新しいエレキギターとピアノの思い出
50の手習い。
普段は遠慮ばかりの娘が「ヒゲダン」の「オザサさん」に憧れて「エレキギター」が欲しいと言った。ステイホーム期間も口実に、思い切って購入してから数週間。
私自身は、ギターなんざあ、自分には無理だと決めつけ、興味を持って来なかった。いざ、手元にエレキギターが届いてみると、つい手が伸びる。最初は、左手で弦を押さえるのが難しくて、すぐに断念しそうだったが、少しずつ触っていくと、少しだけできるようになった。
簡単なコードを、リズムを付けずにジャラーン、ジャラーン、と指を確かめながらなら弾けるようになった。
はて、次は。
テケテケサウンドはできるようになるのか。ビョーンビョーンロックサウンドはできるようになるのか。
本を買えばいいのか、YouTubeを見ればいいのか。
簡単なコード(和音)が割とすんなり入って来たのは、やっぱり、昔ピアノをしていたからかもしれない。
勘違い甚だしいが、昔自分はピアノが上手だと思っていた。将来の夢は「ピアノの先生」なんて書いた時期もあった。
5歳から小5まで続けた。王道のクラシックピアノを習っていた。
高校に入り、ピアニストになれそうな人がいるのを見て、あぁ、上手と言うのはこういうことなんだ、と思い知った。自分はただ単に習ったことがある、というだけであった。
それでも、ピアノが好きという気持ちはずっとくすぶり続け、社会人になってからヤマハの門をたたいた。大人のピアノ教室に通い、今度はポピュラーピアノやジャズを習うことになった。
小さい頃に習ったクラシックが染み付いているので、ジャズのアフタービート(2.4拍にアクセント)に慣れず、先生に「マーチ(行進曲、1.3拍にアクセント)になってるよ」と笑われた。
その先生、個性的でおもしろくて、いろいろ教えてくれた。コードやアドリブなどもそうだ。難しくてついて行けなかったけど、それを経験したことで、何となくコードや、コード進行などを、主なものだけ覚えていた。そんなことが今回役立つとは、思ってもみなかった。
会社帰りにヤマハに寄ってレッスンを受けていたけど、その先生、よく食事に誘ってくれた。なぜなんだろうなぁ。
「あと一人でレッスン終わるから、ちょっと待っててくれないかなあ。夕飯付き合ってー。」
ヤマハ近くの居酒屋で、先生は酒とタバコとつまみをやった。そこのおすすめ料理を2人でつついた。チャンジャーを教えてくれたのは先生だ。先生はタバコ、ピアニシモの1mgだからほとんど影響ないって言ってたけど、禁煙の勉強した今なら、それは違うと言えたかもなぁ。
女2人で食事する、とか苦手中の苦手な行事のはずなのに、なぜかその先生とは何回も行って、全く苦痛ではなかった。何を話すでもないけど、音楽の話をボソボソ話す先生と過ごした時間のことを、今回のギターの一件で突然思い出して懐かしんだ。
名前も忘れかけていたけど、記憶をふりしぼって何とか思い出し、調べてみたら、現在は東京で活動されていることを知った。
ちなみに、今ギター始め、音楽の教えを請うているのは、仕事の時には見えない才能を持つ、後輩だ。