ワックスと滑走面の密な関係
前回のブログの続きになります。先にご覧ください
ワックスは染み込むものなの?|GR ski life @GRskilife #note https://note.com/grski/n/n08d1bb5d2c90
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さて、ワックスの事について「生塗りワックス」というものの話で一旦区切っていましたが、今日はそこから話を進めていきましょう。
生塗りワックスは固形などのワックスを塗るだけというとても簡単な方法で使うワックスです。アイロン要らずの手間いらずで、ゲレンデで使っている方は多くいるかと思います。
この生塗りワックスはしみ込ませるのではなく、ワックスの添加剤によってワックスそのものが滑ることで効果を発揮します。つまりコーティングです。
ワックスは水をはじく性質があります。更にフッ素などの添加剤により撥水を強化してコーティングしています。イメージしにくいなら車のワックスコートですね、車のワックスも主な成分はパラフィンなので、ワックスしたあとの水をはじくあの感じが滑走面でも発揮されています。生塗りワックスは浸透させていないので徐々に剥がれて効果が薄まり、適時塗り続ける必要があります。
それとスプレーワックスと言うのもありますね。スプレーワックスはリキッドワックスに似て非なるもの、どちらかと言えば生塗りワックスに効果が近いです。揮発性の溶媒にパラフィンを混ぜただけなのでまずほとんど浸透しません。よって多くのスプレーワックスは吹き付けた後に定着させるためにコルクなどで擦り込む事を指示されています。
車のワックスで塗った後に磨くとピッカピカになりますよね?あれと同じです。
スプレーワックスは手軽ではあるものの効果が今ひとつで、コストパフォーマンスも実は良くありません。手軽に使うならリキッドワックスの方が多くの面でメリットがあるのでオススメです。
さて、ひととおりの解説が済んだところで滑走面の話。スキーの滑走面はポリエチレンですが、ポリエチレン自身は分子が鎖のように連なった構造になっています。それらが塊になっているものが滑走面ですが、これをイメージするならフェルトをイメージするとわかりやすくなります。実際はフェルトのように糸くずがまとめて固められたものとは違いますが、これでだいぶイメージしやすくなります。
フェルトを滑らせようとするなら、表面をなめらかに堅く固めると良さそうです。これがワックスの効能で、個体のままでは染み込まないので溶かしたり液体にして塗ると表面にしっかり染み込ませる事ができます。染み込まない生塗りやスプレーは表面になすりつけたり吹き付けて滑る成分を乗せているだけ。ほら、少しイメージしやすくなりませんか?
またポリエチレンは熱や紫外線によって繋がった鎖のような分子構造を分断されてしまいます。これをイメージするならなめらかな布をピンと張って、その上を何度もこすり続けたりすると毛羽立ってザラザラになったり毛玉ができてきます。これと同じようなことが滑走面の表面でおきています。
これを劣化と言いますが、劣化しないようにポリエチレンの鎖が分断されにくいようにするのがまたワックスの効果です。
どうでしょ?フェルトや布をイメージすると滑走面とワックスの効果が分かり易くなると思います。滑走性能の為にはワックスは無くてはならないものなのです。
今回も長くなってきましたので今回もこの辺にしておきましょう。次回はワックスの使い方について話をしたいと思います
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