NFTにおける商標権侵害の裁判事例。商標権登録の注意点も解説!
皆さま、こんにちは。
弁護士をしております、中野秀俊と申します。
今日のテーマですけれども、NFTにおける商標権侵害の裁判事例というお話をしたいと思います。
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NFTの商標権侵害事例
NFTマーケットが盛り上がっているところではありますが、ここでの商標権の侵害についての質問が増えてきました。たとえば、ブランド物に似たデザインを展開するNFTプロジェクトやブランドの商標を無断で使用したNFTが販売されているなど、権利侵害の事例も多く出ています。その中で、自分たちがとっている商標と同じ、または似たような商標が用いられたNFTプロジェクトが作られている場合にどのような対応ができるのかを裁判例からち見ていきたいと思います。
メタバーキン事件
日本においてはまだ裁判例があまりないため海外の事例になりますが、米国でエルメスの「メタバーキン」事件というものがありました。NFTアートの「メタバーキン」の販売が開始されました。これはいわゆるエルメスのバーキンとはまったく無関係のものです。これに関してメタバーキンの商標権侵害を認めました。バーキンは商標がとられており、これをNFTアートにした場合、商標権侵害とされたわけです。
このように基本的には商標権侵害になり得ます。しかし、気をつけなければいけない点として、このNFTでの模倣までを想定して商標登録をしているかということがあります。実は商標は区分で分かれており、自分たちが登録した区分以外については商標権侵害になりません。「NFTと相性がよさそうだな」「NFTで真似をされそうだな」という場合にそこまで考えて商標登録をしているのかどうかは今一度、確認が必要かと思います。
洋服とNFTアート
また、洋服のデザインを模したNFTアートの場合、実際の洋服とNFTアートとの間に商品の類似があるのかが争われます。洋服はNFTと相性がよく、デザインやロゴなどについて本当に同一なのか、それとも類似なのかも争われるところです。今後NFTの展開も考えるのであれば、商標登録をする際にはそこも含めて登録しているのかという観点も必要かと思います。