開発裏話:Raver's01
リリース情報については
こちらをご覧くださいね。そして今回のブログは長文です。※これでもかなり短くしましたw
GRskilifeの創業は2013年。そして販売は2014年からです。そう、もうじき10年なんです。初年度リリースの時に記念して販売したWhiteLandBlackEditionをみなさんはご存知ですか?
こちらを「持ってるよ!」という方はもうかなり少ないんじゃないでしょうか?白の通常盤WhiteLandと違いこちらは50台+1台の限定販売。なんで+1台かというと、当時行われたイベントの景品で一台だけ特別にビンディングを用意して進呈した板があるからです。
このWhiteLandは実は性能面やビンディングを取り付けるためにコストを優先させた上で4万円以下という値段を実現するため、泣く泣く性能に関わらない印刷や保護のコーティングを省いて作ったという経緯があります。なので表面に傷がつくとデザインが削れたり、紫外線で変色したりと・・・それは限定の黒WLでも同じになっていました。
その時に「次に限定モデルを作るなら徹底的にこだわって作ろう!」と心に決めていました。
時は遡ってさらに2005年。
この年から活動を始めたGrandtrickRaver'sという団体がありました。その団体は当時のファンスキー、今のスキーボードの仲間を作りたい!と、野辺山で一人で滑っていた後のGRの中の人、CO10が自宅でサーバを構えてサイトを立ち上げて活動していました。なおGrandtrickは造語で、他にできないこんなすげぇ技できる奴らがいるんだぜ!ってな意味合いで、Groundtrick、つまりグラトリにこだわらずにと命名したものです。
このGrandtrickRaver'sには日本各地から少しづつメンバーが集まり、そして「技術検討会」と銘打ってのオフ会とネット上での交流を軸に活動していました。
その後に自宅サーバからレンタルサーバ、そしてmixi上に活動の拠点を移していく中でメンバーはどんどん集まり、イベントも大きなものになりました。やがて「泊まりで目一杯みんなと楽しみたい!」ということで鹿島槍のペンション「マウンテンロッジWIZ」の信田さんとご縁がつながり、ご協力頂くなかで泊まりでのスキーボードイベント「GR合宿」が始まりました。
※マウンテンロッジWIZは白馬の入口、鹿島槍スキー場のコースに接続しているペンションです。人柄の良い信田さん夫婦と美味しくてボリューム満点の料理、なによりコスパ最高のペンションです。駐車場に上がるのがちょっと大変かもですが、もしよかったら是非泊まってみてください。「GR見て来ました」というと信田さんがすごく喜んでくれると思います!
そんなGR合宿でナイターまで滑ってヘトヘトなはずの皆さんでしたが大部屋で大盛り上がり!信田さんまで巻き込んで未来のスキーの話になったときにこんな話になりました。
「もし、GRで板を作るならどんな名前にしよう?」
夢のような話の中で出て来たのがコミュニティの名前でもあった「Raver's」で、この単語にはちょっと怪しい意味もありますが「熱狂者」という意味があり、それが良いかも!なんて冗談混じりに話をしていました。
時は過ぎて・・・
GrandtirckRaver'sという名称が長くて言いにくいので「GR」の略称が定着して来た頃、色々ご縁があってGRskilifeが誕生しました。そして2014年にリリースされたのが「ForFree」「WhiteLand」「SnowFairy」の3機種だけで、その頃はまだまだバリエーションも少ない小さなブランドでした。しかし皆さんに愛され3年、5年と続いていく中で頭の中にずっと残っていた「Raver's」について、いよいよ設計図を書いてみよう!そうして開発が始まりました。目標は10年の節目の年に、10をもじって01としてRaver's01、通称01の開発はこっそり始まりました。
ただ01の開発でいきなり壁に当たります。GRとして私が考える最高の板とは?スキーボードといえはグラトリ。しかしスキーボードの楽しめるフィールドはグラトリに止まらず、パークやサイドカントリーなどでも楽しむ方が増えていました。板の長さは板の性格を大きく位置付けます。さらにどセンターセットなどがもてはやされていた時代の中でどセンターやセンターセットに疑問を覚えていた私にとって、センターセットでなくとも楽しめる板って面白い?ということでロングノーズ形状のアイデアが生まれました。
ただこれがまた難しい。前例がほとんどなくロングノーズもうまくやらないと邪魔なだけで、私が楽しくてもみんなが楽しくない板になりかねない。そして板の幅も遊びの枠を左右するので吟味し、脳内で板の動き、滑りを妄想しながら設計図を書いては消し、書いては消しの日々になりました。
そんな中、同じような時期に話が始まっていたのがSaltoroでした。NoNameの成功で開発を進めることになったロングサイズスキーボードは長い分設計に自由度があり、長板並みのロッカー形状や高級滑走面(シンタード)の採用など盛り込んだ、革新的なスキーボードがライダーのケニーさんの意見のもとで生まれました。さらに皆さんの意見から生まれたグラトリマシーンGoodDays'85も01の設計におおいに助けになりました。
そして設計図は完成します。絵ですが自分でも納得できる形、滑りそうな見た目。よし!
で、デザインはどうするよ?
01のデザインではライダーの皆さんから「記念モデルだし限定なんだし好きにやりなよ!」とおっしゃって頂いていました。GRのデザインは必ずライダーたちに意見を伺って進めているのですが、自分の好きに・・・というとなかなかこれが悩ましいものでした。
ちなみにGRが創立した翌年、ちょうど初めてのGR板がリリースになった年の春に私には息子が生まれました。その息子はGRの成長と共にすくすくと育ち、そしてデザインに悩む私に一枚の絵を見せてくれました。絵の具で書き殴った、モチーフも何もわからない拙い緑色の絵。それを見て私は喜びました!そして息子に「この絵使って板作っていい?!」と息子に尋ねると訳もわからない顔で「いいよ〜」と答えてくれました。
ええ、あの緑の背景は息子が描いたんです!それにイメージにあったGRの歴史の初めだったForFreeやWhiteLandのデザインを組み込み、01のグラフィックが誕生しました!そしてGrandtrickRaver'sの頃からの仲間たちもニヤリとするものもこっそり忍ばせてあります。
素材についてはウッドコアで、滑りをより良いものにするためにトップとテール、センター部分で作りが異なるキャップ+サンドイッチ構造にし、思い切ってスキーボードではまず採用されないグレードの競技用の滑走面を採用しました。ただの真っ黒なソールだと油断しちゃダメですよ!ロゴのグラフィックが控えめなのも総合的に滑走性を判断してのものです!
そしてこれではじめて滑った時・・・私は感動しました。今までのスキーボードにない圧倒的な滑走性能、スキーボードらしい軽快な乗り味、踏めば加速する性能、それについてくる板自体の素性の良さ、走破性。あらゆる自分が求めていたスキーボードの形がそこに実現していたのです!
01は限定販売になります。ほとんど受注生産という感じになりますが、せっかくなのでGR板の売りでもあるチューンナップをガチで施して売ろう!ということになりました。私のチューナーとしての腕もこの板には存分に発揮されます!チューンでは細かなチューニングはわからないこともあると想定しての「スキーボードらしいチューニング」と「滑走しか考えていないチューニング」などをご用意する予定です。そのためにあえて一年前倒しで試乗などしてもらい、納得してご予約いただきたいと考えています。
先日息子と01を持ってスキーに行きました。息子は終始ニコニコで、ゲレンデで会った友達に「これ僕が描いた絵なんだよ!」と私が履く板を自慢していました。
次に02ができるなら、その時は息子が納得するようなものにしたいと思います。その時まで語り継がれる板になれるよう、01はGRを代表する板として皆さんにお届けしたいと願っています。
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