薬剤師に対する濱家さんの謝罪について思うこと
かまいたちの濱家さんが、本日、謝罪文をXにあげていました。
真面目な方なんでしょうね。
正直そんなに謝罪されるほどの出来事ではないように感じます。
あと、謝罪文の真面目さによって、アイコンの面白さがことさらに強調されているように感じます。好きですよ、濱家さん。
さて今回は薬剤師の目線で、本件に対する見解を示してみます。
最後までよろしくお願いします。
事の顛末について
発端は2月28日に放送されたABCテレビ「これ余談なんですけど…」の一幕。
相方の山内さんが
「薬局で薬剤師に病状を聞かれる時間が無駄。それを病院でしてきた結果が処方せんなんだから、早く渡してほしい」
といった旨の発言をし、
それに対して濱家さんが
「薬剤師さんも医療に携わっているから、一応、医者憧れみたいなものがある」
と共感を示し、今回の謝罪につながったようです。
いくつかニュース記事を読みましたが、こちらが分かりやすかったです。
薬剤師業務は誤解されやすい
この手の「医者で話したことをもう一度聞くなよ」と言われるのは薬剤師にとってはあるあるすぎる話です。
患者さんから直接言われたことも幾度となくありますし、芸能人の方がその発言をしているのも、いくつか目にしたことがあります。
なので私に関しては、ショックを受けるとか憤ることは全く無いです。
一方で「医者憧れ」というのはあまり言われたことのない言葉だったので、新鮮に感じました。
でもそういう薬剤師も結構いると思いますけどね。
やはりどうしても患者さんに関われる範囲が薬のことに限定してしまうので、無力感を抱くことも多いんですよ。
ただそれが「医者に憧れているから、症状を聞いているんだ」というロジックなのであれば、それは明確に否定しておきます。
濱家さん、私は医者憧れ、少しはありますよ!
***
薬剤師業務は「医師から指示された薬をただ作るだけ」と誤解されやすいです。
しかし一番重要な業務は「処方監査」で、これは「処方せんの間違い探し」に当たります。
もっとも大事なので、私の「薬局薬剤師のお仕事」シリーズでは第一回に取り扱っています。
「処方せんの間違い」って、頻繁にあるんです。
医師が使い方を間違えてしまっているケースもありますし、
医師が正しかったとしても、処方せんを印刷するのは医師ではありません。
入力を間違えて、あり得ない薬が出ているケースも起こります。
医薬品という世界は複雑です。
例えば「バルトレックス」という薬があります。
この薬は帯状疱疹であれば2錠ずつ飲みますが、単純ヘルペスであれば1錠ずつ飲みます。
処方せんが合っているかどうかは、病状を聞かなければ分かりません。
あとこれは私が応援に入った薬局で起こったケースですが、
睡眠薬と間違えて、てんかんの薬が処方されていました。
名前がよく似た薬でした。
症状を聞いていなければ、そのままお渡ししてしまう可能性があります。
このときは症状を聞いて、医師に確認し、睡眠薬に変更となりました。
薬剤師にとって、こういったことは日常茶飯事です。
だからいくら煙たがられようとも、私たちは症状を聞き続けます。
話題に上がって嬉しい
ただ、今回の一件で、嬉しいことはありました。
それは「薬剤師の業務が少し、周知されたこと」です。
普段の業務において、薬剤師が患者さんに対して「症状を確認する意義」を、懇切丁寧に伝えることはありません。
「知ってるよ」という人にとってはこれこそ「無駄な会話」だからです。
だからこうした形で、皆が薬剤師の業務について知るキッカケを作って下さったことに、本当にありがたいと思っています。
濱家さん、ありがとうございました。
まとめ
今回は、かまいたちの濱家さんの謝罪について、薬剤師の目線で見解を述べてみました。
私たちにとってはあるあるだし、粛々と業務を続けるだけのことなので、憤りとか悲しみとか全くないです。
職場でも一切、話題にも上がりませんでした。笑
多分炎上したのも、薬剤師以外の方が「失礼だろ!」と声を上げられた結果だろうなと思います。
むしろ多くの人が薬剤師業務について考えるキッカケになったと思うので、とてもありがたく思います。
薬剤師業務についてのマガジンを載せておきます。
不定期更新で更新頻度も高くないですが、よければマガジンのフォローをしていただけると励みになります。
それでは、また。