【注意喚起】板を片付けるときのハンディブロアー利用について【壊れるかも】

 今日は注意喚起の内容です。それ、ビンディングを壊すかもしれません!

 バッテリー付きのドライヤーみたいな形で強い風を吹き出して汚れやゴミを吹き飛ばすハンディブロアー(ハンディダスター)。最近ゲレンデで板を片づけるときに使ってる方が多いですよね。
 雪を細かなところまで吹き飛ばせるので片付けに便利だし手間も取らない。そのまましまっても雪が溶けてびしょ濡れになりにくくなるのでとても良い。

 今までだとブラシを用意して雪を落として布巾で拭って水気を取って…と、なかなか手間だったのですが、それが簡単になります。ゲレンデによってはエアーガンを用意してくれているのでそれを使えば良いですが、混んでいたりすると十分使えませんし、並ぶのも面倒。

 ハンディブロアーはバッテリー性能の向上で、比較的安価に手に入れる事もできるようになったので使う人が増えています。が、ここで問題が新たに生まれてしまっているようです。

 それは、ビンディングのグリス(潤滑油)を吹き飛ばしてしまい、ビンディングが正常に作動しない可能性や、壊れてしまう懸念があることです。

 そもそもグリスって何でしょう?

 グリスはベトっとした油です。バターやラードを想像していただけるとイメージしやすいでしょうか。機械や用具の摺動部(こすれ合わせるように動く場所)などで使用され、潤滑剤として働きます。普通の油と違ってべっとりとそこに留まるので、長期的にパーツの摩耗を防ぐ効果があります。
 また防水性を伴うと空気や水の侵入を防いでパーツの劣化を防ぎます。

 ビンディングは金属とプラスティックでできているので、このようなグリスで動く部分を守り、プラスティックが劣化したり削れて動作不良にならないようにできています。基本的にこうしたグリスは失われない限り頻繁なメンテナンスが不要で、普通の使い方であればこのグリスを気にすることはあまりありません。

 ただ、グリスがなくなってしまうと動きが悪くなります。脱ぎ履きで変な音がしたり、脱着がしにくくなったり。そして一番問題なのは、安全のために解放する時に正常に作動できなくて怪我をしてしまう場合です。

 このグリスの扱いはメーカーごとに一定でなく、使われているグリスも全て同じというわけではありません。一般的には「リチウムグリス」と呼ばれる部類のグリスが用いられていると思いますが、それが一般で手に入るリチウムグリスと同じか違うのかは見た目に判断がつきません。

ホームセンターなどで売っているリチウムグリス。ビンディングに使えるかは明記されていません

 そして微妙に面倒なのが、グリスってたっぷり使えば良いものではないということです。適所に適度が必要で、つけ過ぎると別のトラブルの要因になることがあります。※要らないゴミを噛み込むなど

 で、ブロアーを使うと何がいけないのか?というと、このグリスを雪や氷と一緒に吹き飛ばしてしまったり、偏ってしまう可能性があるということです。グリスはちょっとやそっとの風圧などで吹き飛ばされるものではありませんが、雪や氷があると、吹き飛ばした際にそれを一緒に剥がし取ってしまう可能性があります。

 ゲレンデに用意されているエアーガンの場合、なんか結構風圧小さいな?と思ったり、ノズルが使いにくいな?と思ったことありませんか?あれはおそらくその辺りの懸念を問題にしないためにわざと調整されている場合があると思います。意図的でないにしろ、ああいった場所でずっと丹念に雪を吹き飛ばして使う人も稀なので、目立った原因にならなかったように思います。

 が、自前で持っていれば話は別。多分雪のかけら残さず時間をかけて全部吹き飛ばそうとしてしまいますよね。それがグリスを吹き飛ばす原因になりかねないのが今回の注意喚起です。

 じゃ、対策としたら?ですが、まず細かいところまで吹き飛ばさないようにするのが一番かと思います。気にはなるでしょうが、そういう部分はあらかた吹き飛ばした上で、自宅から適当に水を持って行って、水をかけて水を吹き飛ばすといいでしょう。水の状態ならば一緒に剥がれ飛んでしまうことも少なくなるので、懸念は少なくなるでしょう。

 吹き付ける場合もノズルをビンディングに近づけて風圧で吹き飛ばすような使い方はせず、ビンディングの動く部分は極力そういう使い方を避ければ良いでしょう。ちなみにブラシなどで綺麗にする場合もグリス剥がれるじゃん?って思いますが、ブラシなどではそんな奥深くに届かないので、ブロアーのようにグリスが剥がれることは心配しなくとも良いと思います。

 もしグリスが吹き飛んでしまったら。まずはビンディングを購入した販売店に相談してみてください。グリスを足すのにビンディングをバラす必要もあるので、自身で行わない方が賢明です。グリスも実は似たような見た目で何種類も用途別に存在するので、グリスなら何でもOKということはありません。少なくとも金属、プラスティック、ゴムなどを侵さないグリスでなければならないので、DIY的なメンテナンスはあまりおすすめしません。

 最後にこれは一番NGなのですが、潤滑剤だからと一般の5-5-6とかそういうスプレーを使うのは絶対におやめください。あれらの潤滑剤はグリスを溶かしてしまうおそれがあるので、使うと余計に大変なことになります。

 こうしたことはおそらくどのメーカーも想定した使用方法としてブロアーと使うことを前提にビンディングを作っていません。なのでブロアーを使っても問題がないビンディングや、絶対に使うべきでないものもあるかもしれません。他にもビンディングだけでなく例えば板の剥離なんかでもブロアーを使うと板を壊すなどの懸念もあるので、強い風量で吹き飛ばせれば片付けも楽だし気分爽快ですが、ある程度加減して使用していただければと思います。

 個人的に一番おすすめの片付け方法は、2Lのペットボトルに水入れて持っていくことです。かければすぐに細部の雪も溶けてなくなりますし、これからのシーズンの硫安対策にもなるので、ブロアーよりも水をおすすめしますよ。ただし人が歩行する場所で水を使うのはお気をつけください。水が凍って転んでしまうかもしれませんから。

#スキー #スキーボード #ファンスキー #GRskilife

 


いいなと思ったら応援しよう!