除去設備(advanced liquid processing system、通称ALPS)装置の見学をしました。
汚染水」と「処理水」は全く違うものです。汚染水は、原子炉の内部に残る、溶けて固まった燃料(「燃料デブリ」と呼ばれます)を冷却し続けるために水を使うことなどから発生しています。この汚染水は雨水や地下水などによりどうしても発生してしまい、今でも毎日140トンほど発生しているといわれています。この放射線物質が含まれている「汚染水」を処理して浄化を行うALPSを見学しました。ALPSは62種類の放射性物質を取り除くことができます。ただし、ALPSでは「トリチウム」を含んではいるものの、大部分の放射性物質を取り除くことができます。このALPSで処理した水を処理水と呼びます。
詳しくはこちらの経済産業省のページを見てみてください。

トリチウムは三重水素と呼ばれており、水素の仲間で自然界にも存在します。発生する放射能のエネルギーは非常に弱く、紙一枚で遮ることができ、環境や人体への影響はほとんどないことは分かっています。

処理水を手に取り、実際に放射線量を測定するメンバー

中間貯蔵施設

次に大熊町・双葉町の中間貯蔵施設を訪問します。まずは、中間貯蔵工事情報センターへ向かいました。ここでは、まず中間貯蔵施設に関する展示の見学や映像を見て、中間貯蔵施設についての理解を深めました。その後、バスに乗り、中間貯蔵施設敷地内を見学しました。

中間貯蔵施設内の風景。いたるところに土のうが見られます。
受入・分別施設から土壌貯蔵施設へ土壌を運ぶ際に利用するベルトコンベア。長さは約1.4km。
中間貯蔵施設(大熊④工区)から見える風景。奥には福島第一原発も見える

震災遺構浪江町立請戸小学校

中間貯蔵施設を後にした私たちは福島県初の震災遺構に認定された請戸小学校を訪問しました。こちらは2021年の10月から一般公開されている建物です。まず校舎を外側から見て、津波の恐怖を改めて実感しました。津波は二階部分には届かなかったものの、校舎の一階部分は津波により被害を受け、ほとんどの物が流されてしまっていました。

請戸小学校の外観。校舎右側の青い印の高さまで津波に襲われた。
生徒と児童の避難経路。「津波が来る」と山へ走った。
校舎内の様子。多くの物が流されてしまった。

まずは校舎内、校舎まわりの一階部分を見学しました。請戸小学校は海岸から約300メートルのところに位置しています。地震の後、生徒全員は1.5キロ離れた太平山に避難し、無事だったことが何よりでです。

その後、二階を見学しました。二階には写真の展示や当時使われていた時計など様々なものが展示してありました。壁には地域広報誌の広報なみえが張られていました。原発誘致当時(昭和46年)の広報誌です。原発と地域開発に非常に大きな希望をもっていたことが読み取れます。

広報なみえ。昭和45年5月15日発刊。
津波の影響により 曲がってしまった時計。

請戸小学校を後にした私たちは請戸漁港へと寄り道。素敵な写真を撮り、本日の旅路はここで終了し、ホテルへと戻りました。

フクシマ部。夕暮れとともに。

【Day3】みんなで福島の未来を考える

NPO法人Jinさん訪問

私たちは3日目の朝、浪江町にあるNPO法人Jinさんを訪問しました。こちらでは震災前からは野菜の栽培やデイサービスをしておられ、震災後から花弁栽培を始められたそうです。トルコギキョウをはじめとし、多くの品種を育てておられます。

カラー(Calla Lily)の栽培風景

NPO法人Jinさんでは研修生なども受け入れて、若者や夫婦のUターン促進などもしており、実際にこちらにお世話になったのちに独立した方が何組もおられるそうです。実際のお仕事の内容を聞くととても魅力的で、これからどんどんやりたい人は増えるのではないかと思いました。

代表の清水さんとの質疑応答の様子

素敵なインタビューがいくつかありましたので、リンクをご紹介させていただきます。

HAMADOORI 13さんのご講演

浪江町を後にした私たちは午後のリフレクションの会場「linkる大熊」へと向かいました。こちらは2021年10月にできたばかりの大熊町の新たなシンボルです!温泉宿泊施設も併設されており、活気がありにぎわう未来が想像されます。
こちらの多目的ホールでHAMADOORI 13の代表の吉田さんよりご講演をいただきました。

福島県の浜通りには13市町村があり、浜通りの青年が中心となって地域連携を実現し、地域の発展に貢献するためのプロジェクトです。
吉田さんにはなぜこの事業を始めたのか、そしてどのようなことに取り組もうとしているのかをお話いただきました。

講演後の振り返りタイム

リフレクションとアイディエーション

吉田さんの講演の後はリフレクションの時間です。
まずは個人ワークで今回のスタディプログラムで学んだことを3つ箇条書きで書いていきます。その後、書いた内容を5人ほどのグループ内で共有します。
次はアイディエーションの時間で、今後フクシマ部の活動でできたらいいなということを考えていきます。そして紙に自分のやりたいことをハッシュタグで書き、その紙をもってうろうろし、似たような関心のメンバーを見つけていきます。
そして、こんなことができたらいいねということを深め、発表していきます。いろいろなアイディアが出てきましたので、写真で掲載していきます。

お金の猛者にならない部
魚バル。自分で魚を釣って、放射線量を測定してたべる海のツアー
移住未満、無関心以上の関わり方を増やす「Bridge」
#復興とは それぞれの復興の形を探りながら、復興と何かを掛け合わせ、実現していく。


福島板OISTを作ろう。教育を軸に地域との連携を図っていく
It's time コミュニティ形成やイベント、イノベーションを生むことが大事という意見

まとめ

今年もスタディープログラムで現地を訪れて、昨年度とは明らかに変わった部分をいくつか見ることができました。例えば、大熊町や双葉町あたりのバリケードが多くの部分でとられており、着実に前へ進んでいることを実感できました。

また、私たちフクシマ部ではコミュニティ活動も行っております。ツアーの企画、運営に関わってみたい人、福島との接点を増やしたい人、福島で何かやってみたい人を募集しております!
ご興味ある方がいましたら以下のメールアドレスまでご連絡いただけると嬉しいです!

連絡先

info@fukushimabu.com

次回予定

次回のフクシマ部スタディープログラムは2022年07月29日から31日です!こちらは英語で実施する予定です。年内にもう一度開催する予定であり、2022年11月3日から5日です。参加したい方はぜひとも予定をあけておいてください!!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
みなさまと福島で会えることを楽しみにしております!

取材リンクなど↓

https://www.hamakei.com/headline/11593/?fbclid=IwAR2MtdoXMwnAoIRl52FKt1fEu8SB-MbHvwmmNLJzSHZ-rXKtSY_apfy-GtA


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