未払い残業代が65億円!労働基準監督署の指導結果が公表!
皆さま、こんにちは。
弁護士をしております、中野秀俊と申します。
今日のテーマですけれども、未払い残業代が65億円!労働基準監督署の指導結果公表というお話をしたいと思います。
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労働基準監督署からの監督指導
労働基準監督署で監督指導したものについて、令和3年度(2021年度)分はこういった実績があったという事が厚労省から公表されました。
労働基準監督署が入り、「これは未払ではないか」と指摘した1年間の合計は、対象労働者数が6万4968人、割増賃金つまり未払い賃金は65億円ありました。割増賃金の平均額は1企業あたり609万円で、労働者1人あたり10万円でした。65億円という大金を企業が払わなければいけないと認定されたという事が発表されたわけです。
企業の労務問題のケーススタディ
細かいところはググっていただければ出てくるかと思いますが、どういった問題点があったかも事細かにいわれています。1企業あたり約600万円となるとかなり大きな金額になるので、企業としては未然に防ぎたいところかと思います。どのような問題点があったかを少しご説明していきます。
まずは、労働時間を正確に把握できていない企業があったといわれています。例えば、出勤簿による労働時間の管理が、出勤簿に押印をするのみだったというケースです。こういった形もあるのかもしれませんが、その押印が本当の時間なのかも含めて確認ができていない点が問題とされました。また、使用者の指揮命令下で行われていた、つまり業務命令で行われていた部活動等の業務をボランティア扱いとして業務時間に入れていなかったケースもありました。会社の業務命令であれば、つまり会社の指揮命令がある場合は朝礼や部活動、課外活動も労働時間となります。なので、これを労働時間に入れていないと当然アウトになります。
適正な労働時間の記録が阻害
次に、適正な労働時間の記録が阻害されていたというものです。例えば、タイムカードを切った後などの働いていないはずの時間にパソコンの使用記録があったケースです。これはつまり、タイムカードを早く押させた後にパソコンで作業をさせていたわけです。また、勤怠システム上の退勤時刻の記録と施設警備システムに記録された時間に乖離があるケースもありました。これは退勤時刻と実際に施設を出た時間が違うという事で、早く終わった事にしておくといった妨害行為があったと認められています。なので、タイムカードであればタイムカードで良いのですが、きちんと乖離のないようにしておかなければいけません。早く押させるなどの行為で正確な労働時間を把握できなくさせる事は当然アウトです。
企業としてはこれらに十分注意していただく事が必要かと思います。
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