私と従妹と妹と
私には従兄妹が父方母方、両方を合わせて6人いる。
父方には9歳年上と6歳年上の男の子の兄弟。
それから、7歳離れた女の子。
母方には1個下の女の子と、その弟達である男の子が2人いて、姉である従妹とは6歳、7歳離れている。(つまり、私とは7歳と8歳差)
今日は、その従妹の女の子。ゆゆ(仮名)の話をしたい。
ゆゆは母の弟夫婦の娘。
気が強く、活発な女の子で、あと小学生男子が喜びそうな下ネタとかも大好きで、とにかく元気な子だった。
私とゆゆは年が近く、ゆゆが生まれた当初は家も近かったのでよく遊んでいて、妹が生まれて関西に引っ越した後も、夏休みの時期になると、彼女や両親、祖父母が共に暮らす栃木の家に20日間も滞在していた。
私、ゆゆ、妹。
それぞれ歳の差は1個ずつ。
一緒に遊んでいる時は、年子の姉妹のように遊んで、三人お揃いの服も着て写真を撮ったりもしていた。
幼いゆゆは当時一人っ子歴が長くて、よく言えば自由奔放。
悪く言えばワガママで女王様のようなタイプで、おもちゃの貸し借りができない。
気に入らないことがあれば癇癪を起こし、叩いてくる。
私はひとつお姉さんのはずなのに、気の強いゆゆに負けっぱなしで、叔母に言いつけても、一人娘を溺愛していた叔母はあまり厳しく叱らず、ほとぼり冷めればまたケンカとなるため、やられっぱなしの私を見た母は、「すぐ泣くんじゃなくて倍にしてやりかえせ!」と言い出し、その時の叔母の顔が母は忘れられないという…(笑)
正直私は、あまりゆゆに好かれていないと思っていた。
すぐに意地悪するし、すぐ怒るし。
なのに、お泊りに行くと必ず最初の2~3日は「なっちゃんと一緒に寝る!」と布団を私たちの寝泊まりする部屋に敷いてもらい、遅くまでおしゃべりをしたがるし、お手紙にも「また夏になったらくれば~!」と、遊びたい意思表示をし、不定期だが電話もかけてくる。
そんなことを繰り返しながら、6歳の夏休み。
買い物先で、ゆゆと妹がケンカを始めた。
原因は、私の取り合い。
その数日前から、ゆゆは私を名前呼びだったのに、「ここにいる間だけ、お姉ちゃんって呼んでいい?」と言い出した。
まぁ、いとこの姉ちゃんだしと思い、いいよと返事をしたのだが、それがどうやら私の本当の妹、妹子(ネットで妹を呼ぶときはいつもこう呼んでます)が気に入らなかったらしい。
妹「お姉ちゃんは私だけのお姉ちゃんだもん!取らないで!」
ゆ「妹子はずーっとなっちゃんといられるじゃん!私は夏休みの間しかいられないのに!」
2人とも大泣きしながら、私に聞く。
「なっちゃんはどっちがいい?」
6歳児、究極の選択を迫られる…。
ただ、ゆゆの言い分はもっともで、私が彼女の姉貴分ができるのは20日間だけ。
妹は関西に帰った後はずーっと独り占めなのだ。
私「夏休みの間は、ゆゆのお姉ちゃんでもよくない?」
妹は当然ショックで泣いた(すまねぇ…)
*
それから約一年後。
ゆゆに待望の弟が誕生!
ついにゆゆもお姉ちゃんか…。
次の夏には、お姉ちゃんらしくなったゆゆと可愛い赤ちゃんに会えるのかと楽しみにしていたのだが…。
ゆゆ、6歳下の弟にめっちゃヤキモチやきまくりで、癇癪起こしまくりになっていた。
これまで、お母さんもお父さんも独り占めだったのに、今は赤ちゃんの弟ばかりを優先し、かまってくれなくなったことや、みんなが弟ばかり「可愛い」と言うことが面白くなかったのだろう。
ゆゆは、「弟なんて可愛くない!」「弟なんていらなかった!」「私はお姉ちゃんが欲しかった!」と、親に怒られるたびに泣きだし、私達が関西に帰る頃になると、「弟も連れて行ってよ!私はいらないから!」と言った。
だが、2人目の弟がうまれると、末っ子に対しては「可愛い~!」と甘やかし、最初の弟、タク(仮名)には相変わらずの「お前なんか嫌いだ―!」の対応。
数年後、その時のことをゆゆと話してると
「なんかわからないけどムカついたんだよね~…。カズ(末っ子)にはそんな気持ち湧かなかったのに」
…と、本人も理由がわからない様子。
タクも、大学生になった時に「なんで俺だけ姉ちゃんにイジメられてたのか…」とこぼすと、そのやりとりに言及したのは3姉弟の父…夏穂の叔父だった。
おじ「2番目って言うのは損なんだ。姉ちゃんに親を取られたって思われるからな…。父さんも2番目だし…(ちょいと切ない目)」
おじさん、うちのお母さんにイジメられてたんすね。
*
今年の春。
ゆゆは結婚式を挙げた。
入籍は3年前にすでにしていたが、例のウィルスのせいで延期になり、その間に可愛い娘も出来た。
その結婚式の余興では、お互いが生まれた日から子供が生まれるまでのエピソードが、写真付きムービーで放映されて、ゆゆの紹介の時には私と妹子の写真もあった。
「夏休みは年の近い従姉妹達と毎日遊ぶ。従姉妹達が羨ましくて、自分にもきょうだいが欲しいと思った」
「ゆゆ6歳の時、弟誕生」
「思ってたのと違う!と思いイジメ倒す(きょうだいは一緒に遊べるものだと思ってた)」
こんな感じのテロップが添えられており、式が終わって数日後に電話で「えっ、羨ましかったん!?」と聞けば、「そうだよ~!なっちゃんと妹子が仲良くてずるいって思ってた~!」とゆゆは胸の内を語った。
ゆゆは別の日、こんなことも言っていた。
「私さ~、きょうだいで遊べる友達とか、なっちゃん達見てるとすごく羨ましくてさ~。だってうちは弟達が生まれても、年が離れてるから結局面倒を見るだけで遊べないんだよ?寂しかった。だから娘には、年の近いきょうだい…できれば妹を作ってあげたいんだよね~…」
娘には、自分と同じ寂しい経験をして欲しくないという母の願いを語るゆゆ。
だが、その娘があまり体が丈夫ではなく、すぐに熱を出して保育園を休むことになってしまうため、従妹はもう今月の時点で有休を全て使い果たしてしまいそうだという。
職場でも肩身が狭い。
旦那も学校の教員ということで、仕事を優先しがち。
そこに同じような体質のきょうだいがうまれたら、無理でしょ…と、旦那に言われてしまい、2人目を望めない。
娘は2歳になり、私と妹の関係のようになって欲しいと願っていたゆゆは、「もう今からじゃ3歳差になっちゃう…」と、こぼしていた。
そんなゆゆの言葉や表情がずっと離れずにいたのだが、先週、6歳年下の弟がいる友人と会い、話を聞いてみたところ。
「うちは歳離れてるし性別も違うけど仲良しですよ~!よく二人で出かけるし」
「子供の頃も、仲良かったし」
その話を聞けて、最近はゆゆの娘も案外年の離れた弟か妹とうまくやっていけるのではないかと、思い始めた。
それに、同性で年が近い姉妹や兄弟でも、仲が悪いとこは悪いのだし。
人生いろいろ。
きょうだいもいろいろ。
もし、今度ゆゆとまたこの話題が出れば、友人の話をしてあげようとおもう。