本日の読書 #022 「認知革命」
参考書籍:『サピエンス全史(上)』ユヴァル・ノア・ハラリ
第一部 認知革命
第二章 虚構が協力を可能にした より
認知革命。
本書の最大のテーマの一つだ。
これは約7万年〜3万年前に人類の脳内で起こった革命で、
一言でいえば「虚構を信じることができるようになった」ということ。
これだけだと少し分かりにくい。
認知革命が起こる前の人類は、ただ動物を狩り、昆虫を食べ、草食動物の骨髄を啜る毎日を送っていた。
しかしある時、虚構を信じることができるようになった。
「あの大きな木には闘いの神が宿っている」とか「この川の向こうに、めちゃくちゃ強いニンゲンが居るらしい」みたいな会話が起こる。
するとどうなるか。
「その闘いの神を拠り所として団結する集団」や「めちゃくちゃ強いニンゲンを慕い集まった集団」が発生する。
その「虚構を信じることで可能となった巨大なコミュニティ」が、動物のみならずサピエンス以外の人類種まで絶滅に追いやるほどの力となった。
私が特に気に入ったのは、著者ハラリの「ゲノムを迂回する」という表現だ。
本来、動物が行動様式を変えようとするには、遺伝子が変異するのを待つしかなかった。
当初、キリンの首は短かったし、クジラの背中にある穴はもともと顔に付いていたものだ。
しかしサピエンスはこの認知革命によって、遺伝子に頼らずに行動を変更できるようになったのだ。
例えば、ブチハイエナは雌しか育児をしないらしい。
雄に育児をさせるには、遺伝子ごと変わらないと恐らく無理だろう。
何千年という単位で時間がかかる。
しかし人間はそうではない。
かつて女性しか育児をしていなかったとしても、新しい物語(虚構)が信じられれば、男性も育児をするようになる。
そこに遺伝子の変化は必要ない。
この「成長のスピード感」が他の動物種と比べて段違いだったために、サピエンスは良くも悪くも地球を席巻することとなったのだ。
***
私はこの事実を、個人単位で考えるのが大事だと思う。
困難な状況にあるとき、必ずしも時間に頼る必要はないのだ。
「どんな虚構を信じるか」次第で、すぐに解決できる場合もある。
困難な状況にあっても、
「新しい物語さえ作れば、打開できる」
という意識を持つこと。
いつだって、ゲノムを迂回してやろう、という気概で。