4倍の費用対効果、誰をターゲットするより、何をしてるかをターゲットせよ
映画宣伝における行動ターゲティング
デジタル広告、デジタルマーケティングの世界では決して新しい概念ではない行動ターゲティング。Eコマースでは多様化するデータの活用の一部でしかない行動ターゲティングではございますが、映画宣伝においてはまだ、十分に活用されていないのが現状です。映画宣伝に関しては手法がデジタル化したとしても、それぞれの作品が世界観を持つ個別のブランドまたは製品で有り、その認知拡大を最重要課題として、その世界観にあった属性にどれだけ効果的にリーチすることに予算が割かれているのが現実ではないでしょうか。
この作品は若手女性向け、アクション好き男性といった属性と嗜好を掛け合わせたターゲティングが主に活用されていると思います。
映画業界の悩みと映画DMP
以前にも少しお伝えしましたが、映画業界と通常のEコマースあるいはゲームアプリなどのマーケティングが異なるのは、マーケティング予算を費やすのは配給会社であり、実際のチケット購入が発生し、誰が、いつ、何を購入したかなどのデータは劇場側やVODに蓄積さてており、配給会社側からアクセスするのはなかなか容易でない背景があります。
筆者の以前の職場ではこの課題に取り組むべく、複数の劇場さんとパートナーシップを締結し、映画のDMPを構築して、配給会社さんや劇場さんのマーケティング活動を支援してきました。ただ、当時はまだ、ECサイトのように購入プロセスの途中の人に再度プッシュする関連メディアで特定の行動をする人はチケット購入まで辿り着く可能性が高いなどのクラスター分析まではできていませんでした。現在は、当時より、進化していると思いますが、なかなか通常のECのようなマーケティングを実施するのは難しいのが現状かと思います。
Gruvi TAP
Gruviでは、2018年よりCreative Europeからの支援を受け、広告キャンペーンから取得できる各メディアのデータ、劇場チケット購入ページへのコンバージョンデータ、一部購買データ、劇場宣伝の為の複数広告を表示するガジェットで計測したデータなどをThe Audience Programme (aka TAP)というデータベースに蓄積、クラスター分析を実施しています。
最近では、ローカルのVODプラットフォームとも将来的なデータ連携について協力体制を築けないか検討を開始しております。
デンマークにおける劇場2作品のROA
コロナ感染拡大における劇場閉鎖前にデジタル施策を支援した2作品ではTAPのデータを活用し過去のキャンペーンデータをベースに作成したクラスターとリアルタイムの広告データ、SNSデータを組み合わせ、直近の行動からよりチケット購入をする可能性があるセグメントに予算を投下し、通常の興味・嗜好をベースとしたキャンペーンと比較しました。
結果は作品にもよりますが、EMMAでは3倍の費用対効果がありました。
EMMA
行動ターゲティング ROA:X 4.4
興味・嗜好ベース:X 1.4
The Way We Died
行動ターゲティング ROA:X 2.4
興味・嗜好ベース:X 1.8
行動ターゲティングだけを実施すればいいということでは決してなく、活用できるデータをうまく活用し、限られた予算から最大限の費用対効果を産む出す為の工夫を継続していくことが重要だと思います。
VOD配信とデータ統合に向けた課題
世界の劇場も徐々に再開に向け様々な準備をされているかと思います。なかなか、これまでの同じオペレーションでの再開は難しく、劇場公開と同時あるいは早々に配信(VOD)に踏み切る配給会社も今後増えることは間違いなさそうです。
今後はVODプラットフォームでのユーザーの行動、購買データとの連携、統合が望まれるところではありますが、こちらは利害関係の整理を含め、今後の課題ではないでしょうか。
無料コンサルテーション実施中
劇場再開、配信、広告モデルの配信、TikTokなどの動画アプリでの宣伝、、、映画業界の今後はどのようにデジタルを活用するか、できるかにかかっているのかもしれません。他の業界に遅れをとっていた分を一気に巻き返すのではないでしょうか。
Gruviでは、配給会社の皆さま、独立系の劇場運営の皆さまに向けてデジタルマーケティング支援を実施しております。現在、無料のコンサルテーションを実施しておりますので、ご興味のある方は、お気軽にこちらのコメント欄や下記からお問い合わせくださいませ。