おひとりさま・DINKsに関する調査
今回の記事では特別ゲストとのコラボです!
おひとりさま・DINKsに関する調査を、東洋大学社会学部教授の北村英哉先生と共同で実施しました!
多様化するライフスタイルについて、おひとりさま・DINKs層に焦点を当て、その傾向や価値観について分析した結果・・・
➣月あたりの可処分所得は全体として2~3万円がボリュームゾーン。DINKs 層では4~7万円の割合が高め。使い道について、DINKs層では「グルメ・食品」「旅行・レジャー」「貯蓄・投資」が高め。
➣全体として、おひとりさま層よりDINKs層の生活満足感が高い傾向にあり、満足感と特に関係があったのは「やりたいことにエネルギーをかけたい」という志向性。
➣一方のおひとりさま層では、結婚を志向している人たちの方が、周囲の人と対立することを好まず、合わせようとする保守的な傾向。
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調査概要
調査期間:2022年7月2日(土)〜3日(日)
調査対象:グノシーアプリを利用する全国30〜50代の男女/7,404名
近頃では、日本での少子化の流れに相俟って、若い世代のライフスタイルに対する関心が強まっています。もちろん個々にはそれぞれの多様な考え方があるのが今の時代なのですが、トレンドとして見出すことができる大きな傾向があるかもしれません。
そこで、2,218名の未婚者、結婚経験のある独身者1,092名、比較対照に既婚者4,094名、全体で7,404名のデータを取得し、検討を行ないました。既婚者においては、子どものいない、いわゆるDINKs層(505名)のライフスタイルにも着目し、その価値傾向を分析しました。
この記事でのキーワードとして用いている「おひとりさま」とは、未婚であることを揶揄することばではありません。なかには、主体的に結婚をしない人生を選び取った人たちも、将来は結婚することを希望しながら今はまだその時とはしていない人、そして離婚を経験した人などさまざまです。ここに何らかの偏見を入れることは適切ではありませんので、以上を仕分けしてみながら、その特徴をデータによって探っていきましょう。
収入はカテゴリーで尋ねていますが、男性の平均はおよそ500万円台、女性の平均は300万円以下程度でした。全体として有職者は79%です。結婚歴のない独身者の男性では平均300万円弱、女性は250万円弱となっています。全体での男女差の方が大きく、独身者の間では男女差は縮まっています。年代は、20代から50代まで含んでいます。
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月あたりの可処分所得は、いずれの層においても2~3万円に最もボリュームがありますが、DINKsでは3千円未満が他の層よりも低く、4~7万円のところでやや高くなっています。
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また、可処分所得の使い道については、いずれの層においても「グルメ・食品」がトップですが、DINKsでは特に高く、他にも「旅行・レジャー」や「貯蓄・投資」が他の層よりも高くなっています。一方、おひとりさまでは他の層よりも「ゲーム・ギャンブル」が高く、「美容・ファッション・おしゃれ」が低くなっています。
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未婚者において「結婚したい」気持ちと収入との関係を見ますと、収入の低い方が結婚したい気持ちが強いという関係が見られ、収入の高い方では、結婚した者はすでに結婚してしまっているか、結婚というライフスタイルにこだわらない人たちが独身でいるという傾向が顕著に見られました。厳密に言えば、結婚という制度に則っていなくて、パートナーと同居しているけれども未婚というケースもあることには注意が必要です。
結婚(再婚)したい理由としては、「安心できる家庭を築きたいから」(39%)がトップで、「パートナーとずっと一緒にいたいから」(37%)が続きます。30代女性では「子どもがほしいから」が33%、40代女性では「経済的に安定するから」が31%という回答が最も多いものでした。
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一方、結婚(再婚)したくない理由としては、「自由や気楽さを失いたくないから」(34%)がトップで、「人間関係が煩わしくなるから」(33%)が続きます。
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現在子どもがいない人の「将来子どもを持ちたいと思うか」に対する回答では、『そう思う・計』が34%、『そう思わない・計』が66%となり、いかにも少子化に至る現況を反映し、子どもを積極的に持とうという考えが減退していることが見て取れます。
子どもをもちたい理由としては、「生きがいの一つになるから」(37%)がトップで、「好きな人の子どもを持ちたいから」(32%)が続きました。なお、30代女性では「好きな人の子どもを持ちたいから」が45%でした。
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一方、子どもをもちたいと思わない理由としては、「適齢ではないから・体調面で難しいから」がトップで、「元々ほしいと思わないから」が続きます。40- 50代女性では「適齢ではないから・体調面で難しいから」が53%、DINKs層でも52%と高い傾向がありました。
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さて、心理学の観点からの調査と考えると、それぞれのライフスタイルのなかで、どれくらい満足感を感じているのかが気になるところです。そこで、満足感に関係する要因をつかむために、重回帰分析という多変量解析を行ってみました。要因の候補としては、自分の人生のなかで何に重点を置くかという価値観などです。シュプランガーの価値意識を参考にしつつ、筆者達の近年の伝統的価値観についての研究成果も繰り入れてみました。
そうすると、全体として、おひとりさまよりも、DINKsの方が満足感の高い傾向がありましたが、その満足感と特に関係があったのは、「やりたいことにエネルギーをかけたい」という志向性でした。金銭的に豊かになることを目指すよりも、周りと仲良く生活すること、周囲と調和し、周りに合わせて生きることなどが満足感を高める作用をしていました。
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満足をしている領域は、人間関係、趣味・自由時間、住まい・環境の3つで、特にDINKsの方達は、パートナーとの人間関係が高いものとなっていました。人間関係のよさは生活満足感の中心を占めているようです。その上、生きがいを感じられる何らかのやりたいことに傾注できるのが一番のようです。
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さらに、「結婚したい」という気持ちが、どういう風に湧き上がってくるかの手がかりをつかむために、どういった要素が深く関わっているのかを調べました。その結果、「周囲を気にする気持ち」が関連することがわかりました。周囲を気にする気持ちが、結婚を志向するという「常識的な」、世間に対して無難な生き方を選ばせる要素となっていることが窺えます。結婚を志向している人たちの方が、価値観として、周囲の人と対立することを好まず、合わせる傾向があることも見出されました。結婚したいおひとりさま層では、特にこうした保守的な考え方が目立つような結果が見られました。
この対照にあるのがDINKs層でとりわけ、そのなかで将来、子どもを持つつもりがないという「確信的DINKs」では、全般により保守的でない考え方をとっていることがわかります。金銭や名誉など通俗的な目標には気持ちを入れ込まずに、やりたいことに傾注したいという気持ちがより強く、評価懸念や周囲との対立を避けようという傾向についても、薄くなっています。独自の新しい価値観の牽引層とも言えるかもしれません。おひとりさまでは、結婚を志向するか、そうでないかによって価値態度は異なり、さらに詳細な調査が有効な情報をもたらすに違いありません。
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