ドラマ「梨泰院クラス」に学ぶ、ともに歩める仲間のつくりかた
知人に勧められて、大学生の時ぶりに韓流ドラマにハマってしまった。
そんなこんなで今日は、まちづくりプロジェクトでも事業作りでも超重要な「仲間づくり」に関して韓流ドラマからの学びを書き連ねます。お付き合いください!
私的韓流ブームの第3波。はじまりは愛の不時着、そして2作目に見始めたのがこの「梨泰院(イテウォン)クラス」です。
内容をリサーチせぬまま学園ものと思って見始めたところ、内容はとある青年の人生をかけた復讐劇。色々なテーマが織り込まれていてなかなか見応えがありました。
詳細なあらすじはこちらから見てもらうことにして、ものすごくざーっくり説明すると、こんな感じのストーリーです。
主人公のセロイはとある事件をきっかけに、刑務所にはいるところから物語は動き出す。出所したセロイは小さな居酒屋「タンバム」を梨泰院というエリアに開店。セロイは因縁の相手に復讐するためにも店を成長させながら、度重なる困難を乗り越えていく。
主人公のセロイが店づくりをしていく上でもっとも大事にしているのは「仲間」の存在。彼が、飲食業経験もなし、まさにゼロから事業を成長させていく過程の「仲間づくり」についてなるほどと思った深読みを書いていきます。
(ちょっぴりネタバレ感もあるので、これから観る人はご注意を)
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[1]何よりもまず、自分が相手を信頼することからはじめる。
事業をつくりあげていくとき、最初から「この人は絶対信頼できる」という人と出会えることなど稀ですよね。何かの縁、またはタイミングが合った人にジョインしてもらうパターンが多いと思うけれど、はじめは「本当にこの人で大丈夫かな?」と半分疑心暗鬼になってみたり、迷ってしまう人が大半だと思います。
しかし主人公・セロイはそこが違います。一度自分が仲間に引き入れた人物をとにかく信頼するのです。その証拠に、「お前に任せた。責任は俺が取る」というような言葉はドラマに度々でてきます。
他人→「仲間」にするコツはきっと、まず自分が相手を信じきってみること。相手から自分が信頼されているか不安になってみたり、一緒にやって大丈夫かなと迷う前に、「あなたを信じている。」というスタンスを伝えよう。まずは自分が信頼する姿勢をとることで、仲間のコミットを促す効果があります。その思いが伝わると、相手もきっとその期待に応えようとしてくれるはず。
言うは易し、行うは難し。ですが、とても大事なことだと思いました。
[2]仲間が集える旗を立てる
仲間を募るには、まず皆が集える旗印が必要です。梨泰院クラスの場合は、セロイが起業した居酒屋「タンバム」。梨泰院というまちに初めて構えた1号店です。
ちなみに、梨泰院は外国人街でもあり、世界の縮小体とも呼ばれているらしい。ドラマにもたくさん出てくる路地文化のあるまちでもあり、歩くだけでも楽しそうなのでいつか行ってみたい。
「タンバム」のこの店舗は、実はセロイが因縁の相手に復讐するための一歩目にすぎません。でも、それが全ての「はじまり」になります。
セロイの最初の仲間は、囚人時代の刑務所仲間/スングォン、工場で働いていた時の同僚/ヒョニ。ふたりともおそらく飲食経験はなかったはずです。『タンバム』オープンにあたって、セロイが声をかけたのでしょう。そして様々なきっかけがあり、事業のブレインとなるチョ・イソやチャン・グンスなどが続々と参画することになります。セロイが立てた『タンバム』という旗があったからこそ、何もないところから最初に2人の仲間を集められたし、「タンバムをより繁盛させる」という共通の目標をもつことで更なる仲間も集まってきたのだと思います。
[3]仲間に期待と役割を伝える
とても印象に残っている場面があります。イソが、料理長であるヒョニの料理が美味しくないという理由で、セロイにヒョニを解雇するよう迫る一連のシーンです。
「このままじゃ店はだめになる」と迫られたセロイは、それをじっと聞き、ヒョニを呼びつけておもむろに給料袋を渡します。
ヒョニは、これで解雇なのだ・・・と悟るものの、セロイはこう続けます。
この給料袋には(月の給与の)2倍入れてある。その分2倍努力しろ。お前なら、出来るよな?
飲食店で肝心の料理が不味いのは致命的です。普通ならば、飲食店としてはすぐさま改善したいところ。料理の素地のない素人・ヒョニがイチから学び直し改善していくよりも、代わりのシェフを入れた方が経営的には効率的でしょう。
しかし[1]でも語ったように、相手への信頼と同時に、セロイはヒョニへの期待をしっかりと伝えました。ヒョニは受け取った給料袋を握りしめ、「努力します。」と決意に満ちた目をして答えます。
何度も何度も、試作にダメだしを受けながら味を完成させていくヒョニ。そしてタンバムは徐々に繁盛し、話題の店に成長していきます。最終的には、韓国で人気の料理対決番組「最高の居酒屋」で、No.1居酒屋チェーンである長家(チャンガ)を抜いて優勝。優勝のコールがかかった瞬間、ヒョニはセロイたちのもとへ駆け寄って抱き合い、喜びを爆発させるシーンは感動的でした。
仲間の絆の高まりはもちろん、リーダーとしてのセロイの振る舞いには学ぶべきものがあります。
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さて、いかがでしたでしょうか。ドラマでは、この起業・仲間集めの数年後にタンバムは韓国で数本の指に入るくらいの大手企業に成長していくのですが、途中経過はドラマでスコーンととばされているので、そのへんも丁寧に描いて欲しかった!という個人的感想で締めたいと思います。
仲間集めに悩んでいる人はぜひ梨泰院クラスを見てみてはいかがでしょうか!
※トップ画像は「梨泰院クラス」からキャプチャ