やりたいことを信頼し、まかせることで「いい出会い」に育てていく。おいでん・さんそんの「いかしあう採用」とは?
こんにちは!グリーンズ求人のみやまです。
グリーンズ求人は「いかしあう働き方」を増やすべく活動しています。「いかしあう働き方」とは「自分」「人と人」「地球」、この3つのつながりを大切に働くこと(詳しくはこちら)。
「いかしあう働き方」を増やすために、入り口として個人と企業や自治体の「いい出会い」が増えなければなりません。グリーンズ求人では「求人記事」という形で、そんないい出会いを応援することに挑戦しています。
しかし、どうやったら「いい出会い」は生まれるのだろうか?そもそも「いい出会い」とは何なのか……?
探究すべき問いは尽きません。
そこで、グリーンズ求人を通して採用が実現した企業と、仲間となった方へのインタビュー企画がスタート!
その名も「いかしあう採用ってなんだろう?」
第二回のお相手は、「一般社団法人おいでん・さんそん」さん。
愛知県豊田市が取り組む「おいでん・さんそんセンター」では、都市と山村の交流をつくりだしています。センターを運営する「一般社団法人おいでん・さんそん」は、 10年を区切りに、2019年にNPO法人「地域の未来・志援センター」からバトンを受け継ぎ、「豊森なりわい塾」の事務局を担当することになり、その担当スタッフの求人をグリーンズを使って行いました。
「豊森なりわい塾」は農山村をフィールドに「あるく、みる、きく」を通して、これからの生き方、働き方、社会のカタチを考えるプログラムです。
(詳しくは過去のグリーンズ 求人の記事をご覧ください)
グリーンズ 求人での記事掲載を通して、いいご縁につながったという「おいでん・さんそん」に、いい出会いを生む秘訣を聞いてみました。
「やりたいこと」と「自分の人生」をつなげたい。
まず、今回(一社)おいでん・さんそんセンターに採用された松本真実さんに、応募のきっかけを伺いました。
松本さんは21年前に結婚を機に豊田市に移住。今から5〜6年前に、広報誌で豊森なりわい塾の存在を知りました。そして、事務局スタッフへ応募を決めた松本さんには、ある思いがありました。
松本さん もともと、豊森なりわい塾に塾生として入塾したかったんです。豊田市の街と田舎が共存する恵まれた環境に身を置いたならば、街中だけじゃなくて山村部も知ってなんぼかなと。私自身が北海道の田舎で育っているので、子供たちにも田舎暮らしの価値を知って欲しいなと思っていて。それで、山村部での活動に参加をするようになりました。
松本さんが山村地域に足を運ぶ中で知り合った人たちのなかには、おいでん・さんそんセンターに関わっている人も多く、SNS等で繋がってその仕事内容などを知るうちに、そこで働きたいと思うようになったそうです。
松本さん そのなかで、おいでん・さんそんセンターに顔見知りが増えて、そこでの仕事内容を聞いて、私にぴったりの仕事だって思ったんです。ただ、その当時おいでん・さんそんの求人がなくて、豊田市にある「交流館」に就職して、求人が出るのを待っていました。
そして、おいでん・さんそんセンターが求人募集をはじめ、応募をするにあたり、松本さんは「自分とつながる」ことを意識していたそうです。
松本さん もし応募して、おいでん・さんそんに採用していただいたら、一年で交流館を辞めることになる。それは、自分を交流館に採用してくれ、お世話になった方々にとても失礼なことなので迷ったのですが、自分の本来やりたいことと自分の人生をつなげたいと、ひしひし感じていた時期だったので、 思い切って応募しました。
松本さん それまでは、自分の環境に合った条件であったり、旬な分野の事業に入って勉強してみたいという基準でキャリアを選び、自分のやりたいことよりも、周囲に求められる役割をこなすタイプだったので、自分の本当にやりたいことに向き合う機会がなかなかありませんでした。だから、 今回は良い巡り合わせがあったんです。
「あなたにとっての幸せとは?」という問い
自分の「やりたいこと」と「自分の人生」をつなげたいという思いから、おいでん・さんそんに応募をした松本さん。
面接時間が予定の30分から2時間に伸びるほど面接官とじっくり話すことができ、「お茶をしているような感覚だった」と、そのときの面接を振り返ります。
松本さん 面接は30分程度です、と言われていたのに、蓋を開けたら2時間くらい話していたんですよね。 私が一方的に喋っているのではなく、面接官の皆さんもたくさん話してくださって。おいでん・さんそんのみなさんと通じるものをとても感じる面接でした。
面接官とつながりを感じながら、時間をかけて行われた面接のなかで松本さんは、涙を流す場面があったそうです。
松本さん 面接で印象に残った質問が、「あなたにとって幸せってどういうものですか?」というものでした。最終的に答えたのは、夜寝るときに「今日はいい日だったなぁ。誰かの役に立って、喜んでもらえたなぁ」ということを実感したときのこと。そのときにはじめて自分の「幸せのかたち」を言語化できたように感じて、思わず涙が出ました。
そして、面接が終わり、採用者を決めるときのことを振り返ってくれたのは、豊森なりわい塾を開講当初から引っ張り、松本さんの面接官を担当した中川恵子さん。
中川さん 応募してくれた人たちの面接を済ませた後、面接官のメンバーたちと意見交換をしたのですが、これからの生き方、働き方、社会のカタチを考える「豊森なりわい塾」の仕事をやりたいという、松本さんの熱意と前向きな姿勢が決め手となりました。
「いい出会い」は育てるもの
じっくりと言葉をかわし、ときには涙を流す場面もあるような面接を行う、おいでん・さんそん。メンバーである木浦幸加さんは、豊田市の山村地域に移住し、移住してまだ間もない頃にも関わらず仕事を任せてもらえた体験に「いい出会い」をつくるヒントがあるのではないかと話します。
木浦さん 私もここに移住してきたとき、先に移住してきた人たちとの関係性のなかで、「少し時間があるならこれをやって」と頼まれ事をしてもらえることがありました。そういう、どんな人か分からなくても信頼してもらえるとか、任せてもらえるということが、いい出会いになっている秘訣だったのかな、と思っています。
そして、その「まかせる」文化は、おいでん・さんそんセンターにもあるのだそう。
木浦さん センター長は、スタッフがやってみたいと言ったことをあんまりジャッジしないんですよね。木浦さんがやってみたいんだったら、よしやってみよう!みたいなタイプの人です。最初の出会い方はともかく、それがいい出会いにだんだんなっていくかどうかって、そういう任せてもらえるとか、信頼してもらえるとかが大事なんじゃないかと思います。
そんな「まかせる」文化のもとで、一人ひとりの「やりたいこと」をベースに組織を運営するポイントについて、これまでの会社、組織での経験から松本さんが話してくれました。
松本さん マネジメントする側の人が『部下の実績は自分の実績』だと思うと、管理しなくちゃいけない部分もあると思うんです。だから、任せるということが本当に難しいんだろうなと思います。おいでん・さんそんセンターでは、任せたら、その結果まで本当に任せてくれる。でも、相談はいつでもウェルカム、という状態が保たれていることを感じますね。
面接をして、採用をされたときに「いい出会い」かどうかが決まるわけではない。そこで働くなかでやりたいことを信頼し、任せてくれるという環境が、最初の出会いを「いい出会い」に育てていく。
おいでん・さんそんさんは「いい出会い」をつくる、「出会いの育て方」を教えてくれました。
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