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ソード・ワールド (初代)と2.5の違いを比較してみた。

初代のソード・ワールド2.5とはどんな違いがあるのか。
初代は少し遊んだ経験もあるのですが、2.5は1回あるかないかぐらい。
あまり些末なところは置いておいて大きな違いを比較してみました。
画像は各種ルールブック類から。囲みは個人の感想です。

現在入手しやすい以下2種を主に比較しています。
[復刻版]ソード・ワールドRPG 完全版  [無印]と表記
・ソード・ワールド2.5 ルールブックⅠ 
[2.5]と表記
[2.5]ルールブックⅡ、Ⅲは主にオプションルールとなるため、いまのところ割愛していますが今後加えていくかもしれません。

世界観

[無印]

南の方に呪われていそうな島があります。
おそらく南西の大きな島は永久に前人未踏。

フォーセリア/アレクラスト大陸ほか。
剣と魔法と神々の比較的オーソドックスなファンタジー世界。
ゴブリン、スケルトンといったおなじみのモンスター。

魔法体系は神聖魔法精霊魔法古代語魔法、そして呪歌

プレイヤーが選択できる種族は
人間ドワーフエルフハーフエルフグラスランナー
グラスランナーは草原にゆかりのある小人族で、魔法が使えない。

通貨はガメル

[2.5]

2.5ルルブⅢよりアルフレイム大陸

ラクシア/アルフレイム大陸ほか
300年前の世界規模の蛮族(ゴブリンなど)の侵攻<大破局>によって、大きく文明が後退。剣に関わりの深い背景をもつ世界観。また、マナを動力源とした銃器が存在します。

蛮族に属するゴブリンや、スケルトンなどのおなじみモンスターに加えて、
魔動機と呼ばれる過去文明の遺産(ロボットのようなもの)が登場。魔動機は街中でもみかけることがある。

魔法体系は真語魔法操霊魔法神聖魔法魔動機術
真語は直接的、操霊は間接的、神聖は回復や対抗、魔動機術は道具生成や効果付与というような棲み分け。

プレイヤーが選択できる主だった種族は
人間エルフドワーフタビットルーンフォークナイトメアリカント
タビットは魔法や知識に才能のある直立ウサギ
ルーンフォークは肉体的な活動を得意とする人造人間
ナイトメアは魔法戦士の適正が高く、"穢れ"とよばれる角や痣をもつ一般種族の突然変異体。
リカントは知覚や運動能力にすぐれ、頭部を肉食獣に変化させることのできる人間型。
※[2.5]ルールブックⅡ以降でグラスランナーなどが追加される。

通貨はやはりガメル

[2.5]は剣や魔法もありつつ、ルーンフォーク魔動機銃器の存在が、古典的なファンタジー世界とひと味違うようですね。

タビッt・・・
これじゃないな

システム

[無印][2.5]共通点

呼称や細かな点では異なるものの以下は概ね共通。
・能力値の決定
・能力値の種類(器用・敏捷・筋力・生命力・精神力・知力)
経験値を消費し技能(ファイター、プリースト、セージなど)を取得
目標値 VS <技能レベル+能力値ボーナス+2d6> で行為判定
・武器によって異なるダメージ表でダメージを決定
・武器などの装備に必要な筋力が定められている

能力値決定における、副能力値の合成(A+B=器用、B+C=敏捷・・・[無印]
/技体心+・・・[2.5])というメカニクスに当時は驚きました。
「機敏な人は同時に器用かも。腕力のあるひとは健康的なことが多い気がする。精神が強い人は生命力もあるかも。でも個人差もあるよね・・・?」
という誰しもが直感的に連想するであろう能力的な傾向と個人差を表現した見事なデザインです。「やられた!」と思いました。誰に何をやられたのか謎ですが。

[無印][2.5]相違点

◆戦闘時の行動順◆
[無印]
より高い知力のキャラクターがいるグループが後から行動発表し、敏捷度の高いキャラクターから順に実行する。

[2.5]
先制判定により決定した先行グループの任意のキャラクターから順次行動する。

[無印]は合理性のあるいいルールだなあと思うのですが、テンポよく正しい運用をするには少し大変だったのでしょうね。うっかり「より知力の低いキャラクターがいるグループが先に・・・」なんて説明すると誤った運用になる上に、気分まで悪いというのが面白いですね笑
[2.5]ではより簡便に徹したということでしょう。

◆武器関連ルール◆
[無印]
武器の必要筋力そのまま武器の基本ダメージとして反映されるシンプルなルール。
クリティカル値(打撃ロールの出目がこの値以上の場合にクリティカル)は10固定 ※(シーフは必要筋力に制限があるもののクリティカル値は9)。

[2.5]
武器種別ごと
命中修正威力修正クリティカル値があり武器の個性が表現されている。

※[無印]選択ルール武器表の採用によりこの相違点は概ね解消される。
 このオプションルールの考え方とデータが[2.5]に反映されている。

◆防具関連ルール◆
[無印]
キャラクターは攻撃された際、防具に設定された防御点をキーに防御ロールの結果を被ダメージから減算する。

[2.5]
キャラクターは攻撃された際、防具に設定された防護点を被ダメージから減算する。

◆技能◆
[無印]よりも[2.5]は若干細分化。世界観の影響が感じられます。
[2.5]ルールブックⅡではバードなどが追加されるなど共通点も少なくない。

[無印]ファイターが各武器攻撃の共通技能で、レンジャーは飛び道具が得意といった大枠の分類だったのに対し、[2.5]ではフェンサーやシューターなど武器の性質によって技能を分化させたことを高く評価する方が多いようです。やはり「虫がきらいだから野外活動は嫌だけど銃は得意なんだよね」とか「ぶん殴るのは俺にまかせろ。飛行機だけは勘弁な」などキャラクターの個性をより強調できるようになったのがポイントが高いところでしょうか。

◆能力値の成長◆
[無印]
経験点を消費
し、任意の能力を上昇させることができる。

[2.5]セッションごとにランダムに決定した二つの能力のうち、選択した
いずれかひとつの能力が1上昇する。また関連技能レベルの上昇によりHP・MPもそれぞれ上昇する。

◆精神力/MPの消費◆
[無印]
使用する魔法の基本消費精神力÷その魔法系の技能レベル
[2.5]
使用する魔法の消費MP

[無印]は魔法技能レベルがあがるたびに急激に消費が減っていくことになり、比較的短期間で湯水のように使えてしまうのかなとか。計算もひと手間でしょうか。

◆剣のかけらと名誉点◆
[無印]
なし
[2.5]剣のかけら
とよばれる特殊なアイテムの取引により名誉点を獲得することができ、冒険者ギルドで名誉点を消費することで冒険者ランクを上昇させることができる。冒険者ランクにより特典が発生する。

◆戦闘中の距離の概念◆
[無印]
具体的な移動距離や射程距離を使用する。
[2.5]距離の概念をエリアという単位で大幅に抽象化している。
※[2.5]ルールブックⅡの上級戦闘では相対的な距離を使用する。

システムの方向性にもよりますが、距離の管理は煩雑になりやすいわりに面白さへの貢献度が低くなりがちですから、抽象化は個人的にいいねボタンを押したいところです。

◆戦闘オプション◆
[無印]初期段階から通常の攻撃以外に「なぎ払い(範囲攻撃)」「強打」などが使用できる。
[2.5]「薙ぎ払い」「全力攻撃」などを指定した上で順次習得する(選択習得)

一見、大きな違いにみえませんが、[無印]の場合、戦闘オプションの多くは最初から使えることになります。結果、"知らないと損をする"ことになる(組み合わせができるものもある)ため、結構な数のオプションを可能な限り覚える(諦める)必要がありますが、[2.5]では選択習得となったため選んだものだけ覚えておけばよいことになり、特に初心者の学習負荷に大きな差がでます。冒険者レベル上昇にともない徐々に増えるので、ルールへ慣れていく過程で徐々に戦略も増えていくことになります。意気な配慮ですね。

総括

SWのルールは[無印]から洗練されており、プレイアビリティも高い優秀なシステムのイメージを持っていましたが、[2.5]もルール共通点が多く、より遊びやすさも向上しているよう見受けられます。[無印]を知っている方が[2.5]に移行するのはそれほど大きな負荷はないように思います。

違いとしては世界観が特に大きく、[無印]がオーソドックスなファンタジーでオリジナルの世界設定などにも応用しやすかったのに対し、[2.5]は世界観が独特でルールとやや密接な印象を持ちました。この[2.5]世界が好きかどうかが移行の大きなポイントになると思います。

個人的には世界観やデータは[無印]、おおよそのルールは[2.5]で美味しいとこどりソード・ワールド[1.25]ぐらいの遊び方をしてみたいですね。

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