書かれるのが遅い感想記(2014/10/21編)。

先月&昨日と久し振りに(オイオイ)芝居を観劇して来たので、ちょっと書くのが遅くなってしまった「ごめんなさい」も含めて、感想文を書きます。

感想文であって、感想論ではないので、私情や感情や余計な情報、その他いろんなものが混ざると思いますが、そういう文章だと思って下さいまし。

10月18日の土曜日。
中野の劇場MOMOにて、演劇ユニット「クロ・クロ」第7回公演「アンサータン・ストーリーズ」を観に行ってきました。
「クロ・クロ」の主宰の千頭和直輝さんとは、去年の7月に、いつもお世話になっている劇作集団QDCのユーストリーム企画「QDCのフリートーク場」の中継を見学してお会いして、だけど俺史上もっともヤミーだった時期だけにお話等出来ず…。でも、新年会で改めてお話ししたりして、2月の第6回公演「絵空ノート」を観させていただいて…というお付き合いをさせていただいています。
2月公演の「絵空ノート」は千頭和さんの作・演出で、そこに俺の知人(「友人」と言い切るには勇気がない…w)でもある劇作家の尾崎レミさんのユニット「ソラニエ」が共作という形で脚本に参加し、演出助手もしていた作品。

話が本筋(「アンサータン~」)に行く前に、「絵空ノート」の話をしてしまおうか、と。
別に知人だから、という訳じゃなく、この「絵空ノート」にやられてしまったんですよ。
事前情報入れずに行ったんだけど、これが俺のモロ好みのお芝居。
歴史小説家2人の語りと幕末~戦前に至るまでの歴史劇が交差していく構成がまず好み。
関係ないとは思うけど、話がシーボルト・お稲と大村益次郎から始まって…というのが、俺の大好きなマンガ「風雲児たち・幕末編」を思わせる展開。歴史上の人物の書き方とか演出方法がみなもと太郎先生の手法にも近く、コミカルに史実を描いていく手法が好き。
歴史をどこまでフィクションにしていいのか…、そして歴史観をどこまで入れるのが「正義」なのか…という展開に、ソラニエのテイストで「壊し」に入るのが、より作家性を高めていたと思いました。
歴史観や描き方、「壊し方」に賛否はあったと思うけど、俺はすんなりと入ってきたし、最後メタ展開していくのも、伏線があった上でのことなので納得できたんですよ。

で、何が言いたいかって言うと…
「コレ、俺のやりたいコトじゃん!」
ってことだったんですよ。
100%ではないにしろ、自分のうっすら考えていたもののひとつの形を実際に見せつけられた…そんな感じだったんです。

んでもって、今回の話。
今回は千頭和さんの作ではなく、「ゲンパビ」という団体の阿部ゆきのぶさんの作で、千頭和さんの演出という形。
「ゲンパビ」の作品を拝見していないので、脚本の作家性どうこうはよく言えないんだけど…。
今回の作品は好みというより、自分の、実感に惹き付けられた。
話はラノベ作家が主人公で、現実と大学時代の記憶、そして幻覚が混然としていく。作家が書いた事件が現実に偶然起きる…大学時代に事故死した友人の記憶…フィクションの世界も混じり…そして幻覚も混じり現実も混沌としていく。
「偶然性」の話がメインテーマに置かれて来るんですけど…。

ここで俺自身の話になるんだけど。
去年の3月あたり、ノイローゼが高まった時期があって、その頃にデジャヴをみたり、作品の中にも出てくる「ラプラスの悪魔」じゃないが、全ての現象はもう既に答えが出ていて、運命はきまっていて…と思い、空虚な感覚を覚え現実感が無かった時期があったり。

そんな思いをしてきたスキツォイドマンだったりする自分としては、この混沌劇が割と自分に近い話として入ってきたんです。
作家としてはまだまだな俺だけど…。

自分と運命・偶然・確実性・不確実性を考えさせられてもらった、いい共鳴感が響いている。

ここで話を無理やりリンクさせる。

自分は今年の頭まで、ある障害者の事業所に所属していて、単純作業をこなせない毎日を送ってノイロに…という経験をしてんですよ。
また、4月に人材派遣会社で仕事を始め、5月にコケ…と、そんな形でくらいしか社会とかかわりを持てていないんですよ。

そんな中で…。

9月15日に「もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡」プロデュース「ヒヨコマメスープの味」を横浜の相鉄本多劇場に、千秋楽に行ったんです。
このお芝居も知人(「友人」と言いry)の劇作家・河田唱子さん(へらへら眼鏡w)が作であり、大学の後輩に当たる三枝ゆきのちゃんが出演…という縁もあり、観に行きまして。
(ちなみにゆきのちゃんの方が河田さんより年上だったはず…呼称なんて気にしない気にしない←お前が言うな)

先に相鉄本多劇場の思い出を…。
あれはもう17年くらい昔のコトじゃった…。
高校の演劇部で「横浜公演」と銘打って、12月のクリスマスの時期に、間口6間使うような芝居をムリクリ突っ込んでやったんですよ(わかる人にはわかる、船橋のツチダ先生作の「じゃがいもかあさん」)。
180×180×90のボックスを3つ入れたのかな…? ぶった切った覚えもあるんだけど、大劇場でも地下室を再現するために作ってあったセットを、あの小劇場に突っ込んだ…。ま、あの当時は部員30人いたお化け部だったから出来た話で。
芝居の出来は…正直覚えていない。ファーストキッチンのシチューパンを毎日食ってた記憶はある。
そういや搬入時にちょうど「劇場版・金田一少年の事件簿」の公開と被って、裏も表も階段が行列でセットが動かせなかった思い出もあります。

また、7年前には、岸田賞作家で岸田賞選考委員でもあった岡部耕大先生の演出した芝居に出演させていただいた。

そんな縁のある相鉄本多劇場。
もうご存知の方が多いと思うが、閉館してしまう。
劇場へ挨拶する気持ちもあり、観劇。

話を「ヒヨコマメ」に戻して。
作品はエリート企業のインターネットのショッピング部門へ飛ばされた女性キャリアウーマンが、ひたすらヒヨコマメを仕分ける仕事をさせられる人々とすったもんだしながら…というコメディ。
どなたかが書いていたけど、「企業版『がんばれベアーズ』」(年がバレる…w)で、定石を押さえつつ、ハメを外すトコは外し、それでいて、しっかりと今の問題も踏まえていて…と美味しいところを詰め込んだ作品でした。
登場人物の作り込みが、こういうコメディには大切なんだけど、こういうとこに河田さんの腕を見た気がした、勝手に。特にゆきのちゃんが普段のイメージと違った(でもアレ当て書きだろな)役で個人的に面白かった。

…個人的に。
作品の出来とは別で。
正社員・派遣社員・アルバイトの格差とか、単純作業の仕事の虚しさ・生産性とか、ちょっと障害者労働&派遣業務労働で、今ココロをヤっちゃってる自分としては、正直キツいトコもあった…。
作品が悪いんじゃなく、俺の問題なんだけど。
芝居ってこういうこと、あるんだねぇ。

ともあれ。
俺はこういう端正な芝居を書く自信がないので、尚更感銘を受けた。
これは嘘ないよ。
しっかりと作り込まれた芝居を観させていただいた、そういう思い。

そう言えば。
「アンサータン~」も「ヒヨコマメ」も作と演出が違う人だった。
ここからまた強引に結びつけますが。

10月10日の金曜日に、中野のダイニングバー「LAUGH」で毎月第2金曜日に行われているイベント、「GEKI COMMU」の9時からの朗読タイムに、自作の短編「僕と彼女と週末に」を取り上げていただいた。
「GEKI COMMU」は、前述のQDCの代表・堀之内啓太さんと演劇集団LGBTI東京代表の小住優利子さんがイベントオーガナイザーで開かれているイベント。基本ノーチャージで集える場で、いろんな人たちがいろんな交流をとれる場として開催されている。
で、9時からは定例で、毎回1作品2人の役者による朗読劇の上演があるんですよ。
今月は自分の作を小住さんの演出で、若い役者さんに演じていただいた。
台本提供だけして、一切演出演技に口を入れてないので、どういう風になるか、すごく楽しみで、すごく楽しめた。作家の自分の中のイメージを裏切るのが役者の仕事なんだと思った。イメージを壊して、その上で組み直してのキャッチボールで舞台は作られるんだな、と、改めて思ったり。

以上の出来事が混然と俺の中のイメージに火をつけてくれたんですよ。

しばらく舞台づくりからは離れているので、早く戻りてぇな、現場に。
と、思いましたとさ。

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