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Webサービスで値上げ・ポイント制度を変更するときの注意点【弁護士が解説】
皆さん、こんにちは。弁護士の中野秀俊です。本日は「Webサービスの値上げやポイント制度の変更時の注意点」についてお話しします。
最近、こうしたテーマについてご質問をいただくことが増えています。特にメルカリのポイント制度改定・解約の話題などから、「企業側が一方的に値上げやポイント制度の変更を行うことは可能なのか?」という疑問を持たれる方も多いようです。本日はこの点について解説します。
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1. 民法改正による規約変更の可能性
民法の改正が5年前に行われ、「定型約款」という制度が導入されました。これは、利用規約のような多数の利用者を対象とした契約について、特定の条件を満たせば同意なく変更できるというものです。
通常、契約は当事者同士で合意し、変更時には覚書などを交わす必要があります。しかし、Webサービスの利用規約のように、個々の利用者から毎回同意を取るのが現実的でない場合、一定の条件を満たせば一方的に変更することが可能です。ただし、変更には「必要性」や「内容の相当性」など、合理的な理由が求められます。
合理的な変更であれば同意なしで可能ですが、合理性が認められない場合は利用者の同意が必要となります。
2. 値上げの合理性
例えば、サブスクリプション型のサービスで契約期間が定められており、途中解約ができない場合、契約途中で値上げすることは合理性が低いと判断される可能性が高いです。利用者としては契約時の条件を前提にしており、一方的な値上げは「強制的に支払いを求める」ことになりかねません。
一方で、「途中解約が可能なサービス」であれば、値上げの合理性が認められやすくなります。利用者は値上げに納得できなければ契約を解除できるため、公平性が保たれるからです。
また、「一部の顧客のみ値上げする場合」にも注意が必要です。その価格設定が合理的かどうかが問われます。例えば、VIP顧客向けに特別なサービス(専用コンシェルジュの提供など)を追加し、その分の費用を反映させる場合は、合理的な値上げと見なされやすいでしょう。しかし、特定の顧客向けのサービスを充実させるために「全顧客の料金を一律値上げする」場合は、合理性が問われる可能性があります。
3. ポイント制度の変更
ポイント制度を変更する場合も、「そのポイントがどのような位置付けなのか」が重要です。
例えば、Tポイントのように「支払い時におまけとして付与されるポイント」であれば、料率を引き下げても問題になりにくいです。これは、利用者が追加で料金を支払って獲得しているわけではないからです。
しかし、ポイントが「実質的な割引」として機能している場合(例:一定のポイント還元を前提に契約するケース)には、ポイント制度の変更が制約を受ける可能性があります。契約当初の前提が崩れることで、利用者に不利益をもたらすからです。
4. まとめ
結局のところ、値上げやポイント制度の変更は「合理性」が重要なポイントになります。その変更が契約当初の意図と合致しているのか、利用者にとって納得できるものなのかが判断基準となります。
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