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ジェネリック医薬品について、しっかり目に解説してみる

2024年10月から、ジェネリックでない医薬品を希望する場合、負担金が上がることがあります。


それについて調べていたところ、Yahooニュースでとある記事を見つけました。


こちらの記事と、もととなるポストを見て、
もしかしてジェネリック医薬品のことって、意外と正しく知られていないのかな?
と感じました。

今回は薬局薬剤師の視点で「ジェネリック医薬品」について語ります。
上記のポストには書かれていない、薬剤師の「ホンネ」や「裏側」も交えて解説しますので、ご興味がある方は最後までよろしくお願いします。



ジェネリック医薬品とは


ジェネリック医薬品とは、私が患者さんに説明するときの言葉でいうと、
先に発売した薬と同じ主成分と効果で、より安価な薬
となります。


先に発売した薬のことを「先発医薬品」、後に発売した薬(つまりジェネリック)のことを「後発医薬品」と呼ぶこともあります。


主成分や効能効果は変わりません。
しかし、何もないところから薬を生み出す先発医薬品と比べて開発費用が圧倒的にかからないため、安価になるのです。

出典:厚生労働省HP


薬が安価になるということは、それだけ国にのしかかる医療費も軽くなるということです。
だから国を挙げてジェネリック医薬品の使用を推進するわけですね。


ジェネリックは「悪い」のか?


さて、そんなジェネリックの利用率ですが、厚生労働省が令和5年に示したデータによれば、全国平均で「80.89%」です。

かなり高い数値になってきています。

ただ現場の体感では、「絶対にジェネリックを使いたくない」という人もまだ一定数いる印象ですね。

「価格の安い薬」というのが、どうしても「安かろう悪かろう」のイメージと結びついてしまうのでしょう。

さて、では実際に「悪い」のでしょうか。


その回答は「ジェネリックが先発医薬品と比べて "効果が劣る" ということはない。しかし、 "体に合わない" 可能性はゼロではない」となります。

なぜなら「添加物が違う」から。

先の記載で私がわざわざ同一「主」成分と書いたのには理由があって、
ジェネリックは薬の効能効果を示す主成分は一緒でも、それ以外の成分は異なる場合があるのです。


血圧の薬。上が先発医薬品で下がジェネリック医薬品。


だから厳密に言えば「まったく同じではない」ということになります。


ただ薬剤師を長いことやっていて、実際にジェネリックに変更して薬が合わなかったパターンはごくごくまれです。
今まで数万回は薬を渡していますが、正直1%もいないぐらいに心当たりがないですね。


これは当たり前といえば当たり前で、たとえば、
このメーカーの納豆を食べたときだけ発疹が出る
みたいな状況が起こりうるかどうかを考えると分かるでしょう。


オーソライズド・ジェネリック


それを説明したとしても「完全に同じじゃないなら使いたくない」という患者さんもいます。

そんな彼らに向けた「オーソライズド・ジェネリック(以下、AG)」というものが存在します。


「オーソライズ」は「正当な」などといった意味で、AGとは、

新薬メーカーから許諾を得て、原薬、添加物および製法等が新薬と同一のジェネリック医薬品

を指します。


簡単に言えば、先発医薬品のメーカーから「もう完全に同じ作り方にしちゃっていいよ」という “お墨付き” をもらったジェネリック医薬品のことです。



実はこのAGにも AG1 ,AG2 ,AG3 などの細かい種類がありますが、これは薬剤師目線でもマイナーすぎる論点なので、今回は省きます。


「先発医薬品と完全に同じである」ことを謳ったAGの登場によって、「同じじゃないなら使いたくない」という患者さんの意見も封殺されつつあります。

そうした背景があって、国が「これからは、ジェネリックではない薬を患者側が希望するなら、それ相応の負担金を上乗せしますよ」と言っている、というわけです。



薬局がジェネリックを勧める理由


薬局が患者さんにジェネリックを勧める理由について補足しておきます。

冒頭に紹介したポストでは「医療費削減のため」と書かれていますが、ただその使命感だけで全ての薬局が一枚岩になることはありません

実際は薬局も国から「お尻を叩かれている」のが現状です。

つまり「ジェネリックの推進をしないなら、あなたの薬局にペナルティを課しますよ」といったことです。

そもそも調剤薬局の報酬体系、つまり「どうやったら利益が出せるのか」は、厚生労働省に舵取り棒を握られており、頻繁に変更が加えられます。

たとえば、
ジェネリックを推進しないならペナルティ
同じ病院の処方せんばかりを受け付けていたらペナルティ
などです。

最近だと「マイナンバーの利用率」などもこれに加わります。



だから調剤薬局がジェネリックを勧めるのには、経営面の切実な問題も確かにあるのです。

ここは「裏側」としてしっかりと伝えておきますね。


まとめ


今回は「ジェネリック医薬品」についてマジメに解説してみました。

ちなみに私はこの話題については極めて中立を保っていて、ジェネリックも先発医薬品も一長一短だと思っています。

別にジェネリックを強く推したいとも思えないし、同様に先発医薬品に特別な信仰心もないです。
負担金が気にならないのなら、先発医薬品を使ってもいいと思います。

ただ「高い方が良い薬だ」とか「後から発売したものは信用ならない」といった理由でジェネリックを忌避きひするのは、単純に「論理的な根拠がない」という点で、どうかなあと思ってはいます。


薬剤師の仕事にまつわるマガジンを置いておきます。

それでは、また。


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