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広島東洋カープ 石原慶幸選手引退試合を父と二人で観戦する

何年も前から、たまたま鏡に映る自分を見てしまうと、あぁ、年を取ったなぁー、と思う。うちのパソコンiMacが、ご親切に自動で何年か前の写真を都度表示してくれるのだが、先日、たまたま7年前の私と娘たちの写真を最前面に出してきた。

あぁ、写真の中の娘たちは、まだあどけない。そう、私の顔は、その時は年取ったと思っていたはずだけど、今より頬の張りがあって、髪のボリューム、艶もあった。確実に、年を取ったと認めざるを得ない。今日という日は、今までで一番年を取った日であり、今からの中では一番若い日でもあるわけだ。

ということは、必然的に親も年を重ねている。いつの間にか、両親とも「後期高齢者」と呼ばれる年齢になった。

「今年は野球に行っとらんのぅ」と父がつぶやいたそうだ。去年まで、夫がチケットを取って誘っても、夜は行かない、青いチームは嫌い、などと、あまり乗り気ではなかったことが多かったのに。


というわけで、今日は、今までだったらあり得ない組み合わせ、父親と私の二人で野球観戦に行ってきた。偏屈で新しいことをやりたがらず、人の気持ちをあまり理解できず、頑固でわがままで偏食で、どこかに遊びに連れて行ってくれるわけでもなく、親戚の集まりに顔を出すわけでもなく…とにかく嫌いだった。父親のようにならないように、あの人は反面教師だから、と思いながら生きてきた。それは、薄々、私が父親に似ているのではないかと恐れていたからである。事実、姉妹の中で一番、特徴的な体型や顔が父親にそっくりだ。


参観日に来たことも運動会に来たこともない父親も、80を過ぎてだいぶ経ち、年齢相応の部分もチラホラ出て来るとか来ないとか。球場に行く気力、体力があるなら、今、行っておこう。そんな気持ちで出かけた。

どう考えても、親子と分かるだろうなぁ…だってそっくりだもん。食が細く、「いらん、いらん」ばっかり言うのだが、予想通りフライドポテトには手をつけた。自分のために買ったホットコーヒーを「これ、わしが飲む分か」と取ったのは予想外だったが、なぜかうれしかった。


「中村祐太は頑張りよるのに前回も負けたのぅ。」「堂林に一番は荷が重いのぅ。」などと、解説は一流だ。

「試合は負けたが、ええセレモニーじゃったの。石原もカープでなごうにやったんじゃの。」

「野球に行きたい言うてせびったみたいで悪かったの。」

まあ、とにかくよくしゃべる。


そう、今日は石原慶幸選手の引退セレモニーが行われた日だ。あいにくの雨模様だったが、いい試合、いいセレモニーだった。石原選手が打席に立つや否や、ザーッと雨が降り出したから、不思議なものだ。

引退の挨拶も涙で言えないということもなく、朗々と立派だった。好きな野球を仕事にできても、苦しいことの方が多かった…なるほど、誰もが何か抱えながら生きているのだ。

今日が何曜日か気にしなくていい生活を20年以上続けて来られた父親。ベビースモーカーだったのに、私が禁煙担当になってから病院を受診して禁煙に成功した父親。


足腰はまだまだ相当丈夫で、階段をスタスタ上る。先日一緒に行った母親との違いがまたおもしろい。母も元気だが、少しだけ手すりを持った方が安心な状態だ。母に「手すり持って、ゆっくり行こう」と声をかけると、わざと小走りで行く。万一こけたら危ないからと言うと、さらに危なかしく急ぐ。一方、父は、相当スタスタ歩けるが、「ゆっくり帰ろうで。」と言う。家族円満な家で育ったという自覚は全くなかったが、こうやって近くで両親の様子を見られていることは、悪くないだろう。(ぺこぱ風)

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