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AFF2e ADVENTURE CREATION SYSTEM で遊んでみた(準備編)
リリース直後の紹介記事を書きましたが、理解を深めるには実際に遊んでみるのが一番。さっそくサンプルミッションで遊んでみることにします。
※ 紹介記事はこちら👇
本書(Adventure Creation System)には基本ルールのみで作成しただけのサンプルキャラクターがいますので、そのうちの一人を使わせてもらうことにします。
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どこかでみかけたようなきがしますね。
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完全に物理系で、まじないも使えないのがちょっと寂しいところ。
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キャラクター紹介によると、グルーダー君は酒好きの力自慢で、おそらくオーガーの血が入っている。常に一番を目指す彼ですが、意外なことに「死ぬのは英雄らしくない」という信念があり、スタミナが4以下になるとあっさり戦闘を離脱するのだとか。ヒーローとしては癖がありますが、強いのでなんとかなるでしょう。7gp所持としておきます。
グルーダー君の生い立ち
さっそくシステムを使っていきます。
システムの『7):政治・宗教・社会的要因』の後半「7.4 Hero Backgrounds:AFF Lifepaths/ヒーローの経歴」というオプションルールでヒーローに経歴を追加することができます。
この章は基本的にはフレーバーですが、特性が追加されたり、ストーリー上の強い動機付けや個性付けに貢献しますので、特にソロジャーナリングなどナラティブ寄りな遊び方をする場合にはおすすめのオプションになります。
多数の表や提案が存在しますが、いくつか目についた項目を設定してみます。いずれも表からランダムに決定しました。
・Birth Month/誕生月
「7月:Fire/火。グランタンカの光輝。暑さに強く寒さに弱い。
火ダメージ -1,冷気ダメージ +1」
寒がり。引退後は鍛冶屋になるとよさそうですね。
・Unusual Life Experience/(子供時代の)特異な人生経験
「子供時代に両親に連れられ巡礼した際、聖地で祝福を得た。
呪いに耐性をもち、呪いの対象になることもない」
意外にも聖人ぽい。
・Sworn Enemy/宿敵
「オーク&ゴブリン」
家族でも殺されたんでしょうか。
これだけでも、想像を膨らませることができますね。
例えばこんな感じの生い立ちになるでしょうか。
グルーダーはオーガーの血を引くその風貌で恐れられたし、実際、力自慢の場ではその才能をいかんなく発揮した。
酒好きで粗野な男だが、幼少期には義両親にこれ以上ないほど愛されて育ち、聖地での奇跡を目の当たりにして「お前は祝福された特別な存在だ。だからこそ、自分の命を決して粗末にしてはならない」と諭された。
呪われた出自のグルーダーにとってその言葉と義両親の存在はなによりの支えとなった。
その義両親は、放浪の旅のある豪雨の夜、オークとゴブリンの襲撃を受け、文字通り自らの命を捨ててグルーダーを守り抜いた。
オークとゴブリンの存在そのものを心から憎んだ彼の復讐は決して終わりそうにないが、もし決着をつけられたとしたら、肌寒い北方を離れて暖かい南方で鍛冶屋を営むというささやかな夢を叶えることになるだろう。
悪役、そして冒険
ヒーローの準備は整いましたので冒険の詳細をみていきましょう。今回はサンプルの悪役とミッションを使うことにします。
Table 10.1 Starting Events/発端で事件のきっかけとなるカテゴリを調べます。
1d6 ⇒ 出目は6。
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それは直接的な目的か、それとも邪な計画のカモフラージュか。」
イベントとして記載されているテキストは、
そのカテゴリの発端をイメージした例で、
これからプレイするミッションとは必ずしも関連はないようですが
念頭にはおいておくことにします。
特に大事なのは右側に記載されるカテゴリ。
この発端の場合、2度目の1d6⇒1 でミッションと悪役のカテゴリが
『Lust for Power/力の渇望』に決定しました。
続いて『Table 10.2 Combined Mission & Villain by domain/カテゴリによるミッションと悪役の関連付け』表を使い具体的なミッションと悪役を決定します。
『力の渇望』カテゴリの中からミッションと悪役をランダムに決定します。
ミッション:1d6⇒5 Shadow War/影の戦い
悪役:1d6⇒3 Warlord/ウォーロード(将軍)
悪役にもヒーローと同様の手順で背景を作ることができます。悪役をただの悪とせず人間らしく描いた物語は観客の心を揺さぶるとしたものですが、今回は残念ながら省略。
他にも採用できるオプション類(『8)噂とイベント』を発生させたり、『11)冒険者ギルド』のクエストを受けるなど)はありますが、今回は割愛してシンプルにこのミッションをすすめてみることにします。
まずはミッションのさわり部分に目を通してみます。
多くのサンプルミッションは舞台として都市・野外・ダンジョンを選択できますが、このミッション『影の戦い』の舞台は都市限定のようです。
概要としてこの都市では現在、貴族同士がひそかに衝突しあっており、決闘や暴力によって幾人もの貴族が殺害され召使や家族をも巻き込む血で血を洗う闘争になっているようです。この事件を調査し、不毛な戦いに終止符を打つのが目的。
一方、悪役『ウォーロード』の項を読むと、オークの頭目Grark Gutburster/はらわたぶち撒けのグラークとのことでした。大きな猟犬 "アックスマウス(斧の口)" を従えています。グルーダー君にとってはうってつけの悪役と言えます。この時点ではミッションの貴族闘争との関係性はわかりませんが。
冒険の舞台
最低限の背景はわかりましたので舞台となる都市を作成します。何人もの貴族が死亡している事件ですから大きな町の方が自然ではありますが、今回は手早く準備できそうな規模の小さな村を想定します。
都市生成に関する表類は、ヒーローの背景同様、フレーバー的な意味合いが強いですが、深追いしない程度にいくつか活用してみます。
まずはタイタン上の位置を任意に決定します。
グルーダー君は「南方に移住したい」と思っているくらいですから北よりがよいでしょう。村の名はサマイとします。「寒い」をもじっただけです。
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次に、Table 4.1.1 Settlement Origins/都市の起源 でサマイの村がどの種族によって起こされたか決めます。1d6ロールは3。人間によって作られた村と決まりました。
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一般的な起源なので特色は出にくい。
地形によって木・石など建物の材質がかわることが説明されています。
氷指山脈の裾野ですので、山間部の鉱物資源も使えそうですから
石造り中心の村と考えました。
次に、Table 4.1.2 Reason for Settlement Placement/立地の理由で、この場所にサマイの村が作られた理由を調べます。ロールは3。
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水資源を求めた人間によって作られた村なのでしょう。
コク川の上流から分岐した大きな湖の河口に位置しているという設定にします。
Table 4.1.3 Current Occupation/現在の支配層 も振ってみます。
2d6で5。起源を元に調べると現在の支配層も人間でした。
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それだけでもドラマになりそうです。
各種都市関連のロールは平凡な結果になりましたが、それもまた個性と思ってよしとしましょう。7)政治・宗教・社会的要因でもっと肉付けもできますが、今回はこのぐらいにしてマップ生成にすすみます。
Adventure Creation Systemの強みのひとつは「各表を使っても使わなくてもよい」というところです。各表は関係が "疎" (独立している)なので「○○表を振っておかないと△△表は使えない、××表を使用しておかないとプレイすることができない」というようなことが基本的に発生しません。使用者は都度、各表を好みで気軽に取捨選択しながら遊ぶことができます。舞台となるマップさえ生成すれば、悪役やミッションすら使わずにプレイすることもできます。
サマイ村のマップ生成
生成法はいくつかの提案がありますが、今回はもちろんダイスドロップ式でいきます。Table 4.1.4 Map Creation Summary using the ‘dice drop’ method/ダイスドロップ式マップ生成サマリを見ながら順に処理すれば生成できます。
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起源などの表が役にたつだろう。
ステップ2:紙、ペン、ダイスを用意する・・・
という具合に生成の手順があり便利。
便宜上、ここでは基本ルールブック記載のダンジョンマップ生成時に使用されていたドロップ後の画像を横倒しにして使わせてもらうことにします。
マップ生成は大雑把に言えば、
1.ダイスを撒いて施設の配置を決める。
2.決まった配置に施設を割り当てる。
3.施設を区切って整形する。
という3ステップで完了します。
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「ダイスを落として一個づつマークしていく」としているため
「撒く」といっても実際には多数のダイスが必要なわけではない。
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厳密に作法が決まっているわけではないが、
配置されたダイスの目から施設のカテゴリが特定できるので
1)必須施設を対象カテゴリから任意に割り当てる。
2)必須以外の施設を対象カテゴリからランダムに割り当てる。
必須施設が足りなかったり、施設を増やしたければ
任意もしくはダイスを振って追加する。
(ここではメイン通りと寺院(いずれも必須)を任意の場所に追加した)
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川や港などを任意に追加し、
施設の大きさを意識して各施設を境界線で区切る。
境界線で隣接している施設間は移動が可能だが、
橋のない川や穴などで区切った施設間は移動できない。
これでサマイ村のマップも完成したので、いよいよ冒険を開始します。
後編(冒険編)に続きます。