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【開催報告】トイレと代名詞だけだと思うなよ〜トランスジェンダーの悩み〜(2021/05/25)

皆さんこんにちは!学スタのまなみです。

今回は、5月25日(火)14:50〜16:10に開催されたイベント「トイレと代名詞だけだと思うなよ〜トランスジェンダーの悩み」について振り返っていきたいと思います!私が初めてメインで企画・準備し、開催させていただいたのですが、すごく大変でした…

イベント開催当日も、めちゃくちゃ緊張していました…あたふたした感じで、頼りない進行でしたけど、参加してくださった方が参加してよかったと思えるようなイベントになっていたら嬉しいです。

1.イベント概要・企画背景

まず、イベントタイトルを見てびっくりした方もいるのではないでしょうか。実は、「トイレと代名詞だけだと思うなよ」というイベントタイトルは、以下の画像に由来しています。

画像3出典:PinkNews (2021): https://www.instagram.com/pink_news/

左図は人々が考えているトランスジェンダーの悩みを表し、右図は実際のトランスジェンダーが抱える悩みを表しています。右図を見てこんなにいっぱい悩みがあるのか…!と驚かれた方もいるんじゃないでしょうか。トランスジェンダーの悩みはトイレや、he・she・ze・theyなどの認代代名詞に目を向けられがちです。しかし、現実ではジェンダークリニックで診察してもらうまでにかかる時間や、手術費、トランスジェンダーに対する暴力など多岐に渡ります。(トランスジェンダーに対する暴力については2020年、アメリカにおいて殺害されたトランスジェンダーの数が過去最高となってしまったようです。参考:https://front-row.jp/_ct/17420090

以上のようにトランスジェンダーの悩みが多岐に渡る中で、あまりにそれらが共有されていないということに危機感を抱き、イベントを開催してみんな(当事者・非当事者関係なく)で考える場を作るべきなのではないかという思いからこのイベントを考案しました!イベントはワークショップ、ゲストによるライフヒストリー、ディスカッションを含んでおり、それらを通して、参加者の方々に実際にトランスジェンダーがどのような悩み、思いを抱いているのかを考えてもらいました。イベントの中で考えることを通して、社会におけるジェンダー規範についても再考する機会になってほしいという個人的な願いもあります。

2.ワークショップ&ディスカッションの様子

イベントでは、ワークショップやディスカッションを行いました!ワークショップでは架空のトランスジェンダーAさんを設定し、このAさんが抱きうる悩みを皆さんにあげてもらいました。 

〜ワークショップの様子〜 

【Aさんの事例】
Aさんは早稲田大学の3年生で、戸籍上は男性です。
性自認が男性ではないと感じているものの、
完全に女性だと自認しているわけではありません。
Aさんはいろいろ考えた結果、
「女性」として生活することが自分に合っていると考え、
社会的には「女性」として大学生活を送ることにしました。
 (立ち振る舞い、服装、化粧など)

以下、イベントで提示したAさんに送られたラインの文章とメールです。(架空)

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以上の事例を踏まえて、参加者の方々から様々な意見を頂きました。

・健康診断の時、第三者から勝手にジェンダーを判断されることがある
・旅行の例だと、パスポートをコピーして送らなければいけないのは、望まない人にカミングアウトすることにも繋がってしまう
・性別欄で「その他」があるのは良いけど、これを選んだらマイノリティ扱いされてしまうのではないか
・体育の授業だと、男女別での活動があるので、スポーツの面だとそこの理解が進んでない

など短い時間でしたが、色々な意見を頂きました!

 ここで、個人的にパスポートなど身分証にかかる不自由さを取り上げてみたいと思います。大学生だと、サークルの友達と車を借りてドライブに行くという機会もあるのではないでしょうか。身分証明書として運転免許証は性別欄の記載がなく、出生時に割り当てられた性別を開示したくないトランスジェンダーにとって、運転免許証は身分証明書を提示する際に便利です。しかし、近年、運転免許証とマイナンバーカードを統合しようという動きがあります。先ほど述べたように、運転免許証は性別欄がないのですが、マイナンバーカードは性別欄の記載があるため、もしこの二つが統合するとなったら、性別欄の記載がない運転免許証がなくなってしまう可能性があるのです。このように、身分証一つとっても、様々な問題が山積している状況があるのです。

〜ディスカッションの様子〜

 ディスカッションでは、二班に分かれてワークショップやゲストのライフヒストリーを受けて参加者の皆さんに自由に話し合ってもらいました!グループでは

・トランスジェンダーが名前を変えた際、過去の研究の業績が辿れなくなってしまう問題がある。これは夫婦別姓の話題にも繋がるのではないか
・ニュース報道などにおけるジェンダーのラベリングの多さ
・性自認とは別に希望する性という考え方があっても良いのでは
・一人称をどう使い分けるか
・貧困や障害と比べてトランスジェンダーの悩みは矮小化されやすい

などのような意見が出て、トランスジェンダーに関する話題から別の話題に繋がったり、他の話題との共通点のようなものを見つけられたりすることができました。

3.学スタ後記 

冒頭でも述べましたが、イベントを開催するのはとても大変で労力を必要としました…しかし、イベントを開催するまでに他の学生スタッフの知識やアイデアを借りたり、職員の方にも協力してもらえたことによって無事開催にこぎつけることができました…!参加してくださる方もいないと成り立たないので、当日参加して発言してくださった方にも感謝です。

トランスジェンダーに関する悩みを解消しよう!と口で言うのは簡単です。しかし、それらの悩みは社会制度と、それに基づく人々の考えに密接に関連していることも多く、個々人で解決することは非常に困難です。そこで、まず重要なのは「知ること」だと思います。

「知ること」によって、当事者の悩みの範囲を改めて把握することができ、悩みの元となっている制度、風潮に対して働きかけることができるようになるのではないでしょうか。


学生スタッフ まなみ