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【7/5公開】『先生の白い嘘』原作漫画を読んで


※この投稿内、漫画のテーマである”性被害”の問題について触れることがあります。また、ネタバレを含みます。

ただの猪狩蒼弥くんのオタクが書いた超絶主観的感想ですので見解違い等ご容赦ください。


3月12日の夜、仕事帰りの電車でいつものようにスマホを開き、Xで推しの情報をチェックすると、こんな投稿が流れてきた。

え、なに、どういうこと?

奈緒、猪狩蒼弥、三吉彩花、風間俊介?

どんな並び???何事???
映画??ドラマ??この並びでバラエティなんてことないよね???え??なに??映画??嘘嘘嘘、バラエティ頑張るって言ってたじゃん、この前もHiしか(テレビ東京系列「HiHi JetsのHiしかいいません!」)の演技王で散々俳優仕事する他の4人のこと恨み節っぽくいじってたじゃん、、、、。

そして並び順もなに?2番目??え、どういうポジション?

最初にこの名前の並びを見た時は驚きと混乱、そして嬉しさ、興奮した感情だったような気がする。

検索して、奈緒さん主演の映画が7月に公開されるということを知った。そのキャストは3/12の夜時点ではまだ明かされておらず、恐らく明日情報解禁されるのはこの映画だろうと思った。

原作となる漫画を調べた。

え、どうしよう。この役をやるの?

最初の感想は正直戸惑いだった。
猪狩くんの演技がみたいと望んでいたけれど、特に演技のイメージが強いわけでもない自担が、この漫画が扱うようなテーマの作品に携わるなんて。まして、事務所の問題もあるなかで、”性被害”をテーマにした映画にでるのか。大切な推しが大衆の好奇の目に晒されないか、日本のマスメディアによって悪意のある報道をされたりしないだろうか、心配の気持ちもあった。

その日はなかなか寝付けなかった。次の日の朝にはきっとその映画に出るということが明かされるだろう。ニュースに猪狩くんの名前があることは嬉しかった。でもその時素直に喜べるのだろうか。複雑な気持ちだった。

結局朝4時くらいに目覚めた。スマホを開いた。やっぱりこの映画だった。

でも、実際に映画にでること、そして2番目に名前があること、ポスターや予告動画をみて、とっっっても嬉しかった。

HiHi Jetsは5人組で、他4人は2023年にそれぞれ主演映画やドラマ、ゴールデンタイムのドラマ・大河ドラマへの出演し、猪狩くんだけが演技仕事がなく、外部のバラエティ番組も事務所の問題のせいかは分からないけれど出演しない時期が続いた。

箱推しなので他の4人の演技仕事はひと通り目を通していた。

おめでとうの気持ちはある一方、私にとっての一番は猪狩くんなので正直とっても悔しかった。猪狩くんはバラエティで生きる、バラエティが楽しいというけれど、やっぱり他の4人の演技仕事をみていると羨ましい気持ちがなかったわけではない。

そんな状況で発表された映画の二番手の役。
すごいね😭😭😭😭😭おめでとう😭😭😭😭😭本当に嬉しかった❣️

そして、猪狩くんのコメントを読んで、猪狩くんがでるから!なんて軽い気持ちでみるのではなく、きちんとこの作品に向き合ってから映画に臨もうと思った。

長い前置きはこれくらいにして、自己満感想をつらつら書いていこうと思う。


“白い嘘”とはなにか。

黒ではなく、白。
私は、この意味は先生が自分の尊厳を守るために、必死で取り繕ってきた姿のことだと感じた。

先生は、親友である美奈子の婚約者である早藤という男から無理矢理犯された。以降、拒みながらも関係を続けている。それは快楽ゆえに?

生きてるだけでこんな目に遭う
私が女のせいで

先生の白い嘘(1)/鳥飼茜

先生のクラスの生徒である新妻祐希が人妻と不倫しているという噂が広まる。その噂の事実確認のため先生は新妻くんに聞き取りを行う。

すると新妻くんはその噂を認め、先生に”本当の話”をする。

俺 女の人のあそこが怖いんです。

先生の白い嘘(1)/鳥飼茜

バイト先の社長の奥さん、親切にしてくれる優しい人だったけど好きと思ったことはなかった。流れでホテルに行ってしまったけど直前になって「やっぱ違う」と思って断った。だけどその時にはもう遅くて、男としての責任を強制されてしまった。”怖いという気持ちにフタをした”。

アンタが怖いのは女のアソコじゃない...
男に生まれてしまった自分自身よ

先生の白い嘘(1)/鳥飼茜

女であること不条理、先生はそれを自分が女に生まれてしまったせいだと正当化しながら自尊心を保っている。だからこそ女をねじ伏せる力を持つ側の男である新妻くんがそう話すことが認められず、許せなかった。思わず涙を流す。そしてこう言い放つ。

少なくとも私は絶対許さない
許したりしない

先生の白い嘘(1)/鳥飼茜

新妻くんは人妻との経験によりEDになっていた。それが先生の言葉を聞き治った。

なぜ?


ここまでが一巻。
読むのがつらかった...。

正直私はゆるゆる楽しくおたくしたい主義で、猪狩くんが実写映画に出演しなければ、積極的に手を出す内容ではなかっただろう。

早藤の行動はとんでもないクズで読んでいてとても気持ち悪くて不愉快で腹が立つし、被害に対してつらいという気持ちを抱きながら”女だから”という理由で正当化しながら心を保っている先生にも擦れた部分があって完全に感情移入できるわけでもない。美奈子は嫌な女だけどもしかしたら自分の中にも表に出していないだけでこんな側面があるかもしれないと心がえぐられたりした。

決していい気持ちになる内容ではなかったけれどこの世界線はきっと他人事ではないと感じた。普段人にみせない、自分では受け入れ難い心の醜い部分が書かれているからこそ見たくなくて、妙にリアルなんだろうなと感じた。


新妻祐希と猪狩蒼弥

先生は性被害に遭ったことを自分女であるせいだと正当化している。

一方、新妻くんは人妻から男なんだから責任を取るべきという理由で行為を強制された。

新妻くんの価値観はどうなんだろう?

新妻祐希、猪狩くんが演じるこの男の子は、とても優しくて危うくて脆くて、でもどこかほっとけない雰囲気があって、魔性だなと感じた。

そして、私はその役を演じる猪狩くんをみてみたいと思った。ぶっちゃけこれやるの??みたいな全然やってほしくないシーンもたくさんある。一方で、私が猪狩くんの中に感じる”弱さ”みたいなもの、普段バラエティ等でみせている強くて尖った猪狩くんとは違う彼を、スクリーンで観られるのかと想像したらわくわくした。

原作を読むと、作間(龍斗)の方が新妻役にハマってる感じがあって、なんでオレなのかも正直わかんないなと思ったし。

POTATO7月号/「先生の白い嘘」インタビュー

話は変わるがオートリバースという小説がある。
猪狩くんと作間くんのふたりが主人公である男の子たちのモデルとなり、ラジオドラマに出演した作品でもあるが、そのあとがきが私はとても好きだ。

当初の配役は一見普通っぽい男の子の方が作間くんで、ヤンキーっぽい男の子が猪狩くんだったらしい。でもラジオドラマにするときに逆の配役にしたという。

猪狩さんの強さなかに弱さを見たからで、
作間さんの柔らかさのなかに何か尖ったものを感じたからだ。

オートリバース/高崎卓馬

オートリバースとはまた全然違う作風だけれど、私は新妻くんのなかに直のような、”弱さ”を感じた。

私は猪狩くんの強いところが好きだ。
ライブでパフォーマンスしている姿が一番好きだ。俺かっこいい!みたいな自信溢れる姿に魅了されておたくをしている。

強気で尖った発言もヒヤヒヤすることも多いけれど、やっぱりかっこいい。

でも、そんな強さの一方で、たまに垣間見える”弱さ”も、また彼の魅力だ。

弱いというより、普通そうに見えて何をするか分からない危うさ?繊細さ?柔らかさ?儚さ?なんて言えばいいのだろう、うまく言葉には表せないが、たまに感じるそんな一面がたまらなく愛おしい。


撮影は、2022年、猪狩くんがまだ19歳の頃。
予告で「俺人とか苦手なんで」と話す新妻くんは高校生役で、若くて。推しなのに全然知らない人みたいだった。

まだ20歳になる前の、脆くて危うくてあまりに大切なこの姿がスクリーンに残ること、怖さと同じくらい、いや楽しみがほんの少し勝ってなんとも言い難い高揚感に駆られている。

猪狩くんはこれまで何度か演技をしたことはあるが、他のジュニアのメンバーが複数出演するなかのひとり、くらいの立ち位置の役で、今回のような外部(?)で演技をすることは初めてかつ、撮影は富山、孤独だったと語っていた。

普段バラエティ等でみせるヤンチャな猪狩くんからは想像つかないであろう、弱くて繊細な猪狩くんを思うと、胸がキュッとなるし、スクリーンに映る大好きな自担をみてどんな気持ちになるのだろうと思った。だって、大切すぎる。

話がだいぶ脱線してしまったが、つまり”弱さ”を演じる猪狩蒼弥は意外といいぞって話である😮‍💨猪狩くんを通してスクリーンで観る新妻くんが楽しみだ。


女は弱くて守られるべき存在か?

新妻くんがなぜ先生を好きになったかは、特段理由が分からなかった。あえて余白を残し、知らなくてもいいのかもしれないけれど。

彼は、先生を守りたい、救いたいという気持ちで行動している。

女は守られるべき弱い存在で、男は強い存在なのか?

新妻の好意が守りたいからだとすれば、それは先生が最も嫌う価値観ではないかと思ったりした。

女の子を傷つけちゃいけない、そう思う新妻くんは優しい。けれど、それは女と男の力の差を自覚したうえで成り立つ感情だと思う。それは優しさではなく押し付けなのではないかとモヤモヤした。


もうひとり、ミサカナという新妻くんの同級生の女の子が登場する。

彼女の価値観は、自分の人生の手綱を握っているのは私といったものだ。

可愛くて明るくて人気者の彼女は、裏では他人の行動をコントールしたりしている。それは楽しいから優越感に浸れるからといった感情からではなく、自分を守ろうとする必死さから?に思えた。手綱を握っていても彼女は全然幸せそうではない。(動機は少し明かされているがいまいち理解はできなかった。)

新妻くんや先生に近づき、時に2人の関係を操るキーマンのような存在である。

新妻くんは、ミサカナの誘導もありミカという同級生と付き合うことになるが、そういったなかで、自分が男であること、助けたいと思う感情、男は強くて女は弱く守るべき存在なのか、悩んでいく。

(先生は)誰かに助けて欲しいなんて
ひとつも望んでいないのかもしれない

先生の白い嘘(3)/鳥飼茜

そのことをミサカナに相談すると、男の人から受けたキズなら男の人にしか癒せない、絶対に救えるからがんばろうと励ます。



ある日、新妻くんは先生を泣かせてしまったことを謝りに、先生の家を訪れる。

そして先生のある秘密を知った新妻くんは、男に怖い目に遭わされそうになった時は呼んでくださいと防犯ブザーを渡す。

それは女は弱くて守ってあげるものだから?

先生は女が自分の弱さに身を任せ、男に守ってもらうことを”陶酔”として見下している。そしてそれは”私たちからなけなしの強さを奪う”ものとして、”自分以外の女がうっとり浸る”その弱さを軽蔑し、男に助けを求めることをしようとしない。

人妻との経験に恐怖を感じたならば、加害性を持つ”女”と2人きりになるようなことはしないはずだと問いかける。

だって先生は俺の「先生」じゃないですか

先生の白い嘘(3)/鳥飼茜

つよいものは 
あらゆる立場を利用するんだから

先生の白い嘘(3)/鳥飼茜

先生は防犯ブザーを鳴らす。
叫ぼうとする先生の口を新妻くんが塞ぐ。


新津くんは涙を流し帰っていく。
その日を境に新妻くんは学校に来なくなる。

俺はこの手で傷つけた

助けたかっただけなのに...。

先生は公衆電話から新妻くんに連絡する。

そしてあの予告で猪狩担を発狂させたこの台詞。

俺 先生好きです
先生のこと好きだから
先生の嫌いな奴が嫌いです
先生の敵が 俺の敵です 

男が敵なら
俺も自分のこと許さないです

先生の白い嘘(3)/鳥飼茜

私は私が敵なのよ

先生の白い嘘(3)/鳥飼茜

先生はその電話のあと、美奈子がくれた”ほとんど新品”のリップをつけて早藤に会いに行く。


性”被害”とは何なのか

双方の同意ってなんだろう。
事務所の問題もそう、芸能人やスポーツ選手、いろんな恋愛スキャンダルがあるたびにふと思う。

何をもって同意とするのか、ホテルに行ってしまったら、密室で2人きりになったら、どうしようも行かない状況でも、それは同意とみなされてしまうのだろうか。

4巻の後半、先生は、家の庭の手入れをするため植木屋である新妻くんのおじいちゃんを呼ぶ。

縁側で2人きりになった時、新妻くんは先生に顔を近づける。

先生教えてください
これは暴力ですか

先生の白い嘘(4)/鳥飼茜

暴力なんかじゃ
なかったらすごく良いのに...

先生の白い嘘(4)/鳥飼茜

先生は早藤から無理矢理奪われたことで、自分が”汚された”と思っていた。

先生は女が男を頼ること信じることを愚かだと思い見下してきた。しかし、女の子をお金で買い傷つけたという新妻くんを許したい、そして汚された自分を許して欲しいと言って抱きしめた。

幸せであろうともがく その姿は美しい

先生の白い嘘(5)/鳥飼茜

奪われて諦めて、見下してきたその価値観の果てに、親友の美奈子が妊娠したこと、その命を守ろうとする姿をみて、新妻くんの存在のおかげで、先生は、”どこまでも無根拠で、救いようのないほど愚か”な”揺るぎのないアレ”を信じてみようと思ったのであろう。

早藤の行動で許せるところはひとつもないし、美奈子も友達としては嫌な女ではあるが、6巻で描かれる2人の描写は綺麗な愛だなと思った。

欲しいモノはひとつだけなの

早藤くんのおヨメさんに
私はなりたい

先生の白い嘘(6)/鳥飼茜

美奈子はなぜ早藤と、早藤はなぜ美奈子と結婚するのか謎だったけれど、なんとなくこの描写で少しは2人の関係性を理解できたような気がした。

ただ早藤の行動は許されるものではない。

先生は早藤に無理矢理身体を奪われ、”今のわたしはここにはない”、”汚された”、心を擦り減らし、”幸せになる自由を手放した”。

本当は性的な関係を持つかどうかは無条件にある選択肢から自分で選んでそうしたかったと告白する言葉には胸が苦しくなった。

7巻で、ミサカナが新妻くんに関係を迫る。しかし、ミサカナは寸前で新妻くんを拒む。新妻くんの気持ちがこちらに向いていないことに気づいたからだろう。ミサカナが必死になって掴んでいた手綱を離した瞬間苦しいと泣いた。そして、自分に好意を向ける同級生の和田島に連絡する。(和田島はチャラいけれど根はいい奴って感じで、少女漫画だったら主人公より人気出そうな当て馬タイプで、ミサカナと和田島のアフターエピソードみたいと思った、、!推しキャラ!)

この漫画を読んで、性被害は絶対にあってはならないもので、被害者の身体だけではなく心にも消えない傷を残すものだと改めて思った。

そして双方の同意とは、行動だけでなく、心理的な繋がりも考慮されるべきだと思った。が、心理的な要素は、極めて定義し難しいものであろう。露出が高い服を着ていた=誘っている?なんて暴論だ。被害者にもその気があった?途中やめて欲しいと言っていたかもしれない。どうすれば性被害がなくなるのだろう、被害者が一生人を愛せなくなるかもしれないのに、こんなに傷を背負うのに。どうしたらいいかは私には解決策はわからなかった、ただひたすらに苦しかったけれど考えた。


以上、最後の方は具体的なエピソードは控えてまとめたみたが、結構ネタバレしてしまった🙃

ラストは案外爽やかで綺麗だった。
色々考えたくないことを考えさせられる内容ではあったけれど、推しが出演するしないを抜きにして感想をいうと、とても面白かった。気づいたらどんどんページをめくっていた。

猪狩くんが出る〜!!楽しみ〜!!るんるん🎶のような、気軽な推し活の一環として観るような内容ではないけれど、猪狩くんが新妻くんをどのように演じるのか、はやく大きなスクリーンでその姿を観れる日を楽しみにしている。(でも正直自担が漫画で観たシーンを演じるかと思うと少し怖い)

ここまで長々と書いた自己満感想を読んでくださった方、ありがとうございました🌟

7.5公開『先生の白い嘘』

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