彩色見本 オベロンを作る
今回はガレキディーラー増田屋さんのガレージキット、FGOオベロンの彩色見本を担当させてもらいました。せっかくの機会ですので購入した方への組み立て説明書の代わりになるような記事を書きたいと思います。
軸打ち
まずはパーツチェックです。全8パーツ、個人で複製されているそうですが気泡や段差がほとんど無く業者顔負けの綺麗なパーツで驚きました。
組み立てに接着剤を使いたくなかったり、壊れないよう補強したい方は軸打ちという作業を行って下さい。やり方は下に書いていきます。今回、軸打ちには1mm真鍮線と0.5mm真鍮線を使用しました。
このキットはダボがしっかりしているので色を塗らずサクッと組み立てるなら接着剤を使えば軸打ちをしなくても大丈夫そうです。
今回使用した道具
・1mm真鍮線、0.5mm真鍮線
・1mmハンドドリル、0.5mmハンドドリル
・ニッパー(買う場合ホームセンターでしっかりした物を)
穴の位置決め
別々のパーツの同じ位置に穴を開ける方法です。
ここでは上半身と下半身のパーツを使って説明します。
軸打ちの例
磨き・表面処理
組み立てが終わったので次はパーツを磨いていきます。届いたばかりのパーツはバリや気泡などで表面が滑らかではありません、このまま塗装しても表面がガタガタて見栄えが悪いので紙やすり等で磨いていきます。
使用した道具
※編集中です。
調色
次は使用する色を作っていきます。使用する塗料はラッカー塗料とエナメル塗料、2種類の塗料を使用する理由はは後述します。
ラッカー塗料
髪色
ざっくり言うと白っぽいグレー寄りのピンクです。パステルピンクを作って緑を足すと作れます。
着物の裏地
着物の裏地は緑に近い青を黒に近づけた色です。
青緑を作って黒を足していくと作れます。色が強すぎる時は白を足せばおとなしい色になります。
着物、羽織の白
白は少し黄色味がかった明るいグレーにしました。
着物の影色
影色は青紫寄りの明るいグレーです。
着物の帯
帯の色は元イラストを参考に黄色強めの明るい茶色にしました。
羽織の模様
羽織の模様にはパステル寄りの紫を使用しています。
オベロンの金色
オベロン本体に使用した金色はブルーゴールドです。
台座
台座の金色はゴージャス感のあるレッドゴールドです。エナメルのクリアレッドとクリアオレンジでグラデーションもかけています。
エナメル塗料
羽織の黒
黒そのままだと彩度が高過ぎて浮いてしまうので茶色と白を足して穏やかな色味にしてみました。
着物の袖模様
着物の袖にある模様はグレーをそのまま使用しました。
羽織のオレンジ模様
羽織の模様はパステル寄りのオレンジです。今回は少し赤みの強いオレンジを使用しました。
ラッカー塗料とエナメル塗料の違い
それぞれの塗料の違いですが、一番の違いはエナメル塗料の薄め液ではラッカーは溶けないと言う点です。つまりラッカー塗料で塗装した上からエナメル塗料で塗装すると、やり直したい時にエナメル塗料のみ落とす事ができるのです。
今回は塗り分けた後の修正に対応するため羽織の模様を中心にエナメル塗料を使用しました。
塗装
色が決まったので塗装していきます。資料が少なく、元イラストも一枚のみだったのでディーラーさんと相談してイメージを擦り合わせながら塗装しました。
ここではディーラーさんに確認をしてもらった段階ごとに画像を載せておきます。
1段階
まずは髪色、着物の白、裏地、帯色を塗った後羽織の黒をエナメル塗料で塗り分けています。この段階で全体のイメージが理想とズレていないか確認してもらいました。
2段階目
羽織や着物の紐を塗り分けて着物の模様を手描きしています。この辺りは筆塗りで塗り分けています。
3段階目
羽織のオレンジや裏地を塗装しました。羽織の模様はこの段階では黄色強め、ディーラーさんと相談し赤よりが良さそうとのことでこの後修正しました。
4段階目
羽織の模様を赤寄りのオレンジに変更、りんごや台座の金色を塗って大まかな目線を決めました。羽織の模様は見本となるイラストが少ないのでディーラーさんと打ち合わせしながら要望を取り入れる塗り方をしています。
5段階目
大体のパーツに色が入ったのでここからは微調整、瞳を修正して台座にクリアオレンジとクリアレッドで色を足しました。
6段階目
羽織に模様を追加。りんごの色味が鮮やかすぎたのでこの段階で修正しています。塗料を薄めに希釈して発色を抑えながらちょうど良い色味まで少しずつ塗り重ねていきました。その他に瞳を描き込んで表情をつけています。
7段階目
完成目前、艶を調節して全体の確認です。
ディーラーさんにOKをもらってから羽織と台座にパールを吹いて完成です。
羽織の裏地も色々と手を加えたのですが写真撮り忘れてしまいました。
完成
和装オベロン完成です。参考に資料が少なく、イメージを固めるためにやり取りが多くなってしまいディーラーさんに負担をかけてしまいましたがその分、要望をたくさん取り込めたので良い仕上がりになりました。ライトグレーを基調に華やかな色が入って上手く纏まったと思います。パールが写真に写らないのが残念。
最後に
このオベロンは2024年10月14日のとなモ6にて展示、販売される予定です。是非見ていただけると嬉しいです。キットもパーツ数が少なく、複製も綺麗なので簡単に組み立てられます。オベロン好きな方にはガレキ未経験でも是非手にとってこの記事を参考に組んでみて欲しいです。
見本制作を依頼して下さった増田屋さん、とても貴重な経験が出来ました。改めてありがとうございました。
それでは!
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