思考力向上委員会 論理思考・構造化編② 結婚できない男性
◆記事のまとめ
主張:結婚できない男を量産している理由は、日本の職場環境にある
モジュール①:平等主義がうむ勘違いがある
・日本の職場で生きづらさを感じる男性が増えている理由は「極端な平等主義」にある
・出身大学などに関係なく出世のチャンスが与えられる(欧米諸国は違う)」→「20年以上かけてじっくりと人材を見極めていくことになる
・これは高齢化社会と相性が悪い+その間全員が幹部候補として扱われ続ける
・このシステムの中で女性が自然と家庭を選ぶようになり、同時に男性の認識が歪められることが問題である
・女性活躍の時代と言いつつ、実際のところはこの長期戦から降りていく(出産や育児などのライフイベントにより)
・日本の女性管理職がいまだに15%なのはこの競争から自然と女性が降りているからである
・ここで選抜に残り役職者となった男性たちは公平なレースの中で「自分の実力で勝ち残った」と思いがちである
・しかし実は競争相手の半分近くが途中で抜けた上での勝利である
・ただ、その公平性を活かせなかったのは「自己責任」とみなされやすく、彼らに手を差し伸べられないため、自分たちを負け組として烙印を押しやすい
モジュール②:女性の上方婚志向も問題である
・自分と同等以上の収入がある男性と結婚したいと考える女性が増えており、年々傾向が顕著になっている
・かつての日本にも上方婚規範はあったが、男女差が大き勝ったので、上層の女性は上層の男性と、中層は中層と、下層は下層と、とそれぞれの層で結婚が成立していた
・ただ、女性の社会進出に伴い、その構図に変化がおきつつある
・そこそこの収入がある女性はさらに高収入の男性と結婚式パワーカップル化し、超エリートの女性は自分より上の男性がいなくなるので「おひとり様化」する
・その一方、低収入の男性はマッチングから取り残され、「未婚化」し、ダブルインカムが望めなくなる分「相対的に貧困化」する
・それにより結婚ができない男性が増えていく
・またいまだに未婚男性に向けられる視線は厳しいものがある
モジュール③:別の幸せの形を作っていくべきである
・日本の一番の問題は幸せな生活の代替がないことである
・欧米社会は地縁(地域のコミュニティ)、中国は血縁、などの社会資本関係である
・日本はもともと社縁(会社の縁)でそれが成立していたが、終身雇用が崩れたことにより急速に失われつつある
・本当に必要なのは腐れ縁的関係である
・この社縁とは違う縁を「学び」を通じてできないか考えている
・何かしらの研修などの学びの場を通じて縁を作っていくことができないか
・そもそも日本人は交流のきっかけを作るのが苦手である
・なので、多少おせっかいなお膳立てをしてあげる必要がある
◆記事への感想
<全体のモジュールに関して>
・今回、主題は「日本の職場が結婚できない男を量産している」ということであるため、まずモジュール①と③は主張にはほぼ影響がないことがわかる
・また、文章全体を見てみると、本当に伝えたいこと≒主題は、「結婚して選ばれない男性が増えている中でその人たちの幸せのために縁を提供するべきである」ということかな?と推察できるため、主題を変えるかモジュールを変えるかが本来的には必要である
・記事自体のビュー数を上げるために、本来伝えたいこととは違うその記事の一部のモジュールを題名とすることが一般的なのかもな、とも思うが、ただ流し見しているだけだとその構造にも気づかないのが恐ろしいところ。。
<各モジュールに関して>
モジュール①も少し論理的に不明瞭な部分がある。特に顕著なのは、女性の話はあまりここではいらないこと。男性の話を論ずるのであれば、20年近くの平等な出世競争(と認識されている)があるため、そのレースの中で落ちこぼれた人は実力がないと自分に烙印を押しやすい、ということで十分である。ただ、その前提の出世競争自体が本当は平等ではない、という主張はあまりこのモジュールを支えるものとしては役にたたない
モジュール②は比較的論理的な構造で本記事のクリティカルな部分になる。
モジュール③別の幸せを作ることが可能なのか、ここはファクトを示すのが難しいが、主題を仮に「別の幸せを提供するべき」とするのであれば、重点的に論じるべき部分だと思う。
※意見に対する批判や個人に対する批判ではなく、論理構造に対しての意見です。ご容赦ください。