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本日の読書 #059 「ハーロウの代理母実験」
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参考書籍:『サピエンス全史(下)』ユヴァル・ノア・ハラリ
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第十七章 産業の推進力 より
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(不愉快な動物実験の話を含みます)
(苦手な方はまた明日お会いしましょう)
ハーロウの代理母実験。
子育てをしていると、「子どもを抱きしめることは、いつまで続けて良いのだろうか」という疑問がある。
これまで読んだ育児に関する本には、
「2歳を過ぎたらハグしないほうがいい」
「毎日ハグしてあげたほうがいい」
「求められたときはハグしたほうがいい」
と、さまざまな記載を見掛ける。
しかし私は『サピエンス全史』を読んでから、求められる限りは、とにかく我が子をハグすることに決めた。
もともとこの『サピエンス全史』は育児本でも何でもなく、「人類の起源と進化の過程」を解き明かす書籍だ。
全編を興味深く拝読したわけだが、最終盤の第十七章で紹介されていた実験が、私が本書で最も衝撃を受けた箇所となった。
その実験とは「ハリー・ハーロウの代理母実験」と呼ばれるものだ。
倫理的に悪名高い動物実験である。
実験の内容は、アカゲザルの赤ちゃんを本当の母親から引き離し、以下の二種類の「代理母」がいる部屋に連れてくる。
代理母1:針金で作られていて、哺乳瓶が付いている母
代理母2:布で作られていて、哺乳瓶が付いていない母
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するとどうなったか。
サルの赤ちゃんは、常に「布製の母」にくっついていた。
空腹のときでさえ、布製の母にしがみつきながら、針金の母からミルクをもらったのだ。
これを読んで、活字に釘付けになる感覚を、久々に覚えた。
同時に胸が締め付けられた。
キリキリと。
そうか、そうなんだ。
生きる上で直接的に必要なのは「食べ物」や「飲み物」だけど、サルの子どもが求めているのはいつも「愛情」や「ぬくもり」なのだ。
じゃあ、サルを祖先に持つ人間はどうか。
これはきっと同じだろう。
「赤ちゃんが親の愛情を求める」というその ”本能” がサルにあるのなら、それが進化の過程で削ぎ落とされるとは思えない。
やはり子どもには親の「ハグ」が、絶対必要なのだ。
本書を読んで、すぐに妻にも話した。
だから私は、子どもの「抱っこして」を、決して断らない。
それが子どもにとって絶対に必要なことだと確信しているから。
本書のおかげで、ブレることのない、私の子育ての軸ができた。
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