途中駅の町
これを書いてる時。
私は通勤途中に通過するとある駅で、電車を待っている。
その先の駅構内で事故が発生し、この朝の通勤ラッシュの時間帯に、電車が止まってしまったのだ。
怠けたい願望の強い私は、不謹慎にも「じゃあ、電車が動き出すまで椅子に座ったまま寝れるね!ラッキー!」なんて、電車内で仮眠をとるつもりだったけど、車内アナウンスを聞いた次の次の駅で、「この電車は回送電車になりますのでお降りください」と来たもんだ!
あぁ、バチが当たった……。
――と、蒸し暑くて人が溢れかえる駅で、人の波をかき分けながら、一旦改札を出よう!と脱出することにした私。
例のウィルスの他にも、様々なものが流行ってる時期に、この間久しぶりに喘息発作を起こした私は、危機感を覚えてとにかく人が少ない場所へと、まだシャッターが閉まっている商店街の方へと逃げた。
無事に駅を離れた私は、商店街へ続く階段を下り、辺りを眺める。
この駅で下車することは今までも何度もあったのに、利用する施設は駅のすぐ横に併設されているデパートだけで、霧がかった高い山や、ロープウェイ乗り場があんなとこにあるなんて、すっかり忘れていた。
この町は、私の住む地域でも人気の町だと聞いていたけど、山が近いせいかまぁ、坂が多い。
もちろん、坂道なんて上らず、平坦な道で時間を潰せる場所を探す。
電車が動けばやっぱり仕事に行かなきゃだし、しんどいことは避けたい(笑)
八百屋と果物屋を発見すると、スーパーで売られているものより安すぎて驚き、小さくて可愛いパン屋さんを発見!
あら、今度休みの日に立ち寄ってみようかな?
なんてことを思いながら、私は何度も首を横に振って、涼める飲食店を探し歩く。
駅前にケンタッキーやモスバーガーがあったけど、残念ながら開店時間はまだまだ先。
個人経営のカフェや喫茶店が無いかなぁ〜と歩き続ければ、あった!
小さな昔ながらの純喫茶‼︎
神様ありがとう‼︎
タバコが苦手なので、禁煙であることも確認してドアを開けると、白髪頭の可愛らしい老夫婦が「はい、いらっしゃい」と迎えてくれた。
窓際に座って、アイスコーヒーを頼むと、それと一緒に不二家のホームパイがひとつついてきた!
まずは汗ばむ体を冷やそうと、アイスコーヒーをひと口。
おいし〜!
豆から引いたやつじゃなくて、紙パックに入ってたやつだったけど、それでも美味しい!
そこに、2枚入りのホームパイをひとかじりすれば、バターの香りが高くて、思わずニコニコしてしまう。
ホームパイ、すごく久しぶりに食べたけど、こんなに美味しかったのかと、なんか感動してしまった。何故だろう?
窓の外では、小雨が降ってきたようで、傘をさす人とささない人が、こちらに向かって歩いてくる姿が見える。
そして、次々入ってくる。
この人達も電車が動き出すまでのオアシスを探しにきたのか…。
喫茶店にいる時間は15分程と短かったけど、日頃朝の時間なんて、仕事に行くか、休みの日は家でゴロゴロしてるかの私にとって、なんだかすごく特別に感じて、心まで潤った気分。
電車再開予定時間までに駅に戻ってみれば、そこから更に30分以上も駅中で待たされちゃったけど、おかげでこうして今の気持ちを文章を綴ることができた。
今度は反対側の道も探検してみようか?
癒しと新しい発見ができた、特別な朝になった。