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【開催報告】WASEDA LGBTQ+ ALLY WEEKS 2024「ツルリンゴスター作品から考えるAllyの在り方」(2024/11/26)

皆さんこんにちは!学生スタッフの、はるです🌞

今回は WASEDA LGBTQ+ ALLY WEEKS 2024 での一つの企画として11月26日(火)に開催した「ツルリンゴスター作品から考えるAllyの在り方」の報告をしたいと思います。このイベントは学スタのはる、もち、ルーが担当いたしました!当日は、はるともちが司会、ルーが超精密タイムキーパーとして運営しました。

多くの方々に参加いただき、とっっっても素敵なイベントとなりました!


イベント概要

多様なジェンダー・セクシュアリティーのあり方について、知識として理解している人は多いかもしれません。

けれど、そこからさらに一歩踏み込んで、実際に周囲の人との関わり方について考えてみる機会は少ないように感じています。

日常的に使っている何気ない言葉が、実は誰かを傷つけていることがあるかもしれません。どんな言葉が人を傷つけることがあるのか、それを知ろうとすることが、まず大きな一歩だろうと思います。

そこで、このイベントでは『ランジェリー・ブルース』『君の心に火がついて』『彼女はNOの翼を持っている』などの著者で漫画家・イラストレーターのツルリンゴスターさんをお招きして、ジェンダーやセクシュアリティの知識を行動に活かす方法やAlly(アライ、と発音します)の在り方について考えていきました。

大事な人を大事にするための具体な方法を考える良い時間となりました。

イベント中は、ゲストも、司会者やバックステージのスタッフも全員「呼ばれたい名前+さん」で呼び合いましたので、この報告記事の中でもそれを踏襲しここから先は「ツルリンゴさん」と書かせていただきます。

当日振り返り

イベントでは三つのパートに分けて、ツルリンゴさんにお話を伺っていきました!

  1. テーマトーク
    テーマ:LGBTQ+の人を取り巻く人間模様を描く際に意識していること

  2. 読者に聞いた!心に響いたこのシーン!

  3. 質疑応答


イベントのはじめに…

GSセンターではイベントを開催するにあたって、イベント担当者とゲストの方とで、毎度事前打ち合わせを行います。

その事前打ち合わせの際、ツルリンゴさんも、司会として参加させていただく学スタも、そしてバックステージのサポートとして入っているGSセンターのスタッフも、もしもトークの中でひっかかる表現があった場合、お互いに指摘しあいましょう、ということを決めました。

「Allyの在り方」を考えていくうえで、ひっかかりをそのままにせず指摘しあえる環境や関係性作りをこのイベント内でも実践していこうということでした。

これを、イベントの冒頭で参加者の皆様にもお知らせしました。

この約束をご提案くださったのはツルリンゴさんなのですが、約束を事前に決めておいたことでイベントに携わる人同士の信頼感と、イベントの安全性が高まったのではないかと思います。
参加してくださった方々により良い環境となったことに加え、司会を担当した私、はる自身、自分の非をきちんと指摘してくれる環境であることでいつもより安心して自分の意見を素直に述べることができたと感じています。

実際に、イベントの中で私が使った「旦那さん」という言葉に関して「どうしてもジェンダー言論が必要ならばせめて『夫さん』。でも基本的には(事前打ち合わせで決めた)『パートナーの方』とすべきである」と途中でバックステージのスタッフからコメントを受け、私がその場で無事発言を訂正することができた場面がありました。

このような雰囲気で進んでいったイベントの詳しい内容について書いていきたいと思います。

テーマトーク


このテーマトークでは「LGBTQ+の人を取り巻く人間模様を描く際に意識していること」を軸に、漫画のことやツルリンゴさんご自身の経験について詳しくお話を伺いました。

例えば、『彼女はNOの翼を持っている』の中で、子どもや友人の性的指向、恋愛的指向、性自認を決めつけずに接している様子が描かれたシーンの意図についての質問には、このシーンが生まれるきっかけとして

子どもが生まれた瞬間に
「この子のことを自分が支配することはできない(子どもの意志を尊重すべきというニュアンス)と思ったんです。」

と、ツルリンゴさんがご出産のときに体験したエピソードついてお話いただきました。

また、
Allyの在り方として大切なことや、Ally でありたいと思う人が日常生活で実践できることはなんでしょうかという問いには、

わたしたちは間違えるかもしれない、けれど大事なのは、間違えないことではなく、間違いを指摘されたときに謝ったり自分の言動を見直せるかどうかではないか

といったような答えをくださいました。
とっても素敵ですよね。わたしはとってもこの答えに勇気をもらいました。

素敵なツルリンゴ作品が生まれるにあたっての過程がお聞きできてとても意義深いトークタイムでした。

読者に聞いた!心に響いたこのシーン!!

次のパートでは、イベントにご参加くださった皆様から事前に頂いた、ツルリンゴさんの作品で印象的なシーンについて深掘りしていきました。

いくつか、イベントで実際に扱ったシーンを一部ご紹介します。お手元に本やアプリがある方は、ぜひ実際にこれらのシーンを改めて読み直してみて、これらのシーンを印象的に感じた方々の思いを想像してみてください…!                                                                      

「ランジェリー・ブルース」P.160-162 田﨑徳子さんの学生時代
初めて下着選びで楽しいって自己受容できたシーン

ここでは、ランジェリー・ブルースの制作の裏側としてツルリンゴさんが実際にフィッティングを受けた際のことをお話くださいました。

「下着フィッターは、あらゆる体を見ている。その体の優劣は見ていない。ただ、体に下着が合っているか、それだけを見ている。」

という気づきを得たそうです。

「君の心に火がついて」pp169-172 一哉とつむぎの対話        「私にはあなたが納得するために 言葉を尽くして説明してあげる義務はないのよ」~焔「他人を変えることはとても難しいよ__」

このシーンは学スタのもちさんにとって、ものすごく心に刺さったシーンだったようで、

「ちょうど読んでいた時に自分も似たような境遇に陥っており、相手との関係性が悪いのは自分の説明不足で自分が悪いと思い、自分を追い詰めていたが、ツルリンゴさんの漫画を読んでプレッシャーから解放された。」

と、自身を救ってくれたこのシーンについて熱く語っておられました~!

出版社の皆様にもご協力いただき、実際のシーンを映しながら、ツルリンゴさんにはこれらの多くのシーンについて制作の裏話やシーンに込めた想いなどをたっぷりと教えていただきました。

一つ一つのシーンをツルリンゴさんは葛藤しながら、丁寧に描いていらっしゃっているのが伝わり、「だから、あれほどまでに大切なことがギュッと詰まったシーンたちが出来上がっているのだな」と、私自身お話を聞きながらジーンとしていました。

質疑応答

このパートでは、事前に皆様から頂いたご質問にツルリンゴさんにお答えしていただきました!本当に多数のご質問を頂いたので、当初の時間を少しオーバーして、できるだけ多くのご質問にお答えしていただきました!

特に、私がツルリンゴさんのお話で心に残ったのは、このような言葉たちです。

「嫌だと言ったり、怒ったり、悲しくなったりすることは ”悪い” ことじゃなくて、嬉しいとか楽しいとかと同じように ”あなたの大切な気持ちのひとつ” だという意識が、自分や他の人をフラットに受け止める第一歩だと思います。」

「意見を言ったり、人とちゃんと話しをするの、大変だし失敗するし反省するし、私も本当に苦手です。でも、そういうことが得意だ!と思っている人より、苦手だけどなんとかやってみたいなと思っている人の方がたくさん伝える言葉を探す力を持っている気がします。

「自分の思っているままを言葉にするのはとても難しいので、やっぱり口に出す練習が大切です。まずは自分のことをありのまま話せるなという安全な場所、安心できる人と、すこしずつ深い会話をしていくと、以前よりすっと意見が口に出せるようになってきます。」

どれも今からすぐにでも実践できることで、自分や他者を大事にするための具体的な方法を示してくださり、貴重な学びとなりました!

イベントのおわりに…

最後にツルリンゴさんから一言メッセージを頂きました。そこで紹介された、イベント前夜のツルリンゴさんとお子さんとの会話に、私を含めGSセンタースタッフ一同ツルリンゴさんがこのイベントに対して真摯に向き合ってくださったことを感じ、胸を打たれました!

以上が、ざっくりではありますが、「ツルリンゴスター作品から考えるAllyの在り方」の実施内容となります。

改めて、参加していた方々、そして、ツルリンゴさん、ありがとうございました!


学スタ後記

今回イベントを中心となって担当した私はるは、今回が初めてのイベントで、学生スタッフとしても、Allyとしてもまだまだ未熟な私でいいのだろうかと不安でいっぱいでした。

しかし、

ツルリンゴさんから紡ぎ出される言葉はどれも優しく温かで、Allyとしてまだまだ未熟な私に「共に頑張ろう」とまるで手を差し伸べてくれているような感じがしました。

この感覚はツルリンゴさんの漫画を読んでいても感じたことで、「規範を押し付けない」や「性的同意」など大事なことだと分かっているけれど、今自分のいる地点からは遥かに遠くに飛躍しているために「どうしたらいいのだろう。」と呆然としてしまう事柄を、丁寧にひも解いて私のいるところにまで引き寄せてきてくれ、そこに近づくための私にもできる第一歩を教えてくれました。

少しずつだとしても自分を変えることを今日からまた頑張っていく勇気を漫画、そして、イベントを通していただきました。

忘れられない、大切なイベントを本当にありがとうございました。

今回のイベントを通して、私だけでなく、GSセンタースタッフのみんなも、改めてツルリンゴさんの大ファンとなりました。是非ともまたツルリンゴをゲストにお迎えしたイベントを開催したいと夢見ております。

その時は、今回参加してくださった方も、参加できなかったという方も、この記事を読んで興味を持ってくださった方も、是非ご参加ください!!

ここまで、読んでいただきありがとうございました。