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【イベントレポ】島だからできる事業がある。私が離島にオフィスをかまえたワケ

2023年3月13日、グリーンズは一般社団法人ツギノバとオンラインイベント「島だからできる事業がある。私が離島にオフィスをかまえたワケ」を開催しました。

この記事では、その内容をすこしだけお届けします!


イベントの背景


近年、「離島」の価値が再認識されています。

独自の文化があること、ゆたかな自然環境の中で暮らせること、都会とは異なる時間の流れに身を浸せること…さまざまな価値について語られてきていますが、今回は「事業をする場所としての離島」に焦点を当てます。

鹿児島県の甑島(こしきじま)を拠点に、日本の離島を面白くする活動に取り組む「東シナ海の小さな島ブランド株式会社」や、島根県海士(あま)町を拠点に人材育成、出版、地域づくりを行う「株式会社風と土と」、北海道にある利尻島と鹿児島の沖永良部島で、離島ならではの地域づくりを行う「一般社団法人ツギノバ」など、「離島だからこそできた」と思えるような事業に取り組む会社があります。

彼ら、彼女らは、離島にどんな可能性を見出したのか。そして、離島ならではの価値を、どのように事業に繋げていったのか。今回は離島で事業に取り組むゲストをお招きし、「離島にオフィスをかまえることの意義」を伺いました。

地域課題に、横串をさす


「一般社団法人ツギノバ」代表理事の大久保昌宏さんは、北海道の利尻島と鹿児島県の沖永良部島でコミュニティスペースを運営しています。特に沖永良部島では、カフェ兼コワーキングスペース「entaku」を設立し、さらにサテライトオフィスもオープンするなど、活動を広げています。(詳しくはこちらの記事で紹介しています)

そんな大久保さんは、「離島にオフィスをかまえることの意義」を次のように語ります。

・地域課題に、横串をさす
大久保さんは、少子高齢化がもたらす問題を解決するためには縦割りで課題に取り組むのではなく、異なるステークホルダー同士が協力し合えるように「横串をさす」ことが大事だと語ります。

そのために大久保さんは、島にコミュニティスペースやサテライトオフィスのような場を作っているそうです。

・島での暮らしの質が向上する
そのような場があることで、島の外から来る人や会社と地元の人の相互作用が生まれ、島の暮らしが魅力的なものになり、さらに島を訪れる人や移住する人が増える…という循環をつくりだすことができるといいます。

関係資本による経営がしやすい


「株式会社風と土と」の代表取締役、阿部裕志さんは、持続可能な社会のモデルを目指す2300人の島・海士町に2008年に移住し、株式会社巡の環(めぐりのわ)を仲間と創業。2018年に「株式会社風と土と」へ社名を変更し、島のビジョン・戦略・プロジェクトを生み出す地域づくり事業や、企業や自治体、大学の研修を島で行う人材育成事業、出版事業に取り組んでいます。

そんな阿部さんは、「離島にオフィスをかまえることの意義」を次のように語ります。

・関係資本による経営がしやすい
毎年2日間あるという「風と土と」の株主総会はとてもユニーク。1日目は海水浴やテントサウナを楽しんだり、海の幸のBBQを味わったりしながら過ごした後、2日目に真剣な会議を行うそう。

そうした島での時間を過ごすことで、株主とも仲良くなり、「島に来るのが楽しみだし、会社の成長も楽しみ」という巻き込み方ができるのだといいます。これを、経済合理性だけでなく「共感」によるつながりを大事にする「関係資本による経営」と阿部さんは呼んでいます。

・豊かな自然資源、文化資源がある
阿部さんによれば、実は国内の世界自然遺産の60%、そして世界文化遺産の22%が離島にあるそう。そうした自然資源、文化資源の豊かさも離島ならではの魅力だといいます。

・社会課題というビジネスチャンスの種がある
離島には多くの課題もありますが、それをネガティブにとらえるのではなく、「ないものはなくていい、人が生きていくために大事なのものは全部ここにある、ないならつくればいい」という発想でいるのだそう。その発想ができれば、社会課題がたくさんある離島はむしろ未来のビジネスチャンスの宝庫でもありそうです。

信用経済で成り立っている


「東シナ海の小さな島ブランド株式会社」代表取締役の山下賢太さんは、地元である鹿児島県甑島を舞台に、懐かしい未来の風景を再構築する「山下商店甑島本店」「FUJIYA HOSTEL」「オソノベーカリー」等、地域固有の建築空間や公共施設等の小さな拠点のリノベーションと集落再生に取り組んできました。

そんな山下さんは、「離島にオフィスをかまえることの意義」を次のように語ります。

・世界観を伝えやすい
離島は海に囲まれているという地理的条件など、制約が多い場所。だからこそものやサービスの背景にあるストーリーが伝えやすいということを山下さんは感じているそうです。

・信用経済で成り立っている
都市部では、どれだけ稼げるのか、それだけ世の中にインパクトを与えるのかといったことが評価基準になりがちですが、離島では「その人が信用できるか」ということが評価基準になることが多いそう。

それは言葉を変えれば、人の顔が見える関係性の中で事業に取り組むことができるということ。だからこそ、誰のためになっているのかが明確で、手触り感がある仕事ができるのは、離島の特徴かもしれません。

まとめ

3人のプレゼン後のトークセッションでは、「島は多様性の本質を備えている」ということなどが語られました。

多様性を尊重することの重要さが社会的にも叫ばれていますが、島では「どんな背景や、障害などがあっても受け入れる」という文化があるそう。というのも、島という閉じられた空間では、もしその人を排除してしまうと、その人は逃げ場がなく、追い詰められてしまうのです。

そのため、どんな人も排除しない文化が離島にはあるそう。「異なる価値観を持つ他者とも、共存していけるように工夫する」という離島の文化から、私たちが学べることは少なくなさそうです。

参加者からは、「離島の様子や生活、仕事などについて、今まで以上にイメージがついた」「一番最初にやるべきは島の人と距離を縮めていくことだな、と思った」など、たくさんの感想をいただきました。

今後もグリーンズジョブではイベントを開催していきますので、興味がある方はぜひご参加ください!

グリーンズジョブは「自分をいかす仕事に出会う」トランジションコミュニティです。持続可能な社会につながる全国の求人情報を紹介したり、人生のうつりかわり期についてともに考えるコミュニティの運営をしながら、自分をいかして働きたいと考える人のトランジションを応援します。


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