スキーってなんで専門用語ばかりなの?【実は上達と理解の近道】
プルークだの前傾だのって言葉、よく見かけますよね。馴染みの多いところだとボーゲンとか、道具でもフレックスだのキャンバーだのロッカーだのワケワカラン言葉がとても多く出てきます。
そんな横文字とか使わないで話すればいいのに・・・と思うかもですが、結構専門用語って大事な要素なんですよ!というのが今回の話
そもそも専門用語がなんででてくるか?というと、説明を簡単にするためです。話をするたびごとにその動きや形を説明していたり、人によって用語が違っていたりすると混乱しますよね?
そういうときに専門用語があれば、一言で説明ができます。生活の中で身近なところだと「エアコン」と言えば「冷暖房ができる機械」ってすぐわかりますし、扇風機といえば「風を送る機械」とすぐにわかりますよね。
じゃ、暖房ができる扇風機は?となるとファンヒーター?みたいにすぐにイメージがつながります。これが大事。
これも専門用語なのですがみなさん「理合い」って言葉知ってますか?これは主に武道で出てくる言葉で、古武術とかってたまに変な構えとか格好とか、変な動きとか使い方しますよね。わざわざそんなことしなくてもシンプルにやれば無駄もないのに・・・。
でも、そこに理合いがあるんです。理由や理屈があって合理的に磨いていった結果、その形や動き、格好になるのが経験のなかで見出されて伝承されたものがそれ。わかりやすそうなところで「押さば引け、引かば押せ」というビジネス用語にもなっているこの言葉も元々は武道の理合いです。そんな理合いが間違っていれば相手にやられる、懲らしめられる、切られる・・・という結果になります。
と、理合いという言葉を知った上で何か動きや作法を学んだときに「理合いが正しい」と言われれば、すっと納得できますよね。これが専門用語の効果です。
話を戻してスキーでの専門用語。こうしたイメージを共有しやすくするのが専門用語で、技だったり動きだったりが大勢のなかでも共有しやすくなります。プルークスタンスという「スキーの板の前を閉じ、後ろを開いて三角形の形で膝をやや緩め、スキーの板の内側の部分で滑ったり曲がったり行う立ち方や滑走の姿勢」を「プルーク」の一言で説明ができます。そうすれば滑っていても「プルークを意識して〜」との言葉でその形になろうとできますし、流れの中でレッスンや習得が簡単になります。
他の言葉もその時はできなくても、頭に入れておくだけでもし出来た瞬間があれば、「あ、これが『スキッディング』か!」とか、「こうすれば『角付け』がスムーズになるんだ」と気づくきっかけになります。これももし専門用語がなければ…頭に一度入れてなければ気付くきっかけになりません。
気付かなければ同じことを繰り返すだけですからね。上達も渋くなります。SAJ2級くらいで立ち止まってしまっている方とか、結構この部分だけで上達できなくて立ち止まっちゃっていることもあるんではないでしょうか。
道具の用語にも同じことがあって、フレックスという言葉、この意味を簡単にでも理解していれば「あー、たわむときの硬さのことなんだろうなぁ」と想像しやすくなります。ただの硬さというとそのものの硬さなのか、ぶつかったときの硬さなのか、頑丈ささなのかイメージが一致しませんが、フレックスと言われれば「たわむときの硬さ」とすっとイメージができます。
そのたわみ方向のちがいでの言葉も違いがあって、前後方法のたわむときの硬さがフレックス、捻れ方向だとトーションと言ったり。それが上達して必要になったときに、専門用語がカケラでも頭にあればすぐに理解できるんです。
ロッカーという言葉も、ロッカーのスキーは一体何がいいのかきちんと理解している人は実際少ないと思いますが、うすらぼんやりと「ロッカーのスキーは滑りやすい」とイメージできます。実際はロッカーだからと言って滑りやすいとは言い切れないのですが、基本的な走破性が格段に向上するので、一般では滑りやすい印象になるのでしょう。整地されたゲレンデをガンガン滑るならばロッカーよりもキャンバーの方が大事だったりしますが、ロッカーという言葉一つでその板の基本的な性格が伝えられるのはやはり専門用語の良いところです。
このように専門用語の一番のメリットはやっぱり「共有しやすくなる」ことでしょうね。専門用語は知ることも面倒ですが、ほんの少し意識を変えると多分耳に入りやすく、頭にも入りやすくなると思います。
ちなみにGRではどんな初歩的な専門用語でも聞かれればちゃんとお伝えします。最初は誰だって知らないんですから、教えないとか笑うこともしませんし、なんならこちらが教えてもらうこともたくさんあります!
恥ずかしくてもう訊くに訊けない…なんてことでも、お気軽にこっそり相談してくださいね。私もそっとおたずねしますので。