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競合他社に転職をした場合に違約金の誓約書に効力はあるの?

皆さま、こんにちは。弁護士をしております、中野秀俊と申します。

今日のテーマですけれども、競合他社に転職をした場合に違約金の誓約書に効力はあるの?というお話をしたいと思います。

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競合他社に移った場合に違約金を払うという契約書

「競合他社に移った場合に違約金を払うという契約書にサインをしてしまっているが、これは効力がありますか?」というご質問をTikTokでいただきました。

そもそも、会社を辞めて競合他社に移るのはいいのか?というと、これは当然ですが憲法上の職業選択の自由が保障されています。どのような職業に就くのかは国民の権利だと書かれているので、競合他社に移ることは自由です。むしろ前職の経験を活かして、同じような業界でステップアップすることは多く行われています。ただし、「競合他社に移ることを禁止する」という内容の誓約書を作ること自体に問題はありません。そして、この誓約書にサインをしてしまうと、お互いが同意の上で約束したことになるため、守らなければいけません。つまり、誓約書に効力はあるとなります。

誓約書が無効になる場合

ただし、この誓約書が無効になる場合があります。例えば、「ずっと競合他社に移るのはNGです」という場合です。もう一生、競合他社に移るのはダメで罰金となると、これは当然ですが認められません。これは競合避止義務といい、同じような業種への転職を禁止すること自体は問題ありませんが、期間や地域を絞ってかなり限定的にしなければいけません。以前であれば2年、3年の縛りがあっても認められたのですが、最近の裁判例はかなり厳しくなっています。期間であれば1年、さらに東京都といった同じ商圏内であることなど、かなり限定的な条項に限って有効となってきています。なので、ここには注意が必要です。

違約金が高すぎる場合も無効

また、違約金が高すぎる場合も無効となる可能性があります。これは評価の問題になるので、何円からが高いのかは明確には言えません。しかし、個人に対して1000万円の違約金を課すとなると、それはやはり公序良俗に反するのではないかと思います。

誓約書を書く義務があるのか?

さらに、よくご質問いただくのは、「誓約書を書く義務があるのか?」ということです。これは結論としては、書く義務はありません。これは契約なので、お互いがよしとしなければいけません。なので、会社側が「これを書かないと辞めさせない」と口で言うことは問題ありませんが、強制力はありません。本当に辞めさせてもらえない場合には、退職届だけを出して辞めてしまうこともできます。書きたくなければ書かなくてもいいですし、会社側も強制はできないという点はおさえておいていただければと思います。

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