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クラスター爆弾と韓国軍

1.集束弾について


クラスター爆弾、韓国語では집속탄(集束弾)もしくは확산탄(拡散弾)と呼ばれるこの爆弾は、弾頭中に十数から数百もの子弾を搭載し、広範囲の目標に対して打撃を行うために運用される。この記事では以降集束弾と表記する。

航空爆弾に搭載されるのが一般的であるが、火砲や多連装ロケット砲やミサイルにも搭載することができる。
集束弾は通常の爆弾のように地面に衝突してから爆発するのではなく、落下途中に空中で弾頭が開き、子弾を四方八方に撒き散らし、これらは地上に落下して広範囲に爆発を起こす。
この兵器の破壊力は甚大で、湾岸戦争の際にイラク軍は米軍が運用する集束弾から降り注ぐ子弾を雨に見立て、これを「鋼鉄雨(SteelRain)」と表現したという。
(余談だが、「鋼鉄の雨」という韓国の面白いミリタリーサスペンスアクション映画があるので、ネトフリを契約してる人はぜひ観ていただけると嬉しい。)

2.韓国軍と集束弾

集束弾の性質上、狭い地域に多くの軽目標が展開しているような状況でこれを使用すると、甚大な被害を発生させることができる。特に集束弾の子弾は基本的に対人爆弾として機能するため、これの爆発範囲内に居る人間は、相当な幸運の持ち主でなければ肉塊と化してしまう。これは北朝鮮軍が有する大量の歩兵や軽目標に対する効果的な打撃力となるため、韓国軍は集束弾を多数保有している

例えば、155mm砲向けにはK221子弾を49個搭載でき、1発で直径14mの範囲を打撃できるK310 DPICM-BB(二重用途改良通常弾)を、ロケット砲用にはM77/M85子弾を518個(!)搭載できるKM-26A1/A2ロケットを運用している。またその他にも、玄武-ⅡA(MGM-IIKA)弾道弾や海竜(SSM-750/760K)巡航弾には滑走路や的防空戦力などを効果的に打撃するため集束弾が搭載されている。

2023年度集束弾予算


オーマイニュースの記事によると、韓国国防部は2023年度予算だけでも約2,127億ウォンを集束弾調達につぎ込んでいる。具体的には、K310 DPICM-BB弾の調達費用合計が1,372億ウォンであり、K310の1発あたり価格がおよそ350万ウォンであるため、単純計算で約3.9万発規模の砲弾が1年間に調達されたこととなる。
その他にも、KPA-06(おそらく天武多連装ロケット砲で運用されるCGR-080 239mm誘導ロケット弾?)は約980発(単価を5000万ウォンとして計算 -ニュースインパクトより)を、海軍艦艇で運用されるSSM-750/760K戦術艦対地誘導弾は約11発(単価を16.3億ウォンとして計算 -ニュース1より)を調達している。いちいちソースが弱いのはちょっと勘弁していただきたい。

2-1.韓国軍の保有する集束弾と運用機材一覧

  • K305 DP-ICM (88個子弾) - KH179等

  • K310 DP-ICMBB (49個子弾) -K9・K55等

  • KD515 地雷散布弾 (9個子弾) -K9・K55等

  • KM26A1/A2 無誘導ロケット弾 (518個子弾) -K136・K239

  • CGR-080 誘導ロケット弾 (約200個子弾) -K239

  • ATACMS Block1A 戦術弾道弾 (275個子弾) -ATACMS

  • MGM-ⅡKA 地対地弾道弾 (数百個子弾) - 専用TEL

  • SSM-750/760K 艦対地誘導弾 (数百個子弾) - FFG・FF・DDG・DDH等

  • KCBU-58 航空爆弾 (約650個子弾) - KF-16・FA-50等

  • CBU-105 航空爆弾 (約40個子弾) - KF-16・FA-50等

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