Z/Xストーリー、アクティベート! 第12回 「上柚木綾瀬編1 黒衣の復讐者」
皆さん、こんにちは。GRRRです。
今回からは綾瀬達の本編での活躍をお話ししていこうと思います。
各キャラのストーリーの大まかな流れは、公式HPのおもな登場人物の軌跡を見ればわかりますので、そちらもご参照ください。
特に綾瀬を含めた第一弾のプレイヤー5人はそれぞれのプロローグであるショートストーリーも掲載されているので、そちらも必見です。
それでは、綾瀬達の物語をお話ししていきましょう!
1.幸せな日々の終わり
さて、綾瀬ちゃんは神奈川の横浜生まれ。
日本人の父親とドイツ人の母親の間に生まれた彼女は、優しい両親のもとで何不自由なく育ちました。
幼稚園の頃に幼き日のある少年と出会ったのは、すでに何度か述べた通り。
この頃からラッキースケベを連発していた彼に怒ることもしょっちゅうだったそうですが、次第に仲良くなりました。
ですが、彼は父親の事故死の影響で、実家のある大阪に引っ越すことになってしまいます。
綾瀬はその少年といつか再会することを約束しましたが、幼少期のこの記憶を二人とも次第に忘れてしまいました。
さて、綾瀬の両親は初代アニメ版の回想シーンやエンディングで登場しています。
当時の綾瀬達と交流があった彼女の従妹、上柚木さくら曰く、
「おじさまはいつも笑っていて、おばさまは外人なのに日本語がとても上手。それにとても綺麗なの。綾瀬お姉様と3人、いつでも和気藹々とした雰囲気は羨ましかったな。」
なお、綾瀬のお父さんの職業は考古学者です。
これまたさくら曰く「上柚木の一族には学者さんや有名人が多い」 とのこと。
実際、その血を引いている綾瀬も聡明ですね。
小中学生の頃はその聡明さと真面目さゆえにクラス委員を任されていたそうです。
Z/X Code reunionでも、綾瀬は生徒会長になっていましたね。
話を本編の綾瀬に戻しましょう。
愛するパパとママに囲まれ、ありふれた、ですが幸せな毎日を過ごしていた綾瀬。
――その幸せな日々は突如終わりを迎えることになります。
ある日、彼女は奈良の南部にある遺跡の近くの村に母親と共に訪れていました。
その理由は、彼女の父親がその遺跡の発掘調査を行っていたため。
彼はその遺跡の中から、一つの仮面を発掘しました。
……古びた遺跡にはそぐわない、禍々しい仮面を。
そして、発掘も一段落し、家族で団らんして過ごしていた彼女達を悲劇が襲います。
突如、奈良と和歌山の上空に漆黒の門、ブラックポイントが出現。
そこから次々と純白の翼をもつ天使達が現れ――人々に襲い掛かったのでした。
なお、初代アニメ版では、天使達の虐殺はとあるガーディアンの不注意による事件が切っ掛けで始まっています。
本編でもこの設定が採用されているかはわかりませんが、後の展開を見ると、少なくとも本編でも彼はあの殺戮の現場にいたことは確かです。
天使達は無慈悲に人々を殺していき、遂には綾瀬の両親も彼女をかばって殺されてしまいます。
惨殺された両親を見て、彼女の中で、何かが音を立てて壊れました。
両親の亡骸を前に、虚ろな表情をする少女に天使の刃が向けられ、そして――。
――何者かがその刃を弾き、綾瀬と天使の間に割って入りました。
巨大な槍を携えたそのゼクスは、空いている手で綾瀬の体を抱きかかえると、そのまま殺戮の地から飛び立ち――そこで綾瀬は気を失いました。
綾瀬が目を覚ますと、彼女がいたのは村からそれなりに離れた場所のバス亭。
彼女を助けてくれたゼクスの姿は既にありませんでした。
こうして両親を喪った綾瀬は、その後の三年間、京都に住んでいた父方の祖母に引き取られました。
その胸に癒しようのない空虚と悲しみ、そして天使達への憎悪を抱えながら……。
その祖母まで(おそらく寿命で)亡くなった後、遂に綾瀬は行動を起こします。
天使達を殺し、両親の仇を討つ。
彼女はその一心で、ゼクスに対抗するための手段を探し始めます。
その中で、彼女はカードデバイスの存在を知ります。
ゼクスを捕らえ、使役することができる道具。
そのデバイスが東京付近の闇市で取引されているという情報を手に入れた彼女は、その場所へ向かいました。
そして、そこで彼女は、一頭の獣と運命的な邂逅を果たします……。
2.絶対零度の狂詩曲(ぜったいれいどのラプソディ)
ここで先に、ズィーガーの過去についてお話ししようと思います。
彼が綾瀬と出会う前はどうしていたのか。
本編でも多少触れられていますが、初代漫画版で当時の彼の様子が描かれていたので、それを紹介したいと思います。
そもそもプレデターとは殺戮の道具としてディアボロスによって生み出された一種の生体兵器(あるいは生体玩具)です。
ズィーガーも元々はあるディアボロスに生み出された存在でした。
ですが、自分よりも弱いその魔人を、ズィーガーは生まれた直後に殺害します。
自由の身となったズィーガーは闘争本能の赴くままに、黒の世界で暴れまわりました。
立ちはだかる敵はその爪と牙で引き裂き、逃げ惑うものは容赦なく追撃する。
その戦いぶりは、二つ名である四足の勝利者に相応しいものでした。
ライバルであるプレデター、ヘルシャーと出会ったのもこの頃です。
ですが、ある時、彼は気づいてしまいます。
どれほどの力を持っても、その爪は決して黒の世界の支配者達――七大罪のような最上位の魔人達には届かないことを。
強大な権力と無限とも思える命を持った彼らにとっては、ズィーガーの戦いも、ただの暇つぶしのショーに過ぎないのだと。
どれほど暴れまわっても、強大な魔人達からすれば、自分もただの檻の中で見世物にされている獣に過ぎない――。
その事実に屈辱を覚えても、その状況を変える力が当時のズィーガーにはありません。
彼は鬱屈とした感情を胸の内に秘めたまま、戦い続けることしかできませんでした。
やがて、彼やヘルシャーのみならず、多くのゼクスが人々を狩り続けた結果、黒の世界は衰退してしまいます。
ブラックポイントが開いたのはそんな時でした。
彼はヘルシャーらと共に、新たな獲物を求めてブラックポイントの向こうの世界―――現代世界に降り立ちました。
再び始まる人間達を狩り続ける日々――。
ちなみにズィーガーやヘルシャーは知らないことですが、この頃、彼らは神祖の仮面を手にしていた黒崎春日とニアミスしています。
うっかり、彼らが春日に襲い掛かっていたら、神祖の魔人の一角が速攻で降臨していたかもしれません……。
ズィーガーからすれば、久々に獲物が増えたことは喜ばしいこと。
ですが、ゼクスである彼は黒の世界のブラックポイントの近くから離れることができません。
ブラックポイントからうかつに離れれば、リソース切れを起こして死んでしまうのが目に見えていたからです。
結局、相手にするのは黒の世界のゼクスや人間がほとんどで、黒の世界にいた頃と変わらない日々。
ブラックポイントから離れることができれば、他の世界のゼクスと戦うことだってできるのに。
何かのきっかけがあれば、檻すら破壊して、魔人達のような権力者だって殺しに行けるのに――。
そんな思いを抱きながら狩りを続けるズィーガーは、ある時、闇市を開いていた人間達に襲い掛かります。
ほんの数秒で大半の人間を殺すと、ズィーガーは最後に残った一人の少女に目を向けました――。
ここで視点を綾瀬に戻しましょう。
カードデバイスを求めて、東京の闇市に訪れた綾瀬。
しかしそこに、一匹のゼクスが現れました。
そのゼクス――ズィーガーは瞬く間に闇市に集まっていた人々を殺していきます。
カードデバイスを売ろうとしていた男がズィーガーをキャプチャーしようとしたものの、デバイスは起動せず、その男もあっけなく殺されてしまい、生き残っているのは綾瀬だけになりました。
ソトゥ子さんも以前にツイートされていましたが、カードデバイスは誰でも扱えるわけではありません。
カードデバイスを使うためには、リソースの流れを掴む能力が必要で、それができる人間は限られています。
デバイスを売ろうとしていた男も、リソースを扱う能力は持っていませんでした……が、彼が死に際に落としたカードデバイスを拾った綾瀬がキャプチャーを行うと、ズィーガーはデバイスの中に吸い込まれました。
綾瀬はリソースを操る能力を持っていたのです。
ゼクスをキャプチャーできたことに喜ぶ綾瀬。
ですが、喜んでいられたのは本当に一瞬でした。
ズィーガーはあっさりとデバイスの中から抜け出し、綾瀬を組み伏せたのです。
実はそのカードデバイスはまがい物でした。
ゼクス世界ではカードデバイスのまがい物が出回っているのです。
現実の我々が手にするカードとは違い、ゼクス世界でのカードデバイスは一枚で家一軒分の値段がするほどの高価です。
ゼクスを使役できる兵器である上に、未来の世界由来のオーバーテクノロジーまで使われているので、とんでもない値段なのも当然なのかもしれません。
そして、そこに高価なものがあれば、それを利用して不当な利益を得ようとするものが現れるのはいつの世も変わらないのでしょう。
誰かがデバイスの偽物を作り出し、それで金もうけを行っているようです。
ちなみに、先ほどズィーガーに殺されたデバイスを売ろうとしていた男も、とんでもない値段でカードデバイスを売ろうとしていました。
なんでも、お嬢様である綾瀬が両親の遺したお金をかき集めても桁が一つ足りないほどの額だったそうです。
そんな値段で偽物の欠陥品を売ろうとしたのなら、あくどい商売にもほどがありますが、最期のズィーガーとのやり取りを見るに、彼もデバイスが偽物であること……どころか、デバイスが誰でも使えるものではないことすら知らなかったようです。
これらの描写を見るに、彼もまた偽物をつかまされて、別の誰かの金もうけのために利用されていた、ということなのでしょう。
しかも、人目を避けるべく、ブラックポイントの近くで闇市を開いたばかりにズィーガーの襲撃を受けて……。
迂闊と言えば迂闊ですが、少々哀れです。
話を綾瀬達に戻しましょう。
ズィーガーに地面に押さえつけられ、踏みつぶされそうになる綾瀬。
自分は人間に従う気はなく、人間を殺す存在だ。
そう嗜虐的な笑みを浮かべて語るズィーガーに対し、綾瀬もまた不敵な笑みを見せます。
「……気に……入ったわ……」
死を恐れないかのようにふるまう綾瀬に、ズィーガーは拘束を緩めてその言葉に耳を傾けます。
そんな彼に綾瀬は契約を持ちかけました。
「私はあなたの力を使って復讐を果たす。あなたは私のカードデバイスを扱える力を利用して、天使をすべて殺す」
その契約にズィーガーは興味を持ちます。
ブラックポイントから離れることができず、襲う相手が人間や黒の世界のゼクスだけという現状に飽き飽きしていたのは事実だったからです。
再度、脅しをかけてもなお気丈な態度を取り続ける綾瀬を見て、ズィーガーは条件を出します。
その条件に綾瀬は頷きます。
本当は、少し言葉を間違えれば己の死を招く極限状態での駆け引きで、彼女の精神は限界に近かったのですが、それでもなお彼女は立ち上がりました。
そんな彼女の前に、突然、純白の巫女服の少女が現れました。
余りに場にそぐわないその少女の姿に戸惑いつつも、彼女に逃げるように訴える綾瀬ですが少女――竜の巫女は綾瀬にカードデバイスを見せるように要求します。
竜の巫女はそのデバイスがまがいものであることを見抜くと『あふたーさーびす』と称して、本物のデバイスを綾瀬に手渡します。
そのデバイスに綾瀬が気を取られているうちに、竜の巫女は忽然と姿を消していました。
突然の展開に戸惑う綾瀬ですが、一方で彼女はその手のカードデバイスが先ほどのまがい物とは比べ物にならない性能を持っていることを感じていました。
彼女はズィーガーに向けてデバイスをかざすと高らかに叫びます。
「キャプチャー!!」
さしものズィーガーも本物のデバイスから脱出することは不可能でした。
デバイスの中で暴れるズィーガーに再び綾瀬は微笑みかけました。
「これで契約は成立かしらね?」
「……てめえ、いい根性してるぜ」
こうして、綾瀬はズィーガーと契約を交わしたのでした――。
3.Avenger of Tears
ゼクスを操るすべを手に入れた彼女は、天使達への復讐を果たすために、行動を開始します。
綾瀬はさらなる戦力増強を図るべく、他の黒の世界のゼクスもデバイスでキャプチャーしていきます。
彼女の手持ちの中にいることが判明しているのは、アイアンメイデン、ジャックランタン、ライゼンデですね。
他にも何体かいるかもしれません。
さっきの三体のうち、ライゼンデは影が薄いですが、残りの二体は何度か再登場していたり、カードに描かれたりしているので、ご存知の方も多いかもしれません。
ちなみに、ライゼンデとジャックランタンは絵師さんも綾瀬達と一緒ですよ。
それと、綾瀬は何枚かカードデバイスを持っているのですが、竜の巫女からもらった最初の一枚以外は、どうも他のゼクス使いから奪ったもののようです。
英雄達の戦記 第二章のムービーで言及していました。
ご、強奪だー……。
やがて、一通り戦力を整えた綾瀬は白の世界の領域である近畿に向かいます。
目的は――天使の殺戮。
もちろん、最も復讐したい相手は両親を殺した天使です。
ですが、当時の綾瀬はすべての天使に対して深い憎しみを抱いていました。
そして、近畿に辿り着いた彼女とズィーガーは次々と天使達を襲撃、殺害しました。
彼女達が襲撃した天使の中には無抵抗なものすらいました。
ですが、綾瀬とズィーガーはそんな天使をも情け容赦なく殺します。
美しくも無慈悲な《天使殺し(エンジェルキラー)》の噂がゼクスやゼクス使い達の間に広まるまで、そう長く時間はかかりませんでした。
なお、この頃の彼女達によって犠牲になった天使の数は5人程度。
実際に襲撃された天使の数はもっと多いのかもしれません。
そして、ある夜。
綾瀬達は白の世界のブラックポイント付近で一人の天使と遭遇し、攻撃を仕掛けるも、取り逃がしてしまいました。
取り逃がした天使を追った綾瀬達がたどり着いたのは、神戸のとある学校に併設された教会。
その教会の中に天使がいることを綾瀬が確認すると、ズィーガーが教会ごと天使を殺すべく攻撃を仕掛けます。
しかし、その攻撃は天使――誇りのフィエリテに察されており、彼女はすんでのところで教会から脱出しました。
そして、そのフィエリテの傍らには先に襲撃を仕掛けた時にはいなかったパートナーの姿がありました。
そのパートナーの名は天王寺飛鳥。
綾瀬が幼稚園の時に出会った男の子が成長した姿でした。
ですが、互いにそのことに気づくことはなく、二人は敵として邂逅することとなりました。
飛鳥は当初、殺気を放つ綾瀬達に対して話し合いでの状況の解決を試みて、彼女達に話しかけてきました。
ですが、緊張感の欠けた飛鳥の説得は、綾瀬達にとってはただ苛立たしいだけのものでした。
再びズィーガーが放った一撃が飛鳥を襲いますが、それはフィエリテに防がれてしまいます。
半ば呆れ気味に自分と共に戦うように飛鳥に要請するフィエリテですが、飛鳥はなおも戦いを拒み――そして、ある言葉を言います。
「誰かの犠牲の上に達成される目的なんて、何の価値もあらへん!!」
――その言葉は、綾瀬の胸を穿ちました。
綾瀬自身、わかっていました。
例え自分が復讐を果たしても、得られるものは何もないと。
両親と共に過ごした、あのかけがえのない日々はもう二度と戻ってこないのだと。
だけど――
「だけど、どうしようもないの! 知った風な口をきかないで! 私の目の前で天使になぶり殺された、パパやママを返してよ! ねえ、返して!!」
激情のままに叫ぶ綾瀬に、飛鳥は言葉を失い、フィエリテもまた動揺をあらわにします。
黙りこくった二人に対して、綾瀬は憎悪のままに、新たなカードデバイスを取り出します。
多数のゼクスで飛鳥達を殺そうとする綾瀬。
ですが、フィエリテの力か、あるいは飛鳥の機転か。
綾瀬達は結局彼らを取り逃がしてしまいました。
飛鳥達を取り逃がした後も、綾瀬達は再び天使狩りを続けていました。
しかし、ある日、彼女達の前に再び飛鳥達が現れました。
今度こそ、フィエリテを殺すべく攻撃を仕掛ける綾瀬達に、飛鳥達もまた今度は逃げることなく立ちはだかります。
英雄達の戦記、Avenger of Tears。
その戦いの火ぶたが切って落とされました。
Tears。
そう、綾瀬は涙を流しながら戦っていました。
幸せだった過去への想い。
最愛の両親を喪った癒えぬ悲しみ。
戦いと殺戮への恐怖と罪悪感。
そして、天使への深すぎる憎悪。
そんな激しく煮えたぎる想いを抱える綾瀬は、相当な無理をして戦ってきました。
ちょっと先の話になりますが、ソトゥ子の部屋に綾瀬達が呼ばれて、話が天使達への復讐の話題になった時、それまでは割と穏やかに受け答えしていた綾瀬の雰囲気がそれまでと一変しました。
ズィーガー曰く、
「殺しモードの時は自分の感情も殺さねェと、正気を保っていられねェんだと。」
復讐のために、感情を押し殺して戦う綾瀬。
ですが、その心は常に軋み、悲鳴を上げ続けていたのでしょう。
その押し殺された感情が、涙となって流れ続けていたのかもしれません。
そして、その涙は飛鳥にも見えていました。
綾瀬の涙を止めるべく、飛鳥は全力を賭して戦います――。
激闘の果て、飛鳥の想いに応えるように強大な力を発揮したフィエリテによって、ズィーガーは吹き飛ばされてしまいます。
それは綾瀬にとっては初めての敗北でした。
飛鳥は再び彼女に向けて手を差し伸べますが、綾瀬はその手を振り払うとズィーガーと共にその場を去りました――。
後にソトゥ子の部屋で、この時の敗北について綾瀬はこう述べています。
「あの男への気持ちは「屈辱」このひとことに尽きるわね。天使に敵わなかったことより、あんな適当な男にしてやられた自分が不甲斐ないわ……!」
ご覧の通り、かなり飛鳥を恨んでいるように見えます。
ですが、綾瀬の軌跡によると、その憎悪は表面上のものだったそうです。
飛鳥との戦い以降、綾瀬は闇雲に天使を狙うのではなく、本当に殺すべき標的――両親を殺した天使を探すようになりました。
飛鳥の説得と戦いは無駄ではなかったのです。
4.渇望
さて、飛鳥との戦いに敗れた後、天使達からの追撃が激しくなってきたことから、綾瀬達は一度関東へと帰還を試みます。
敗北の悔しさをかみしめ、雪辱を誓う綾瀬に対して、ズィーガーは不満を口にします。
綾瀬の復讐に付き合う形で、天使を殺すのが彼女との契約。
ですが、天使以外のゼクスとは戦う機会が全くないのが、彼の不満点でした。
そんな綾瀬とズィーガーの前に、突如、巨大なロボットーー鋼城テクネチウムが立ちはだかります。
この時、綾瀬達がいたのは静岡付近。
青の世界の勢力圏内です。
異世界のゼクスの存在に気付いたテクネチウムは、それを迎撃すべく姿を現したのです。
ですが、ズィーガーの一撃であっさりとテクネチウムはバラバラにされてしまいます。
余りにも一瞬で戦いが終わったことにはズィーガーも「ンだよ、あっけねぇ。」とぼやいていました。
テクネチウムさんはこの後しばらく復活しては破壊されるという災難に何度も会う羽目になります……。
あっさりと戦いが終わったことに、不満を抱くズィーガー。
しかしその時、崩れ落ちるテクネチウムの向こう側から新たな影が現れました。
アヴィオール、フォーマルハウト、ギルタブ。
機械仕掛けの装備を纏うクローン人間のゼクス、バトルドレスである彼女達が綾瀬達の前に立ちはだかります。
アヴィオール達の目的は異世界のゼクスの捕獲。
彼女達の上司であるアドミニストレータ デネボラが異世界のゼクスのデータを欲していたのです。
黒の世界のゼクスであるズィーガーに狙いを定めた彼女達は、連携して綾瀬達に襲い掛かります。
そう、デネボラ。
今でこそある人物の未来の姿であり、アドミニストレータの中でも比較的良識派であることが知られている彼女ですが、初登場時は『他世界のゼクスを実験体として確保しようとする』という、かなり悪役じみたポジションでの登場でした。
……自身の見た目が悪役っぽいことを気にした彼女が、しばらく後にアバターを新調するのはまた別の話です。
話を綾瀬達に戻しましょう。
突然の青の世界のゼクス達の襲撃。
ですが、それはズィーガーにとっては天使以外のゼクスと戦う格好の機会でした。
彼は意気揚々とアヴィオール達に挑みます。
綾瀬も降りかかる火の粉を払うべく、覚悟を決めて戦いに臨みます。
「まだ、終われない…」
状況は1VS3と不利な状況。
しかし、ズィーガーの闘争心と殺戮への渇望は、その不利を覆すほどのものでした。
その爪牙が迫りくるバトルドレス達の刃を砕き、鎧を切り裂きます。
重傷を負って撤退するアヴィオール達を眺めつつ、彼は勝利の雄たけびをあげたのでした。
この戦いは、英雄達の戦記 第二章の出来事なのですが、もし負けていたら綾瀬達は青の世界に捕縛されていたそうです。
その場合、その後の展開が大きく変わっていたでしょうね。
もしかすると、怜亜や超と出会う展開もあったかもしれません。
5.次回に続きます
ここまででだいたい第1弾から第2弾……つまりゼクスが始まってから半年分くらいの綾瀬の物語です。
ここまでも色々とヘヴィーな展開ですが、彼女の戦いはまだまだ続きます。
ここから先の綾瀬達の物語も、また次回以降にお話しするので、気長に付き合っていただけるとありがたいです。
それではまた次回!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?