green team が積み重ねてきたもの
株式会社グリーンチーム 代表取締役 月ケ洞です。green team は、「ハイドパーク をつくる」を旗印に2015年3月23日に設立し、今日で8周年を迎えました。
ここまで積み重ねてこれたのは、何者でもない私たちに仕事を任せ、応援してくださった方々のおかげです。ありとあらゆる色んな仕事を経験させていただきました。本当にありがとうございました。今では、やらなくなった仕事もありますが、より私たちが望むコアな方向へ進化しているとご理解ください。これまでを振り返ることでgreen team が何を大事にしているのかをおわかりいただけると思いますので、ご一読いただけましたら幸甚です。
まず、もっとも大事なことを言います。
植栽地をつくる際の草木花は、「何を植えるか」ではなく、デザインを含め、「どう管理するか」が全てです。「管理」では堅いので、もう少しクリエイティブな表現の「導く」の方が良いかもしれません。具体的には、観察して必要な処置のみを施し、必要がなければ、何もせずただ見守ることです。この見守ることが、不思議なことにその場所に生命を吹き込みます。植えて終わりではありません。植えたらその後は、植物と対話しながら、日々編集と更新作業をしていきます。この「植物を管理する人」は本当にすごいです。このプロフェッショナルを仮に「ガーデナー」と呼ぶことにします。
グリーンチーム のビジョンは、「人を幸せにする良い景色をつくる」こと、そしてそれを可能にするために不可欠な「植物を管理する人」であるガーデナーのステータスを上げることです。
プロフェッショナルであるガーデナーだけがつくることのできる「人を幸せにする景色」をつくりたいのです。「中途半端な緑化ならしないほうが良い」と思われる方、緑の仕事をしているが、やりたい仕事ができず楽しくないと思っている方、簡単ではありませんが、ガーデナーの仕事に興味がある方、一緒にそのステータスを高めたいと思う方は、是非ご一報ください。
私たちの仕事は、まず草木花をデザインして植えるところから始まります。繰り返しますが、植えて終わりではありません。また、植えるばかりでもありません。時間が経過し、育ちすぎたり増えすぎたりしたものを切ったり、抜いたりしないといけないこともあります。自然を味方につけるため、日が当たっているかどうか、風が通っているかどうか、水が足りているかどうかを観察することも欠かせません。それこそが、いつ見てもずっと美しくデザインされた植栽地の編集と更新作業です。ただ単に緑があれば良いというのではなく、美しい緑であり続けなければ、草木花を植える仕事もあまり面白くないだろうと思います。美しい緑であり続けるためには、目をかけ手を入れ続けなければならないのです。一流の野球選手やサッカー選手が日々の練習に取り組むのは、野球やサッカーが好きだからです。ガーデナーが日々の植物との対話に取り組むのは、植物が好きだからです。植物の管理は好きな人がやるのが一番です。
そして、グリーンチーム のガーデナーが美しく維持し続ける緑には、常に緑×αが根底にあります。緑×食べ物、緑×音楽、緑×アート、緑×建物、これらの掛け合わせのバランスが良いものでなければ、緑の良さは発揮できません。レストランでは、良い景色を見ながら美味しい料理や美味しいお酒を楽しみます。ハイドパーク では、自然の匂いや空気を感じながら、人気アーティストのコンサートを楽しむことができます。美術鑑賞を楽しんだ後に名庭園の自然に触れて感性を研ぎ澄ませたり、名建築物を草花に触れながらゆったり鑑賞することもできます。そして一流と呼ばれる都市には、ビル群や道路と共存した緑道が必ず存在します。それぞれの場所を緑で輝かせ、人の感情を前向きなものにしたいのです。αの分野で何か一緒にやっていきたいと思われた方も、是非ご一報ください。
これから、green team 8年の歩みを2015年から振り返ります。私たちの本拠地は大阪です。その志は、大阪から世界に向かっています。とても光栄なことに、世界に誇る日本のメインストリート御堂筋と関わることができ、ここから従前の植栽の概念を変える挑戦をスタートすることができました。
2015年〜現在
2015年12月 御堂筋彫刻脇プランター再生
ビルに囲まれた道路である御堂筋に存在していた数少ない緑の場所の価値が損なわれようとしていた時、偶然声がかかりました。御堂筋には、沿道企業等からの寄付により、世界的にも一級品である彫刻を設置しています。御堂筋彫刻ストリート
そのうち6箇所の彫刻の両サイドには、プランター(植木鉢)が設置されており、少しの緑が植えられていました。
「これらの場所を緑だけではなく、花なども植え美しく維持していくことは可能なのでしょうか?」
手入れの行き届いた彫刻両サイドの草花が彫刻を引き立て、「通り」の景色を美しくする様子が目に浮かびました。2015年12月から2016年にかけて既に設置されていた6箇所の再生を一からデザインをやり直し、その後の維持管理を請負いました。プランター(植木鉢)は園芸家の間では、コンテナと呼ばれます、その中に草花をただ植えるだけでなく、組み合わせを考え、配置を考え、庭をデザインしていくのです。このプロジェクトは、『御堂筋コンテナガーデン』と命名され、最初の6箇所の再生が新たに19箇所の増設につながり、25箇所となり7年経過し、現在も脈々と続いています。さらに御堂筋の中央分離帯に設置されていた白いフラワーベースの再整備も任されることになりました。
最初にデザインされていること、その後の編集と更新作業をデザインしていくことが「ずっと美しく維持されているかどうか」これが植栽地の価値だと思います。
2021〜現在
御堂筋コンテナガーデンから平野町街園、OBP Blooming Place、本町街園へ
2021年3月 御堂筋大阪ガスビル前平野町街園再整備
『御堂筋コンテナガーデン』が6箇所から25箇所となり、5年経過した頃、次は、交差点の街角緑地『平野町街園』再整備の話題が持ち上がりました。
そこで再整備のテーマを『100年続く変化し続ける地球環境に適応したサスティナブルな植栽地』としました。その当時もその前も私たちがやっていることは、そういうことです。文化的な背景や気候が欧米と異なることなど様々な原因がありますが宿根草の植栽地は日本には、まだまだ本当に少ないです。言葉で説明するより実際に見て体感してもらうのが一番です。植え付け間もない小さな苗の状態から、立派な景色をつくるまでの変化、季節の変化を体感していただければ、その良さをわかっていただけると思います。『平野町街園』は、現在シーズン3に入りました。春夏秋冬を2回経て、3度目の春を迎えています。この平野町街園ができたことで、その翌年に大阪ビジネスパークの川沿いの植栽地『OBP Blooming Place』、さらにその翌年に御堂筋と中央大通りの交差点の街角緑地『本町街園』へつないでいくことができました。
私たちがやりたいのは、良い景色をつくること、人を幸せにする景色をつくるすることです。いつ見ても「ずっと美しい」宿根草によりデザインされたより自然で健康的なエコロジーガーデンであるgreen teamガーデンは、将来の緑道の在り方を提示したナチュラリスティックやニューペレニアル を超えるosakaガーデンとして世界に発信してゆきます。緑×αとなる場所があれば、全国どこへでも駆けつけます。草花の情報、海外、国内植栽地情報、デザインやメンテナンスの手法などをこのnoteでお伝えしてゆきたいと思います。ご質問、ご要望などをお寄せいただけましたら嬉しいです。
今後ともそれぞれの植栽地が継続し、良い景色になっていくこと、質の良い緑の場所が増えていくことへのお力添えをよろしくお願い致します。
2023年3月23日 月ケ洞 利彦