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ロックはどのようにして誕生したのか?

 この本は1940年代から65年までのロックンロールが誕生し、ロックに変容し、ロックが終焉するまでの道筋を音楽的ではなく文化的、社会的な観点から見た一冊となっています。以下では本書より、本書内にあるロックンロールが誕生し、ロックに変化する過程までを紹介したいと思います。
 1940年代のアメリカ南部にはブルース、ゴスペル、R&B、カントリーという今ではルーツミュージックと呼ばれる労働歌が混在している状況でした。メンフィスは特に顕著で、メンフィスは南部の中では大きな都市であり、さまざまな人種の労働者階級の人々が労働に訪れていたためでした。そんな場所メンフィスに一人の異端児がやってきます。それはエルヴィス・プレスリーです。エルヴィスは13歳の頃に父親の労働のためにメンフィスにやってきますが、彼が17歳の頃に初めてレコードを出してから、それらは飛ぶように売れていきました。そのレコードはブルースやR&Bのような黒人音楽とカントリーのような白人音楽をあわせたものでした。本書ではそれがロックンロールの成立であったと書かれています。エルヴィスのようなロックンロールが若者の間で売れたのにはいくつか社会的な要因があるといいます。テレビの台頭により黒人向けのラジオ番組が作成されたこと、高度経済成長により若者が自分のお小遣いでレコードが買えるようになった、若者の労働のストレスがロックンロールの持つ反逆性に共感した点などです。
ではそのロックンロールが、どのようにロックに変化していったのでしょうか。本書では、ロックンロールにフォークが持つ文学性もたらしてロックへ変化したと述べられています。それを可能にしたのがボブ・ディランでした。著者は、ロックンロールの歌詞には文学性はなかったといいます。他方グリニッジ・ヴィレッジで栄えていたフォークはビートニク作家や社会運動の影響もあり歌詞の内容に重きを置いていました。しかしロックンロールとフォークはお互いを相容れないものとみなしにみなし、忌み嫌っていました。そんな中、フォークシーンで絶大な人気を誇っていたボブ・ディランがロックンロールを自分の文学性の元演奏したことでロックンロールがロックへと変化したと書かれていました。
 ロックンロールとロックを音楽的に比較していた文献やブログはいくつか見受けられますが社会的な背景を持って解説しているものは数少なく、とても貴重な文献だと感じました。ぜひ読んでみてください。

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