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赤松真人選手引退セレモニー
かつてここまで人の心を打つスピーチを聞いたことがあっただろうか。
赤松真人選手から澄んだ声で淀みなく率直な思いが語られていく。その言葉の重みに、自然と涙が流れ落ちる。
自分が経験したことのないことについて、泣いたり共感したりすることは許されざることなのではないかとすら思ってきた。しかし、経験したこともないのに、どうしてそこまで心を揺さぶられ涙が止まらないのだろう。
「手に職」というキーワードで進路を選び、何となく進んだ医療の道。「病院」というところに勤めるということは、ほとんどの場合、どこかを「病」んでいる人と接するということだ。
スピーチを聴きながら、仕事で出会った同じ病気の人とのやりとりが頭の中を駆け巡った。
「またね」と言って転院して行った人。「元気になって戻って来ます!」とガッツポーズをしてくれた人。
逆に、うまくコミュニケーションが取れず、いい関係を築くことができなかった人もある。
いつも明るく話してくれる多くの患者さんに自分は今まで何をして来たのだろう。無理に寄り添おうとすると、自分の心がすり減ってしまい、いいパフォーマンスができなくなるかもしれない。仕事として、冷静に接することで、コンスタントに長く続けて行ける方がいいかもしれないと思っている。
自分にできることは何か。
「指先がしびれますね、やっぱり」
「そうですよね。どうしても副作用としてはあることなんですよね。ある程度はお付き合いしながらという感じではあるんですよね。」……
副作用grade1
用量に問題なし
前投薬処方確認済み
自分の職域でしっかりと患者さんの安全を担保する、まずはこの点について粛々と取り組んでいきたい。
そして何より、「勉強しなきゃ!」と強く思った。まだまだ知らないことばかりだ。患者さんとの関わりの中でもらったたくさんの勇気づけられる言葉を胸に、しっかり勉強しようと思った。ちょうど自分の中で密かに目標設定していることがあるので、より一層その思いを強くしたセレモニーだった。