強制スローダウンのススメ
新しい仕事が始まって気がついたら半年が経っていた。知らぬ間に灰色の男たちに時間を盗まれているに違いない。そもそもnoteを更新していないどころか、ほとんどチェックもしていなかったことに気がついたからという訳でもないけど、久しぶりに読んだ本について書きたくなったので今回は本の話。
毎年、年末年始は本をまとめて読むことが多いのだが、個人的に一番刺さったのは『限りある時間の使い方』。
原題は『Four Thousands Weeks: Time Management for Mortals』、そのまま訳すと『4,000週:死すべき者のためのタイムマネジメント』と言ったところか。人生は80才まで生きるとして4,000週しかないよ、というスタートで興味を惹かれつつ、そっと書店の平積みコーナーに戻したら数日後に妻が買っていて、これは読むべきという天命だろうと読書リストに追加したら当たりだった。
この本が良いのはやりたいことをやるための、効率化やタイムマネジメントのハウツーに時間を割かないこと。むしろ、それ自体が幻想でそんな日は永遠に来ないよと冒頭から言い切ってしまうところ。それを認めた上で、現実を直視するという第一部と、幻想を手放すという第二部の構成でいくつかの提案をしてくれる。
年末年始は両家の実家を訪れたりイベントには事欠かないが、周りも自分も半強制的にシャットダウンするので頭の中を占めるやるべきことリストのノイズは静かなもの。そんな時にこの本を読んだせいか、内容がするすると身に沁みた。この本は最後に「有限性を受け入れるための10のツール」でさらっと要約されているのだが、そこのショートカットよりもそこに至るプロセスの方がずっと面白い。その一つ前に内省用の質問がいくつか紹介されているのだが、刺さったのは「もしも行動の結果を気にしなくてよかったらどんなふうに日々を過ごしたいか?」だった。
比較的に似た本で最近読んだものに『WHITE SPACE ホワイトスペース』がある。こちらはもっとハウツーに寄った内容でやはりスケジュールをギチギチに詰めこないことの利点を説いている。映画を見るのはもちろん、1時間のドラマを見るのも決意表明が必要に感じるような日々を送っている人にはこちらもオススメである。
と、久しぶりに書いてみたのもたまたまこんな記事を読んだから。
この中でゲイツは本は1時間以上かけて集中して読むという辺りに胸を打たれた。そう言えば以前Netflixで見たビル・ゲイツのドキュメンタリーでも大量の本を持って一人で別荘に籠もっている姿が描かれていたことを思い出す。
年末年始は強制的にスローダウンすることで読書をしたり、映画を見たり、ただ家族と過ごしたりと気持ちにゆとりのある時間が堪能できた。毎年のことながら、今回いつも以上に沁みたのはやはりこの半年間かなりドタバタしていたからだろう。
今年はより一層自主的に時間を使って、時間に追い回されないようにしよう。