固定式ビンディングのことをGRはどう考えているか?
スキーボードのアイデンティティは短いこと。そして固定式ビンディングですよね。かつてはスキーボード=固定式が当たり前で、最も流行った1990年代後半から2000年前半の頃は解放式はないことはありませんでしたが、ほとんどのスキーボードが固定式でした。しかも板とビンディングがセットで売られているのが当然で、板だけで購入するのは一部の上位モデルを買う時ぐらいのものだったと思います。
現在、主流は解放式に置き換えられ、固定式はだいぶ見かけなくなりました。お店でもそうですし、GRでも解放式は販売していても固定式を販売していません。
これにはもちろん理由があります。固定式は現在ほとんど生産も流通もなく、メーカーであっても販売が困難なことと、PL法などの製造者責任などの観点で乗り越えきれないことがある事です。この辺は難しい話なのであっさりとお伝えしますが、2006年ごろを境に急にスキーボードが市場から姿を消した理由の一つがこれで、加えて2008年ごろのリーマンショックの影響で市場規模の小さなスキーボードは各メーカーが販売を取りやめてしまい、スキーボードは消えてしまいそうになりました。
現在では?というと、スキーボードに非常に適した解放式ビンディングの登場でスキーボードはその息を吹き返し、毎年ユーザーを増やしている状況になっています。GRskilifeがブランドとして立ち上がることを決めた理由の一つにこの軽量で扱いやすいビンディングの登場があり、それがなかったらGRskilifeというブランドはなかったものだったと思います。
とはいえGRが販売を始めた8年前はまだこの解放式が主流でない時代で、大手メーカーでも解放式ビンディングのついた板は販売していましたが、そのビンディングは今のものより倍近く重いレンタル用の硬いビンディングで、板の性能を殺してしまうようなビンディングしかありませんでした。そんな中に現れた軽量なレール式ビンディングは全てにおいてスキーボードに適していたのでGRは採用し、今では多くのメーカーも同じ仕組みのビンディングでスキーボードを作るようになりました。
が、固定式は現在、GRを含む一部のメーカー、ブランドの板以外は使えなくなってしまいました。
GRでは固定式を否定することは一切ありません。でなかったら4x4インサートホールを用意すること自体しなかったはずです。開発では必ず固定式と解放式どちらでもテストを繰り返し、どちらで使っても同じように楽しめるように仕様やチューニングを決めて販売しています。来季に登場のGoodDays'85にいたっては同じ板で固定式と解放式で基準となるブーツセンターを変えるなどのことすらしています。
ただ転倒頻度の多いエントリー向けのモデルInnocentでは怪我のリスクを鑑みての部分と、少しでも販売価格を下げるために4x4インサートの実装を除いています。これはコンセプトの考え方の違うSnowFairyでは違い、初めから解放式が付いているのにインサートが残されていることからお分かりの通り、SnowFairyでは固定式での利用を求める方がいると考えて、必要なら固定式で楽しめるようにしたのです。
※SnowFairyでは解放式ビンディングを取り外すことで固定式が取り付け可能ですが、解放式は一度取り外すと元に戻すことが難しいので、十分考慮して行って下さい。
また明らかに長いNoNameやSaltoroでは固定式のリスクが高すぎると判断してインサートを実装していません。
これ以外のモデルではGRが元々掲げる「B-Selectコンセプト」に基づいてどちらでも楽しめるように設計、チューニングされています。Crossなどはセットフロントのことも考慮して6ホールにしたりと、結構工夫して作っています。
手前味噌ですがここまでのことをしているスキーボードメーカーもブランドも世界中にどこにもないと思います。ことスキーボードと解放式の組み合わせのノウハウについてはGRは最先端と自負していますし、同じくらい固定式に対しても他に負けない理解や工夫を有しています。
このようにGRはけっして固定式を否定しません。今後もGRのスキーボードは固定式でも楽しめる板をご用意しますので安心していただければと思います。あ、固定式では必ずリューシュコードをお使いくださいね!
蛇足ですが…GRの中の人は普段解放式を使います。それは解放式に対してより深く追求する意味と、自身の膝の怪我のことがあります。解放式への深い追及の結果利便性はもちろん、固定式でなければ無理とおもわれていた滑りやトリックが可能になってきましたし、構造として解決できる部分も見えてきました。そして私の膝はおそらくあと一度でもひねってしまうと滑ることもできなくなる可能性があります。私はテストライダーでもあるのでテストではもちろん固定式も使いますが、それも年々大変になってきています。現在ではライダーの皆さんにも固定式でのテストを依頼して開発を進めていますが、こうした部分でもGRの考え方を持ってご意見やお手伝いいただける人が幅広くいらっしゃればと考えています。
GRお手伝いさんの件については現在細かなところを検討している最中ですので、募集はもう少しお待ちいただければと思います。
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