Ingress グリフ語講座 読解編
Ingress Advent Calendar 2015/12/10
#ingadv2015 #ingress #イングレス
※この記事はIngress Advent Calendar 2015の10日目の記事です。
http://www.adventar.org/calendars/851
【書き手紹介】
Ingressを始めて一年と少しのENL AGである GreyWagtail(ENL)です。一年かけてL14のゆるふわです。キーロッカー5つ分を別にしても、インベントリで一番多いのが常にポータルキーです。メダルアートではないシリーズミッションをよく作っています。ブロガーとかではないのに今回の企画に紛れ込んでしまって申し訳ありません。長文しか書けませんのでご了承ください。
【グリフ語】
グリフハック。それは人によって「やらないと決めていること」であったり、「パンツ」や「江頭2:50」が出てきたり、場合によっては百人一首であったりもする。最大5つの記号が表示され、それを覚えて制限時間内に間違いなく入力するミニゲーム――確かにそれがグリフハックだ。
私は個人的に、正式な意味を和訳した上で「グリフ文(センテンス)」あるいは「グリフ句(フレーズ)」として覚えているのだが、そういう人はかなり少数派であるように思う。短期記憶決戦派、あだ名派、決まり字派、Glyph Predictor派等々がある中で、グリフを正式な英訳またはその和訳で覚えようという人は少数派であり、さらにグリフ文全体のメッセージに目を向けている人は、残念ながらごく少数に限られるように思われる。少なくとも、それを体系的にまとめ、分析したものは寡聞にして知らない。
グリフセンテンスの一覧表ならある。単独のグリフを訳したものもある。だが、グリフメッセージとはそもそも何か。ポータルを通じて伝えられる何者かのメッセージだ。シェイパー方もしくはADAがグリフを通じて我々エージェントに伝えたいメッセージなのだ。その文意に意識を向けることは、おそらくIngressの世界観の理解をさらに深めることになるだろう。
実際にポータルから40m以内の場所に立ち、定められた時間内にグリフハックを行うとき、それはゲームとしてのテクニックを駆使すべきときだ。だが、余裕があるときには、「文」としての意味に耳を傾けてみてはどうだろうか。
このグリフ語講座読解編は、そんな「ポータルのメッセージ」を読み解こうという試み(の序章)である。
※「決まり字」については下記の記事を参照。
- グリフハックと百人一首。グリフコンプリートのコツ。 | charingress.tokyo
- イングレスのグリフハック「決まり字」をさらに考えてみた。 #ingadv2015 | charingress.tokyo
【最新のメッセージはADAの勝利宣言?】
最近、いくつかの新グリフがスキャナー上に表示されるようになった。まずはそのメッセージを読んでみよう。
https://plus.google.com/u/0/+NianticProject/posts/LSnjYR3YKCW
あだ名派の人は「火ばさみ」や「ナルト」を思い浮かべるところだろうが、英文をまず素直に訳してみる。だが、個別のグリフを英語→日本語に置き換えるのではなく、あくまでも文として認識してみよう。一番上の「文」または「メッセージ」――Technology Intelligence See All――を、「技術」「知性」「見る」「すべて」とぶつ切れの4つの「単語」として認識するのではなく、文とするならば、“技術による知性はすべてを見る”となる。
もう一歩進んで解釈すれば、「人工知能はすべてを見通す」と訳せよう。つまり、ADAは全知であるというのである。続けて「人工知能は無限に成長する」「作ろう、新しい未来」「人はすべてのものから逃げている(※すべての人が逃げる、とは読めない)」「無限に見通す」と解釈できる。
つまり、これはADAがすべてを支配するという勝利宣言と読めるのである。
【漢字の国の人だから】
このような「図形群をまとめて句・文として認識する」という認識方法は、少なくとも漢字圏の人間なら日常的にやっているはずである。そう、漢字もグリフも同じだ。
グリフ文が最も近い言語は、実は中国語である。
グリフ文はSVO言語、すなわち主語→述語動詞→目的語の順に並んでいるようである。これは英語や中国語と同じだが、SOV言語(主語→目的語→述語動詞の順)の日本語とは違う。また、形容語→被形容語の順に並んでおり、この点では英語・日本語・中国語と同じだが、後ろから形容するフランス語やベトナム語とは異なる。そして、グリフ文は活用しない。テンスやアスペクトやモダリティによって語形が変わることはない。しかも、グリフは表意文字であり、表音文字ではない。このような特徴を総合すれば、中国語に最も近いといえる。
ところで、日本人はかつて中国語を「漢文」として、日本語読みする方法を生み出した。「創造新未来」であれば「新しき未来を創造す」とひっくり返して読むわけである。しかし、グリフハック時に下手に語順を入れ替えるとミスのもとだ。できるだけ語順は変えずに、意味を理解するようにしたい。
そこで、私は「倒置・標語方式」と「連体修飾方式」を採用している。「攻撃しよう、レジスタンス! 追従しよう、エンライテンド!」というように、選挙スローガンっぽく訳すのが「倒置・標語方式」。文ではなく、「人工知能が見通すすべて」というように名詞にかかる句のように仕立てるのが「連体修飾方式」である。
新しいグリフパターンを原文の語順通りに、しかも意味をとって示すなら、「人工知能は成長する、無限に」「人工知能は見る、すべてを無限に」「成長しよう無限に、作ろう新しい未来」「人の知性は無限」と訳せる。
このように「文」で覚えるならば、途中の一文字を見落としてもおおむね正解できる。場合によっては、最初の一文字を見落としても記憶から補充できてしまうのである。
【グリフのメッセージ】
グリフのメッセージは、ENL寄りのもの、RES寄りのもの、中立のもの、その他がある。
一番脱力感が強いのは、「単純な真実(Simple Truth)」シリーズだろう。私の頭の中では、COW COWの「当たり前体操」がBGMである。「Simple Truth」ときたら、4文字なら「息するのが自然」、5文字なら「シェイパー方が破壊しようとする文明」である(いわゆる決まり字パターン)。息するのが自然とか、当たり前だ。もう一つ、「単純な昔からの真実、旅せよ内面を」というのもある。
シンプルは「単純」と訳すと当てはまりやすい。「単純な文明は不純で弱い」「単純なメッセージに複雑な考えがある」「逃れよう、単純な人の未来から」といった文に使われている。
ポータルについてもいろいろな文がある。ポータル擁護型として5文字文では「ポータルが強化する人の未来の文明」「ポータルがバリアし守る、人とシェイパー方」「ポータルの可能性、助ける人の未来」がある。一方、4文字文の中でも「従え、シェイパー方のポータルのメッセージ」「探そうXM、救おうポータル」「ポータルが有する真実のデータ」「ポータルの可能性、変わる未来」「ポータル死して文明も死す」「ポータルが変える文明の結末」などは肯定的だが、「シェイパー方のポータルは意識を縛る」「混沌がバリアとなっているシェイパー方のポータル」などポータルに否定的なものもある。
「助けようエンライテンド、つかもうすべてのポータルを」「助けようレジスタンス、つかもうすべてのポータルを」という相対するものもある。
「守ろう人の文明を(Defend Human Civilization)」から始まる5グリフ文には4種類ある(決まり字的には面倒なタイプだ)。これに続く2文字の解釈は悩ましいが、「シェイパー方の嘘」というパターンがあるので、「○○から人の文明を守ろう」という意味で解釈するのがよさそうに思われる。「XMのメッセージ」「ポータルのデータ」「シェイパー方のポータル」から人の文明を守ろう、と呼びかけられているのである。
「先進的文明が追従するシェイパー方の道」「先進的文明が繰り返す失敗」と二つ並べると、これもシェイパー方に対して否定的なように思われる。
「過去の道が作る未来の旅」は「温故知新」みたいな感じである。逆に「過去繰り返したことは今も繰り返す」というのもある。「過去の混沌が作る未来の調和」はかなり深い気がする。
線が長いグリフは長い訳語を当てはめるのも、リズム的によいのではないだろうか。私は、Contemplateを「よく考えよう」としている。「よく考えよう、未来は決してシェイパー方の道にあらず」「よく考えよう、複雑なシェイパー方の嘘」「よく考えよう、複雑なシェイパー方の文明」「よく考えよう、自分とシェイパー方の真実」「よく考えよう、自分の道が正しいか」。ただし、「よく考えよう、お金は大事だよ」というグリフ文はない。
「パンツ」扱いされがちな「肉体」だが、「変える肉体、強化される人間」なんてのは「擬体で強化人間」すなわち草薙素子みたいなイメージもある。「強化される肉体、追従する旅」「強化される肉体・意識・魂」「すべての混沌は肉体内に」「分けよう意識と肉体、見つけよう覚醒」「逃れよう肉体、旅しよう外を今すぐ」「逃れよう肉体・意識・自己の欲望」などと、これもまた深い意味合いがある。
このようにして全グリフ文を分析すると、なかなか深いストーリーが浮かび上がってくる。紙幅の都合もあり、またこんなことに興味がある人がどれだけいるかわからないので、今回はこのあたりにとどめておくが、もしそれなりに興味を持たれるようであれば、さらに広範かつ徹底的な調査をまとめてみたいとも思う。
【最後に】
私が一番好きなグリフ文はこれである。
「作ろう、遠くて不純な道を」。これを私は「作ろうクソリンク」と勝手に訳してほくそ笑んでいる。
なお、グリフに関しては、「Real Glyph Hack」シリーズミッションをいくつか公開している。これは、実際にグリフの形に町を歩くことによって、その場所にそのグリフのデータを刻み込もうという、陰陽道の「反閇(へんばい)」的な呪法を込めたものである。評価は低いが、興味を持たれた方はぜひやってみていただきたい。
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Ingress Advent Calendar 2015 、次はponkotuyさんの「横須賀Ingressのススメ」です。
ちなみに私は今までに3回横須賀へ行きました。一回目は、横須賀公式ミッション×6+さくらまつりミッション×1。二回目は横須賀偉人ミッション12個を一日で。三回目は横須賀ミッションデーに全24ミッション中の18ミッション完了。やってないミッションがまだまだ残っています。
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