環境リテラシートレーニング
今日はブリティッシュシアターデザイナー協会(SBTD) のカーボンリテラシートレーニングを受講しました。
https://www.theatredesign.org.uk/blog/design-futures-carbon-literacy-training-from-the-sbtd/
カーボンリテラシーとは環境リテラシーとも言い換えられます。リテラシーとはとある分野ついて正しく理解、解釈し、それを自らの力で表現する能力だそうです。(Wikipedia 参照)という事で、環境問題についての広い知識を学び、それをどう自分たちの仕事に取り込めるかを2時間半のオンラインの予習と6時間の授業+ディスカッションで学びました。
参加者は、大学の先生、卒業したばかりの若手デザイナー、劇場関係者、ライティング協会のサスティナブルチームの人、シェイクスピアグローブ座の技術監督、フリーランスのシアターメーカーなど私を合わせて10名でした。
環境については、グリーンハウスガスとは何か、産業革命以降の人類の生活が気候危機を作り出しているというデータ、温暖化が及ぼすありとあらゆる影響などが話されました。また気候変動が演劇の活動に与える影響は何か?というグループディスカッションをしました。
後半はより演劇の実践に寄った内容で、カーボン計算機の説明やリハーサル室でできる様々な環境配慮への工夫などをグループで話し合いました。
また他の人が使ったものを再利用して新しいデザインを作る事を実際に体験するために、紙、爪楊枝、ブルータックを使って1分で作った模型(造形)を次の人が同じ材料を使って作り替えるという簡単な実技のような時間もあり(下の画像がその結果です)私はやはり手を動かして、作ってみた結果から得た経験の方が、言葉や理論で理解するよりも理解を深めらました。こうした作業が加わるのは、デザイナー自らがデザインした講座らしいなと思いました。
このミニWSの後は、これまで主に個人でデザインを行ってきたが、グループでデザインする、もしくはすでにあったデザインを生かしながらも次のデザインに取り入れる事ができないのか?などの議論がありました。講師のポールは、自分がとある作品のためにデザインした古いバーのセットが、全然違う目的(確か映像系)に再利用された事例を説明し、自分もとある資料を参考にして再構築(デザイン)したのだから、そこでデザイナーの権利を大きく主張するのは(再利用させない)違うのでは?と話していて、私も激しく同意したのでした。あるものはみんなで使えばいいじゃん。という価値観です。もちろんケース・バイ・ケースですが、私はとある作品のために作られた空間が舞台美術(装置)であり、要素に分解した時点でそれはもう舞台美術ではないので、(これからの持続可能性を考えると)個々パーツにはデザイナーは権利を主張しない方がいいのでは?と個人としては考えています。
やはり再利用については、舞台美術家の著作権が何を持って発生するのか?をデザイナー間であたらめて再認識する必要があるのでは?と考えています。その議論には、AIを使ったデザインのオートメーションの部分も含める必要があるかもしれませんね。
先ほども少し触れましたが、この講座のメニューの製作や講師は舞台デザイナーや演出家がグループで行っています。マンチェスターから広まったこのカーボンリテラシートレーニングは、市民自らが先生になって、自分の周りの人に環境の事を伝えていこうというポリシーで運営されています。講師は環境の専門家でなくても、環境について人に教えることができる必要な知識と自分の仕事における環境問題の取り組み方を組み合わせて、それぞれのコミュニティで必要なリテラシートレーニングを自ら開発できる人を募っているという仕組みです。ですので、もっと広くフリーランス向け、ボランティア活動のための環境リテラシー講座、医療関係者向けなど色々なパターンがあって、対面やオンラインと受講の仕方も様々です。
2023年9月より、私がこれまでイギリスで受講したいくつかの環境と演劇の講座での学びを活かして、日本で文化芸術関係者向けの環境リテラシー講座をオンラインで開催予定ですので、ご興味持って頂けたらご参加ください。
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