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産業保健職と人事・総務の関係性をコロナ特別対応の後始末から考える。

どうも、がーすーです。
今回は新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類変更に伴う会社ルール変更間連で思うことがあったので記事にしてみました。

コロナ禍に始めた特別対応をどうするか?

コロナ禍において感染予防策としてテレワークを導入したり、公共交通機関のみだった通勤手段に車通勤を追加で認めたりといった対応を行った企業は多かったと思います。

新型コロナウイルス感染症の流行後、1回目の緊急事態宣言時には17.6%から56.4%へと上昇し、その後、緊急事態宣言解除後には低下するものの、2回目の緊急事態宣言時には38.4%に再上昇しました。

総務省 令和3年版 情報通信白書
総務省 令和3年版 情報通信白書

これらの特別対応を5類変更後にどうするかということは現在多くの会社で検討されている(されていた)と思います。そこに産業保健職が関わる(相談される)かは会社の判断に左右されます。
以下、簡単にフローチャートで示してみました。

  1. 会社として特別対応を継続する(ルールを変更する)かどうか

    テレワークや車通勤の継続が問題なければ、ルール変更の手続きを踏んでおしまい。社員さんたちはそれぞれ選択すればOK(産業保健職への相談はなし)となります。

  2. ルール化はしないが個別検討の余地ありとするかどうか

    だいたいの会社はルールを戻す判断になることが多いかと思います。そうなると、個別に特別対応の継続を認めるかどうかということになり、会社として「例外は認めない」なら一律で対応終了で産業保健職に相談はされません。

  3. 個別の判断を行う時に必要な情報を求められるかどうか

    2.に関しても、一律に認めないとはなかなかなりづらく、現状特別対応を行なっている社員さんごとに考えることになり、この際に産業保健職に実務者としての人事や総務部門から「どうしたらいいですか?」と相談が来る可能性があります。

個別の判断を行う際に考えることとして

実際に相談された場合、特別対応の大きな目的が感染予防ということを考えれば、現時点でのリスク(健康状態から考えられる感染時のハザードと感染可能性)を改めて評価して(医学的妥当性について)意見をすればよさそうです。

一例として、日常生活がすでに変化した(感染対策が個別判断になった)中で、業務面(通勤や出社など)だけ感染予防対策を継続する意味は乏しいとして、基本特別対応を行わないという考え方もできます。

リスクアセスメント的に考えるなら

  • ハザード
    →状況によるが業務従事できれば「感染時に一般人口より明らかに重篤な状況になる」とは考えにくい

  • 可能性
    →日常生活を過ごす以上に感染しやすいとは考えにくい

  • リスク(ハザード×可能性)
    →出社や公共交通機関での通勤を指示してもリスク許容できる

という流れで考えることができます。
実際には、疾病によりハザードの見積もりが、業務内容により感染可能性が変わるためリスク評価は簡単ではないですが、テレワークや車通勤の終了という点でいえばそこまでリスクが高まる状況はないように感じます。

なし崩し的に特別対応に乗っていた人をどうするか

一方で、会社からの相談を受ける中で健康面のリスクから特別対応をしていた人ばかりではないことに気づきます(特別対応に乗って少しでも感染可能性を減らすというのが間違っているわけではないですが)。

そのような場合は「体調面からのコメントはありませんので会社側が対応終了について判断してもらっていいですよ」と返せば良いわけですが「一応確認を」なんて言われることがあります。

理屈としては、コロナ禍に始めたものなので産業保健職の意見をもとに終了の判断したいということなのでしょうが、その裏には「対応継続を望む声への防波堤として使いたい」「そもそも労務上の問題があったがテレワークでそれが隠れていた人の対応を産業保健職に任せたい」などといった狙いが隠れている気もします。これを引き受けてしまうと「健康面・医療面に少しでも関わる困りごとは産業保健職に振ろう」という誤った認識が広がってしまう可能性があるので注意しましょう(そんな会社が多いわけではないですが)。

労務管理に首を突っ込まない

「出社させると仕事できなさそうだからテレワークさせましょう」とか
「テレワークだとサボるから特別対応は終了にした方がいいですね」など
のコメントも控えた方がいいです。

なぜなら、仕事ができるできないの評価(労務管理)は会社側(人事・総務)により行われるべきで基本的に産業保健職が判断できるものではないからです。

話はズレますが、契約上の労働時間(例えば8時間)を通して業務遂行ができない体調ならば「一般的に仕事はできないのでは」と言うこともあります。それでも会社が「労働時間関係なくアウトプットが出ればOK」と判断すればそれで会社としては良しとするということになります。

つまり今回の場面でも「テレワークしたいと言っているけど業務できているか?」と産業保健職が感じるようなケースでも、その評価・判断は会社側に任せることが重要なポイントです。

にも関わらず上の様なコメントをすると、その社員さんとのトラブルにもつながるし、会社側として面倒なケース(≒会社側として評価や対応をちゃんとしていないケース)に限って「体調面からどう対応すべきか判断お願いします、それに会社として従います」と頼まれることにもなりかねません(先述した問題あるけど隠れていたケースを産業保健職に振るパターン)。

役割分担は意識しよう

コロナへの対応から始まったルールの変化をどう戻す(変える)かについての産業保健職としての関わりから「産業保健職と会社側(人事や総務部門)で役割分担を意識する」ことの重要性を改めて認識できました。

責任を負いたくないから何もアドバイスをしないというわけではなく、出来るコメントは行った上で最終判断は会社側が行うということをしっかり意識しておきたいですね。

お付き合いありがとうございました。

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