Z/Xストーリー、アクティベート! 第16回 「上柚木綾瀬編5 揺れる想いの復讐者」
皆さん、こんにちは。GRRRです。
少し遅いですが、明けましておめでとうございます。
今年も気ままにゼクスの物語をお話ししていこうと思うので、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
さて、今回も綾瀬達の本編での活躍をお話ししていこうと思います。
繰り返しになりますが、各キャラのストーリーの大まかな流れは、公式HPのおもな登場人物の軌跡を見ればわかりますので、そちらもご参照ください。
それでは、始まり!
1.安息の日々
白の世界での死闘の果て、遂に宿敵である凶天使ガムビエルを討ち果たした綾瀬達。
さらに彼女達はガムビエルとの戦いで共に戦った飛鳥からの依頼に応える形で、狂魔王サタンとの戦いにも参戦。
激闘の果てにサタンの神祖の仮面は砕かれ、サタンを元の人間の姿――飛鳥の兄であり八千代の師匠、天王寺大和の姿に戻すことに成功しました。
また、従妹である八千代とさくらの姉妹も無事に和解しました。
戦いが終わった後、綾瀬達は八千代とさくら達共々、天王寺家に滞在し、しばしの休息をとり、激戦の疲れを癒しました。
かつては敵だった飛鳥と穏やかに会話していたこともあったほどです。
しばらく後、大和の体調が完全に回復した際には、彼が飛鳥と一緒に兄弟漫才を披露したそうなのですが、綾瀬はそれはそれは冷たい視線を二人に向けたそうです。あ…あの女の目…養豚場のブタでもみるかのように冷たい目 だ。残酷な目だ…。
また、ようやく仲直りを果たした八千代とさくらの二人の様子を見守っていた綾瀬ですが、さくらの方はまだ神の信徒である《叶えし者(キラツ)》のままであったため、若干、躁気味の態度で八千代を振り回すこともしばしばであり、綾瀬も心配していました。
みんなと過ごす穏やかな日々の中、当面の目的であった復讐を終えた綾瀬は今後の行動方針を考え、自分達の家族を襲った悲劇の遠因となった神祖の仮面の捜索と破壊を再開しようと思っていました。
ですが、それを実行に移すよりも早く、大和達の贖罪に同行したいという飛鳥の誘いを受けます。
以前なら拒否していたであろう飛鳥達との旅に同行しても構わないと言っていることからも、当時の綾瀬がいかに穏やかになっているかがわかりますね。
まあ、その飛鳥のもとにたくさんの白の世界の女性ゼクスが訪れていた際には、さすがに白い目を向けていたようですが。
そんな中、神の邪悪な気の影響でさくらのパートナー、フォスフラムが消滅寸前になるという事件が発生します。
自分が原因でフォスフラムが消滅しかけている事に気づいたさくらは、みんなの前では大丈夫だと振舞っていたものの、一人になった時に密かに泣いていたのですが――。
そんな彼女の態度に業を煮やしたのはズィーガーでした。
隠れて泣いていたさくらのもとに訪れた彼は、彼らしい無遠慮な――しかし、同時にきちんと彼女達のことを考えた言葉で叱咤します。
その言葉は確かにさくらの心に届きました。
ズィーガーの言葉に目を覚ましたさくらは、己の未熟と向き合い、変わりたいと強く強く願います。
その結果、さくらの強い決意は神の影響を消し去り、フォスフラムは炎の不死鳥へと転生を果たしました。
余談ですが、ズィーガーはこっそりとさくらを叱咤しに行ったのですが、その様子を八千代のパートナーであるアルモタヘルに見られてしまっていたというオチがついていたり。
なにはともあれ、大切な仲間が消えなかったことに綾瀬達は胸をなでおろしました。
そんな中、天王寺兄弟やさくらが神の軍勢の気配に気づきます。
贖罪のためにも神々の目論見を阻止したいとさくらと大和が言ったことから、綾瀬達は全員で神々の気配がする場所である名古屋へ向かうことになりました。
さっそく、移動を開始した一行は道中では特にトラブルもなく、無事に名古屋に向かえたのですが、もう間もなく名古屋に到着というタイミングで、八千代とアルモタヘルが綾瀬達から離れてどこかへ向かってしまいました。
少し彼女達が心配になった綾瀬ですが、意外にも落ち着いた様子のさくらの言葉を聞いて、綾瀬も八千代達を信じて待つことを決めました。
しばらくの移動の後、名古屋に辿り着いた綾瀬達。
綾瀬が青の世界の領域内に入るのも久しぶりのことです。
以前に青の世界の領域内を移動していた時には、メタルフォートレスやバトルドレスの部隊と交戦したこともありました。
しかし、久々に訪れた名古屋は様変わりしていました。
崩れた建物。
ひび割れた道路。
そして、瓦礫だらけの街を闊歩する不気味な戦闘機械達。
惨憺たる名古屋の有様に綾瀬達は息をのみます。
そして、綾瀬達の到着を見計らったかのように、神のリーダー格であるアヌが人竜を滅ぼすことを宣言。
同時に現在世界に堕ちた神門に集結していた下級神や《叶えし者》の軍勢が動き始め、各世界の軍勢との戦いが勃発。
ここに神々との最終決戦、「討祓戦」の幕が上がったのでした。
2.VS Dingirs
アヌの宣言と同時に神の手に落ちた殺戮機械軍団――キラーマシン達が動きだします。
綾瀬達もまたそれぞれにイグニッション・オーバーブーストを発動して神々の軍勢との戦いに加わります。
ですが、キラーマシン軍団は他者の魂を焼失させる力を持ったウィルス・ヴォイスを放つだけでなく、その数もすさまじいものでした。
しかも、乱戦の中、大和とさくらまでどこかに行ってしまいます。
倒しても倒しても新手が現れる殺戮機械の軍勢に手を焼いていた綾瀬は、戦力不足を危惧した飛鳥に手を掴まれ、いったん、その場を離脱しました。
飛鳥と実質二人きりという状況に、妙な苛立ちを覚える綾瀬。
その時、不意に彼女達の頭上に何者かが現れました。
綾瀬達の前に現れたのはエキゾチックな衣装に身を包んだ女性と黄金の鎧を纏った男性。
綾瀬はそのどちらの顔も知りませんでしたが、彼女達が何者なのかはすぐにわかりました――神。
未来の四大天使を殺しに来た、と冷徹に述べる彼女達を綾瀬は迎え撃とうとした――のですが。
なぜかそのタイミングで飛鳥が綾瀬に抱き着いてきました。
当然、綾瀬は大激怒。
平謝りする彼に綾瀬がビンタを叩き込むなど、あわや3 VS 1の戦いになりかたのだとか。
飛鳥達の話を説明する際にも言いましたが、本当は飛鳥は綾瀬を庇って前に出ようとした結果、勢い余って綾瀬の方に突進してしまったのだそうです。
ちなみに、先ほども言った通り、綾瀬はこの時に現れた二人の神、ルルとザババとは初対面でしたが、実はザババの方とは少しだけ因縁があります。
神々はそれぞれに好んでいる種族があり、その種族を積極的に《叶えし者》に誘っていました。
そして、ザババの担当はプレデターなのです。
なので、ザババが綾瀬の元にやって来たのは、彼女のパートナーがプレデターであるズィーガーだから、という部分もあると思われます。
また、ルルの方は元々飛鳥と因縁があったのですが、彼女が担当する種族はエンジェル達。
こちらも神の担当種族が相対したプレイヤーのパートナーゼクスと同じですね。
「討祓戦」でのプレイヤー勢と神々との戦いの組み合わせはこのようなパートナーゼクスの種族とそれぞれの神のお気に入りの種族が被っているパターンも結構見受けられたりします。
少し話がそれましたね。綾瀬達の物語に話を戻しましょう。
険悪な雰囲気で飛鳥と共闘することとなった綾瀬。
しかし、いざ戦闘が始まると、彼女達は凄まじい連携力を見せ、神々を圧倒します。
そして、気が付いた時には綾瀬達は大した傷を負うこともなく、神々を打ち倒していたのでした。
この結末に、綾瀬はなんとも複雑な気分になったのだとか。
また、ルルは生存が確認されていますが、ザババはどうなったかは不明です。
綾瀬が加減してくれたのなら、あるいは……と言いたいところですが、その後の描写を鑑みるに、ザババは綾瀬にトドメを刺されて消滅した可能性が高いです。
諸行無常。
3.思いもよらぬ再会
神々との戦いが終わった後、綾瀬は飛鳥から戦闘開始直前に抱き着いてしまったことを土下座で謝罪されます。
なおも不機嫌だった綾瀬でしたが、この頃には各地の戦いも終結し、離れ離れになっていた仲間達も戻ってきました。
綾瀬は確信犯で自分と飛鳥を二人きりにしたさくらを問い詰めますが、妙な笑い方でごまかされてしまいます。
また、さくらと話している間に八千代も戻ってきました。
一方、ズィーガーは神々との戦いを存分に楽しんだようで、かなりの上機嫌でした。
そして、さくら達と同じく綾瀬達からはぐれていた大和も戻ってきたのですが、彼はクレプスだけでなく、見知らぬ小柄なディアボロスも連れてきていました。
アニムスと名乗ったその少女魔人は綾瀬に近づきます。
その腕に抱えられていたのはどこかで見たような姿をしたケンタウロスのぬいぐるみ。
アニムスの口を通じて伝えられたそのぬいぐるみの言葉に、綾瀬は目を丸くします。
ぬいぐるみの正体はガルマータだったのです。
ガルマータは天使達による虐殺事件の際に綾瀬を助けてくれた恩人です。
紆余曲折の末、彼は弓弦羽ミサキのパートナーとなっていたのですが、思わぬトラブルに巻き込まれて魂だけの存在になっていたところを、アニムスの儀式によってぬいぐるみに憑依させられてしまったというのです。
アニムスに召喚される直前、ガルマータは、自分の肉体が倒れたのを見て、彼の恋人であるケィツゥーが半狂乱になり、しかもそこに仲間であるあづみ達を追って神マルドゥクが降臨したのを、目撃しました。
ミサキ達の元に早急に帰りたいと願うガルマータでしたが、ここは名古屋。
そして、ミサキ達がいるのは東北。
さすがにすぐに行けるような距離ではなく、綾瀬もガルマータもミサキ達の無事を祈るほかありませんでした。
さて、戦いが終わった後、改めてこれからどうするかをみんなで相談していると、さくらが真剣な表情で口を開きました。
さくら曰く、神との戦いで加勢してくれたニャルラトという人物から、綾瀬達と一緒にある場所に向かってほしいと頼まれていたというのです。
さくらに連れられて綾瀬達が指示された場所へと向かうと、青の世界のものらしき近未来的な建物の前に、三人の少女が佇んでいるのが見えました。
さくらが三人の中のリーダーと思しき少女、夜刀うららに声をかけると、彼女は少し待っていてほしいと言います。
彼女の言葉通りに綾瀬達が待っていると、建物の地下から青の世界の巨大なロボット――メタルフォートレスが飛び出してきました。
そのロボットのパイロットであろう四人の少年少女が降り立つと、うららは立ち上がり――
この場に集ったゼクス使い達全員に頭を下げて懇願したのでした。
うらら曰く、彼女達の故郷である異世界、幻夢郷が青の世界からの侵略者、アドミニストレータ ソルの侵略を受けているというのです。
うららはこの窮地を乗り切るべく、多くのゼクス使いに助力を依頼する予定であり、その中には弓弦羽ミサキも含まれているとのことでした。
ガルマータとミサキを再会させるために、綾瀬は幻夢郷行きを承諾。
うららからク・リトの宝具であるドリーム・キーの一つ『死神』を受け取りました。
他のゼクス使い達もそれぞれの理由から強力に同意し、綾瀬達は幻夢郷へと向かう事になりました。
――ですが、その先で綾瀬は、思いもよらぬ形で己の過去と再び相対することになります。
4.疼く傷痕
日本海に沈められたゲートを潜って幻夢郷に辿り着いた綾瀬達。
その中央にあるク・リトの王城に招かれた綾瀬達はそれぞれに個室を割り当てられます。
綾瀬は一息をついて部屋着に着替え――ていたところを、突然、部屋に入ってきた飛鳥に目撃されてしまいます。
慌てて土下座で謝る飛鳥を、綾瀬は怒って部屋から蹴りだしたのだとか……。
また、夢想を現実にする幻夢郷の環境の影響で、ぬいぐるみ化していたガルマータが自力で動き、会話できるようになりました(通常の世界ではアニムスに通訳してもらっていました)。
そのため、アニムスはガルマータの関係者である綾瀬にガルマータを預ける事にしました。
さて、うららは綾瀬を含めたゼクス使い達に幻夢郷の特性やドリーム・キーの使い方などについて説明すると、自分からの連絡が来るまで、しばらく自由にしていいと告げて、どこかへ出かけていきました。
その間に、ゼクス使いやゼクス達はそれぞれに交流します。
みんなで王城に作られたプールで遊んだこともあったのようですが、ズィーガーはアニムスに対してつれない態度をとったようで……。
一方、綾瀬に接触してきたのは巨大ロボット、神器のパイロットの一人である獅子島・L・七尾。
綾瀬と同じ金色の髪の毛を持つ彼女は、なんと綾瀬の母方の親戚であり、幼い頃に会ったことがある相手でした。
なんの因果か、彼女もまたゼクス使いとなっており、神器のうちの一機、シンクロトロンのパートナー兼パイロットとして戦っていたのでした。
互いの数奇な運命に驚くと同時に、再会を喜んだ綾瀬ですが、旧交を温める彼女と七尾の会話にニーナ・シトリーが加わりました。
ロシア出身で新興宗教ペンドラゴン使徒教会の宣教師、そして七尾の友人だというニーナ。
彼女や七尾に加えて、八千代とさくらも加えて諸外国の文化について語り合っていた綾瀬でしたが、会話をしていくうちにニーナの言動や振る舞いに奇妙な既視感を抱きます。
それも綾瀬自身の嫌な記憶を刺激する類の。
しかも、ガルマータもまた、綾瀬と同じ既視感をニーナから感じていると告げます。
うららからの連絡が来ないまま数日が過ぎた後、綾瀬はガルマータと共にニーナを呼び出し、その疑念を伝えます。
あなたは私たちの知っているある天使の人間だった頃の姿ではないのか、と。
その問いかけをニーナは肯定します。
自分はかの凶天使――ガムビエルの人間だった頃の姿なのだ、と。
半ば予想していましたが、その答えを聞いた瞬間、綾瀬の中で暗い気持ちが湧き上がりました。
なにせガムビエルこそが自分の戦いが始まった原因。
最愛の両親を奪った怨敵なのですから。
今、自分の目の前にいるニーナは自分が知るガムビエルとはかけ離れた性格の持ち主なのはわかっています。
ですが、もしも彼女が天使化してあのような天使になったら――。
憎悪の眼差しでニーナを睨む綾瀬と、それを硬い表情で受け止めるニーナ。
二人の少女がしばし睨み合っていると、剣呑な気配を察して駆けつけた飛鳥と七尾の二人に仲裁されました。
彼らの言葉を受け入れ、その場は引き下がった綾瀬ですが、その心に宿った暗い感情はなおも消えません。
綾瀬は自身の複雑な心境をズィーガーやガルマータに吐露。
彼らとも相談し、悩みに悩んだ末に出した結論は、ニーナと真正面から戦ってその心を見極める――すなわち彼女達に決闘を挑むというものでした。
うららを見つけた綾瀬は、彼女にニーナと決闘を行いたいと伝えます。
死神と教皇、どちらかが欠けるかもしれない。
元々、幻夢郷の問題を解決するためにこの地に訪れた以上、戦力が減る可能性のある決闘をうららに却下される可能性も考えていた綾瀬ですが、うららは彼女達の決闘に興味津々となり、その依頼を許可。
すぐにニーナにも伝えに行きました。
ニーナもまた決闘を了承したことから、うららは他のゼクス使い達にも綾瀬達が決闘を行うこと(とゆたかのプリンセス就任)を通達しました。
果たして決闘の日、当日。
うららが貸してくれた王城内の闘技場へと向かうと、そこにはニーナ達とうららだけでなく、何人かの仲間達の姿もありました。
戦斗怜亜と雷鳥超の神器コンビ、そして飛鳥とフィエリテ。
彼らは綾瀬とニーナの決闘の見届け人となるためにこの場に駆けつけたのでした。
普段なら真っ先に何かを言ってきそうな飛鳥が何も言わずに彼女達を見守っている事に綾瀬は何を思ったでしょうか。
一方、顔を見せていない仲間達もいました。
さくらは珍しく(というか初めて)体調を崩し、ベッドでダウン。
八千代も妹の看病をするために、彼女の部屋に留まっていました。
一方、大和や七尾、ゆたかが姿を見せていない理由はわかりません。
予定された時刻になり、これ以上、訪れる者がいないことを確認すると、ぬいぐるみ姿のガルマータが進み出ます。
彼は自らが決闘の審判役を務めることを告げ、決闘の始まりを宣言します。
ガルマータが開戦を宣言すると同時に、綾瀬の前に立つニーナの体が光に包まれました。
光が消えた後、そこに立っていたのは先ほどとは異なる天使の姿――ガムビエルの姿となったニーナ。
ですが、その行動は結果的に、綾瀬の憎悪を極限にまで高めてしまいました。
綾瀬は魔人の姿に変身すると、憎悪と共にニーナへと攻撃を仕掛けます。
それと同時にズィーガーもまた雄叫びと共にニーナのパートナーゼクス、ケット・シーのメインクーンへと突撃。
二人の少女と二匹のゼクスの熾烈な決闘が幕を開けました。
ズィーガーは百戦錬磨の凶暴なプレデター。
しかし、一方のメインクーンも、かつては白の世界のみならず他の世界の領土でも盗みを働いていたほどの経験の持ち主です。
驚くほどの俊敏さで自身と互角に渡り合うメインクーンに、ズィーガーは思わぬ強敵との戦いに笑みを浮かべます。
一方、少女達の対決は綾瀬が一方的にニーナを圧倒する展開となっていました。
ゼクス使いとして戦った経験がやや短めのニーナに対し、綾瀬はこれまで何度も天使達を始めとするゼクスやゼクス使いと戦ってきました。
幻夢郷の環境を活かした変幻自在の攻撃でニーナを打ちのめします。
ですがニーナは、何度打ち倒されても不屈の精神で立ち上がり、綾瀬に挑みます。
二人の少女と彼女達のパートナー達が激しい戦いを繰り広げる中――突如、凄まじい轟音がク・リトの王城を襲いました。
ソルの部下の一人が愛機のロボット、ブライトロンと共に攻撃を仕掛けてきたのです。
異常を察した飛鳥とフィエリテが闘技場全体を守る結界を展開し、綾瀬達の決闘を継続できるようにしてくれました。
また、怜亜と超も敵を撃退すべく出撃します。
仲間達が敵襲に対応するのを横目に見ながらも、綾瀬とニーナ、ズィーガーとメインクーンはなおも決闘を続行します。
長い戦いの果て――最後に勝ったのはやはり綾瀬とズィーガーでした。
何度も叩きのめされてボロボロになったニーナは、遂に起き上がれなくなり気を失ってしまいました。
決闘に勝利した綾瀬ですが、そこに喜びはありませんでした。
自身の憎しみに必死になって向き合おうとしてくれたニーナ。
そんな彼女を憎悪のままに打ち倒してしまった。
幻夢郷を守るための戦い――誰かを助けるための戦いに相応しい存在は自身と彼女、どちらなのだろうか?
考えるまでもない。
仲間達と共に戦うのに相応しいのは、無償の愛の心をもったニーナ。
自分のような存在は不要――。
そんな想いと共に、綾瀬は王城から立ち去りました。
必死に引き留めようとする飛鳥の声を無視して。
八千代やさくら、大切な従妹達にすら何も告げることなく――。
5.次回に続きます
ここまででだいたい第28弾から第35弾までの綾瀬の物語です。
復讐を遂げ、ようやく穏やかな日々を過ごせるようになった前半から一変、幻夢郷にて再び己の憎悪に蝕まれることになった綾瀬。
―――そして、彼女の物語はさらなる奈落の底へと堕ちていくことになります。
他ならぬ、もう一人の彼女によって。
……また次回!
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