【令和最新版】スキーボードの定義とは?スキーとの違いは?

 スキーボードという名前がだいぶ浸透してきていますが、いまだに『スキーボードってどういう括りなの?』という部分は定まっていません。

 かつてのファンスキー協会では130cm以下のスキーをファンスキーと定義していました。ファンスキーは日本独自の商標だったので、この定義も日本独自と思われます。世界的にはスキーボードが標準的な名称として扱われていますが、このスキーボードについての明確な定義はありません

 まず基礎知識として、世界では国際標準規格でスキーが定義されていて、それは100cm以上とされています。そしてスキーの統括団体であるSAJでは規格に則ったスキーをスキーと定めているので、100cm未満のスキーはスキーとして見なしていません。
※検定やレッスンなどで断られるのはほぼこれが理由です。単純に短いからダメ、と言うわけではないんですよ。

 で、100cm未満のスキーは滑走遊具と言う扱いで、つまりソリなどと同じ扱いです。この滑走遊具はとてもバリエーションが多いので、スノースケートなどもこの括りに入ります。

 これともう一つ、ビンディングに関する取り付け規定も区別にあるのですが、これも話すととても複雑になるので今回は割愛。

 では、一端ここでスキーボードとして扱える一般的な定義を考えてみましょう。

 スキーボードの魅力であり特徴は自由度の高さ。特別なスキー操作の習得などを必要としないである程度の滑りが楽しめるのがスキーボードです。これは他のジャンルのスキーやスノーボードを体験するとわかりやすいのですが、スキーボードはとにかく動きやすい。この動きやすさを失わない長さの最大値が、まずスキーボードの長さの定義になると考えます。

 これが難しい。フリースキーの一部のモデルは長くてもスキーボードのように扱えるものが存在しますし、チューニング次第で一般的なスキーもスキーボード的に扱えます。スキーボード界では『クロスステップができればそれはスキーボード』なんて言葉がありますから、扱い方という視点では定義が難しそうです。

 また、体格によって同じスキーボードでも操作感は変わります。例えば同じ90cmの板として、身長200cmの人と150cmの人では、履いている感覚は大きく異なります。簡単に言うと身体が大きい人にとって短い板は身体が支えられなくなるので、不安定さを強く感じます。しかし小柄な人なら短いサイズは不足なく安定感を感じます。

 これ、何が言いたいかと言うと、150cmの人にとっての90cm板と同じ安定感を得るには200cmの人だと120cmの板が必要なんです。150x0.6=90で、200x0.6=120なので単純計算でそうなります。
 
 ここから、国際標準規格通りの100cmで定義を区切ると問題があることが判りました。乗りやすい長さでスキーボードを考えると、100cmで区切った場合、大柄な方は短いものしか選べず、ほぼ乗りにくい長さを選ばなければならなくなります。

 補足として、世の中のスキーボードが99cmばかりになったのは販売側の都合です。ほとんどの場合で安く作るために100cm以上にしたくなかっただけです。

 これらを踏まえて定義すると、スキーボードはこのように考えられます。

130cm以下の滑走に適したスキーをスキーボードとする。ただし身長割合で自身の身長の75%が130cmを超える場合はその長さを最大値としてスキーボードを定義する。

 この定義だと日本人の男性平均身長の約172cmまでは130cmを超えず、それ以上の身長の方で130cmを越えますが、スキーボードとしての操作感を失わずに楽しめそうです。

 短さの定義はどうでしょう?かつては60cm台のスキーボードも存在しましたし、ガウアーやスノーフィートなどの特徴的なスキーもあります。これをスキーボードに含めるか否かの議論もありますが、可能性として短さは特に定める必要はなさそうです。あえて決めるならば

短さとして簡便に扱え、コース滑走やリフトの乗り降りで十分安全に使用できる長さとする

 と、少し曖昧な表現になりますが、短さでは長さを定める必要はないと思います。

 幅、サイドカーブといった部分は板それぞれの個性になるので明確な定義は必要ないでしょう。構造上、スキーと最も異なる部分はこの二点ですが。

 一つ定義として触れるならば、身長や体重、年齢によらず長さは変わらないという部分でしょう。
 具体的には子供などで、成長と共にスキーは適切な長さに変えていく必要があります。成長が止まった大人でも体格差などで、同じモデルでも複数の長さが用意されているのは、それぞれの体格や用途で履けるようにバリエーションとして提供されているということがあります。
 しかしスキーボードは長さというバリエーションはほとんどなく、気に入った長さであればそれをそのまま使い続けられます。長さの違いで乗り方や遊び方を多様的に味わえるスキーボードでは、こういう体格の人にはこれ、という長さの通例的な定義は必要ありません。

 これを表現するなら

身長などで推奨される板の長さの定義はない。ただし構造として子供用とされる板には安全上の観点からアルペンビンディングの使用が望ましい

 このようでしょう。子供用とビンディングに触れているのは、見た目にわかりにくいですがスキーブーツは大人用のアダルト「A」と子供用のジュニア「C」規格でブーツの形状が異なり、それぞれに適合するビンディングを使用することが望まれます。固定式ビンディングは相対的に板の長さが身長の75%を超える子供にとっては、大人が自分の身長に近い長さの板を固定式で履くのと同じ危険性があるので、安全の観点から転倒時に解放するアルペンビンディングの方が望ましいでしょう。子供は自身の責任でビンディングを選択することができないので、定義として明確にするのは必要かと思います。

 これらをまとめると令和最新版のスキーボード定義はこのようになると思います。

<スキーボードの定義【令和最新版(仮)】>

簡便に扱え、コース滑走やリフトの乗り降りで十分安全に使用できる長さを最低として、最大130cmまでの滑走に適したスキーをスキーボードとする。ただし身長割合で自身の身長の75%が130cmを超える場合は、その長さを最大値としてスキーボードを定義する。この定義では身長などで推奨される板の長さはない。ただし構造として子供用とされるスキーボードには安全上の観点からブーツに適合するアルペンビンディングの使用が望ましい。

 とこのようでしょうか。GRskilifeとして明確にこの通りにスキーボードを提供していくことは今後の課題ですが、ある程度過不足なく皆さんの認識としてうまくハマる定義にになるのでは?と思います。

 今後スキーボードの世界は改めて再構築されていくようにも感じます。その時の指針として現時点での「スキーボードとは?」の部分を言語化していくのは、より広い普及や発展、共有のために都合の良いものになると思います。

 こうした議論を次にどんどん進めて、スキーボードが一つのジャンルとして確立できれば良いかと期待します。この定義についてはいつでもご意見をいただきたいと思いますので、皆さんのほうからもぜひお聞かせくださいね!

#スキー #スキーボード #ファンスキー #GRskilife

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