GRが「非解放」と呼ばない理由
スキーボードでは板とブーツを繋ぐ金具、ビンディングとして、一般のスキーと同じ「解放式」と、従来から愛される「固定式」に大きく区別されます。解放式は正しくは「アルペンビンディング」と言い、固定式に決まった名前はありません。これらの形式については過去記事をご覧いただけると分かりやすいかと思います。
固定式を非解放式と呼ぶのは人それぞれの馴染みがあっての事ですが、GRでは非解放式という呼び方を避けています。それは、固定式の仕組みのビンディングの中に、解放機能を持つものがあるからです。
じゃ、その解放機能を持つ固定式を解放式にひっくるめれば?となりますが、出来ない事情があります、一つはアルペンビンディングはISOの規格によって出来ているので、ISOの規格のものでない解放機能を有した固定式を同じように扱えないのと、ヒールのみ解放するもの、見た目は固定式そのものながら外れる仕組みを持っているもの、独自のものとさまざまにあるからです。なので解放式にひっくるめるのは問題があり、しかし構造的に固定式に準じているので固定式としてGRでは扱っています。
具体的にどんなやつ?というと、例えばこれです。
このビンディング、固定式そのものの形状と機能ですが、実は中にバネが内蔵されていて、転倒したりすると外れる事があります。この機能は実際には装着などで過負荷をブーツに与えないための構造が、たまたま意図せず解放機能も有してしまった、という感じのものですが、このビンディングの製造メーカーがすでに無いので実際のところは不明です。
また、現物が手元にないので説明ができませんが、ビンディングの構造が回転するように回って解放するものもあります。具体的なメーカー名はここでは控えさせて頂きますが、スキーボード界では超有名メーカーながらかなりのレアものなので、思い当たる人は少ないかも。
こうしたものと一般の解放式ビンディングであるアルペンビンディングとで区別するために、意図的に「非解放」という言葉は使わないようにGRではしています。非解放だからと使ったら解放した!なんて誤解があってはいけませんからね。固定式の中には解放する仕組みのものがある、そんな位置付けでGRからはみなさまに周知させていただいています。
そうそう、こういう解放するかもしれない理由もあるので、固定式では必ずリューシュコードを併用してください。外れないから要らないのではなく、外れるかもしれないから必要。純粋な固定式も調整の不具合やネジの緩みで外れることがありますし、最近だとプラスティック部品の経年劣化で破損して外れることも珍しくありません。こういった点を踏まえて自身にあったビンディングを選んでいただき、ぜひスキーボードを楽しんで頂きたいと思います。
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